児童生徒1人1台端末などICTを活用した教育についてさまざまな情報を掲載します。

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公開日2024.02.16更新日2024.02.29

ICT教育とは? メリット、事例をわかりやすく解説

著者:Sky株式会社

ICT教育とは? メリット、事例をわかりやすく解説

今、教育現場ではICTを活用した学びが急速に広がっています。しかし、実際に授業を行う教員をはじめ、「ICT教育」の推進を担う担当者の中には、「そもそもITC教育とは何か」「どのように授業に取り入れていけば良いのかわからない」という方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、ICT教育とは何か、そのメリットや具体的な事例についてご紹介します。

ICT教育とは情報通信技術を活用した教育のこと

ICT教育とは、情報通信技術(Information and Communication Technology)を活用した教育の総称です。具体的には、コンピュータやタブレット端末、大型提示装置、インターネットサービスなどを活用して学習活動を行うことを指します。デジタル教科書を用いれば手元の端末に表示でき、動画やアニメーション、音声など、これまでにはなかった教材の使用やオンライン授業が可能になります。

2018年に行われたOECD(経済協力開発機構)調査の「OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント」で、37か国のOECD加盟国中、日本は「学校授業(国語、数学、理科)におけるデジタル機器の使用時間が最下位」という結果が発表されました。こうした状況を打破するため政府は、全国の公立学校で学ぶ児童生徒に対して1人1台の学習用端末と高速ネットワークを整備する「GIGAスクール構想」を2019年にスタートさせました。そんななか、2020年4月には新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言が発令され、全国の学校で臨時休業となりました。「学校に行けない」という状況のなかで、オンライン授業などICTを活用した学びに注目が集まりました。

2023年に文部科学省が公表した「令和4年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)」によれば、全国の公立学校における児童生徒1人当たりの教育用コンピュータ台数は、平均値で1人当たり1.2台となっています。この結果から、GIGAスクール構想で目標とした1人1台を上回る端末の配備が達成されたと捉えることができ、学校のICT環境の整備が急速に進んでいることがわかります。

ICT教育が重要視される背景

AI(人工知能)、ビッグデータ、IoT(Internet of Things)、ロボティクスなどの先端技術が高度化し、あらゆる産業や社会生活に取り入れられ、社会の在り方そのものが劇的に変わろうとしています。そんな現代において、教育現場におけるICTの活用は大きな意味を持ちます。ここからは、ICT教育が重要視される背景についてご説明します。

児童生徒がデジタル社会で自立して行動できる能力の育成

情報技術革新により、私たちの生活は膨大な情報であふれています。日常生活のさまざまな場面でICTを用いることが当たり前になっているなかで、子どもたちは情報や情報手段を主体的に選択し活用していくための基礎的な資質として「情報活用能力」を身につけ、情報社会に対応していく力を備えていかなければなりません。

情報活用能力は、カリキュラム・マネジメントを通じて教育課程全体で育成することが必要です。つまり各学校には、児童生徒や学校、地域の実態を適切に把握し、情報活用能力育成の観点から教育課程を編成して、組織的かつ計画的に教育活動の質の向上を図ることが求められます。

情報技術を用いた効果的な学習手法の普及

ICT教育では、これまでには考えられなかった方法での教育が可能となります。例えば、タブレット端末の画面上に手書きで線や文字を書き込むだけなく、画像や動画を貼りつけるなど、自分の考えを自由なかたちで整理し、表現することができます。

加えて、それを電子黒板などの大型提示装置に表示したり、児童生徒のタブレット端末に表示したりして考えを共有することも可能です。そのほか、遠隔技術を活用して、距離を越えてさまざまな人と交流することができるなど、多様な学習環境を整備することが期待できます。

情報リテラシーの強化と安全な情報利用の促進

スマートフォンやSNSが普及するなか、情報モラル教育の充実が求められています。児童生徒が犯罪被害などの危険を回避し、情報を正しく安全に利用できるだけでなく、人権や知的財産権といった自他の権利を尊重し、情報社会での行動に責任を持ち、健康に留意して情報機器を利用できることが重要です。

これを踏まえて、文部科学省の「小学校学習指導要領解説」と「中学校学習指導要領解説」には、インターネット利用に伴う犯罪被害の可能性やその防止手段、児童生徒の発達の段階に応じて、情報や情報技術の特性についての理解に基づいた情報モラルを身につけさせることの重要性が強調されています。

ICT教育がもたらすメリット

社会全体でデジタル化が進むなか、これからの教育現場においてもICTは欠かせないものになっています。学びや校務のあり方を変革していく可能性を秘めた、ICT教育のメリットを紹介します。

個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実の促進になる

学習指導要領に基づいた資質・能力の育成に向け、多様な児童生徒たちを誰1人取り残すことのない「個別最適な学び」と、児童生徒たちの多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」を一体的に充実させていかなければなりません。これらの充実にICT教育は大きなメリットをもたらします。

個別最適な学びの観点では、教員は手元の端末で児童生徒の学習活動の進捗状況をリアルタイムで確認できるため、個々の状況に応じた机間指導や声かけがしやすくなります。また、1人ひとりの状況に応じて問題を提供する「AIドリル」を活用すれば、繰り返しが必要な知識の習得や苦手分野の克服に有効です。そのほか、紙の教科書を使用することが困難な児童生徒には、文字の拡大や音声の読み上げが活用でき、学習上の困難を軽減することが期待できます。

協働的な学びの観点においては、情報共有の効率が圧倒的に向上するため、グループで発表資料をまとめたり、考えをクラス全体に共有し意見を聞いたりといった、児童生徒同士による考えの比較や議論の活性化につながります。

教科書や教材のデジタル化によって授業の幅が広がる

ICTツールを活用することで、これまで紙で提供されていた教科書や教材をデジタル化し、タブレット端末などで活用できるようになることもメリットといえます。

例えば、算数の授業では、図形を実際に回転することができ、立体的に捉えることが可能です。また、理科の授業では、実際に実験が行えない場合でも動画教材を活用することで、児童生徒が実験の様子を見ることができます。そのほか、音声やアニメーションといった、デジタルならではの多様な表現による学習が可能になります。

学習用ツールを用いることによる学習意欲の向上につながる

ICT教育のメリットには、学習用ツールを用いることで、学習意欲の向上が期待できることも挙げられます。教科指導におけるICTの活用は、子どもたちの学習への興味・関心を高め、わかりやすい授業を実現する上で効果的です。子どもは好奇心旺盛のため、ICT機器を使うことでどんなことができるのか、興味を持って活用する姿も見受けられます。

動画、アニメーション、音声による教材のほか、ICTを活用した授業をサポートする学習支援ソフトには、発表が苦手な児童生徒でも意志を示すことができる機能が備わったものもあります。こうしたツールを活用すれば、課題の提出や教員からの返却もデジタルでスムーズに行え、スタンプなどによるレスポンスも可能です。教員と子どものコミュニケーションが活発になり、子どもの学習意欲の向上につながります。

オンライン学習による家庭学習の支援ができる

オンライン学習によって家庭学習の支援ができることも、ICT教育のメリットです。ICTを活用した遠隔教育は、外部の人とつながることによる多様な学びや専門性の高い授業の実現など、質の高い学習の実現に役立てることが期待されています。また、感染症などの理由で学級閉鎖になった場合も、児童生徒は自宅にいながら授業が受けられるため、学びが止まることを回避できます。

特別な配慮を必要とする児童生徒へのきめ細かな指導の充実のための授業にも役立てることができます。そのほか、国内外の児童生徒との交流や小規模校とほかの学校との遠隔合同授業など、多様な人々と学び合うことが可能になります。

教員の負担軽減と授業準備時間の短縮が期待できる

ICT教育では、校務や授業準備にかかる時間を短縮し、教員の負担軽減が期待できるというメリットもあります。ICTツールを活用することにより、自動的かつ継続的なデータの取得、情報共有の即時化が可能となり、成績処理などの作業や授業準備を効率化できます。例えば、課題を紙で配付するためには印刷をしなければなりません。ICT教育では印刷の必要はなく、児童生徒のタブレット端末に一斉配信できます。

また、遠隔技術を活用して、研修や会議に参加することも可能になり、教員の遠方出張の負担を軽減できます。先端技術の活用により教員の事務時間を削減し、子どもと向き合う時間や教員同士が指導方法を検討し合う時間を増やすことができるでしょう。

ICTを活用した教員間の情報共有ができるようになる

校務の情報化によって、教員間で情報共有ができるようになることもICT教育のメリットといえます。出欠・成績・所見といった子どもたちに関する情報を教員間で共有することで、担任以外の教員も児童生徒に対してきめ細かな指導を実現できます。学習資料や教材もネットワーク上でファイルを共有すれば手軽に情報交換が行え、遠隔技術を使えば、他校の先生とも距離を気にすることなく、意見交流の場を持つことも可能です。

ICT教育における課題

ICT教育には大きな可能性がある一方で、さまざまな課題もあります。ICT教育の充実には、関係者の理解や協力のほか、機器の管理やルール整備、サポート体制が欠かせません。ここでは、ICT教育の主な課題をまとめました。

端末購入の経済的負担

ICT教育の導入には、タブレット端末、ソフトウェア、ネットワーク環境などを整備するために、多くのコストがかかります。GIGAスクール構想では、小・中学校においては国が定額補助し、ほとんどの学校で1人1台端末の整備は公費でまかなわれましたが、高等学校では保護者が費用を負担して端末を整備している自治体もあります。保護者負担で整備する場合、将来的に修理や買い替えなどの費用負担も避けられないため、購入にあたっては、保護者への丁寧な説明が必要です。

ICT機器の管理と故障対応

ICT教育では、基本的に児童生徒が持つ1人1台タブレット端末を活用します。そのため、適切な取り扱いルールを作っておかなければ、故障や紛失を招く恐れがあります。とはいえ、児童生徒のICTスキル向上のためには、ある程度自由に使わせることも必要です。

例えば、「自宅への持ち帰りは禁止」というルールにすると、故障や紛失のリスクは軽減できるかもしれませんが、ICT機器の機能を十分に使えなかったり、児童生徒の主体的な学びの機会を喪失したりすることも考えられます。ルールを決める際には、できるだけ児童生徒が自由に使えるようにすることも重要な視点です。

児童生徒のICTリテラシー

ICT教育においては、児童生徒が基本的なICTリテラシーを身につけるための指導も必要です。特に小学校低学年は、ICT機器の操作に慣れていない児童も多いでしょう。みんなが公平に学ぶことができるように、基本的なIT知識の教育も視野に入れておく必要があります。また、情報漏えいや有害サイトへのアクセスなどを防ぐ情報セキュリティ対策と、情報モラルの教育も必要になります。

教員の継続的な研修とサポートの必要性

ICT教育の導入にあたって教員は、日々の業務に加えて、新たにICTに関する知識を学ばなければなりません。先々では負担軽減につながることがわかっていても、導入当初は負担が増えてしまいます。中には、ICT機器の操作に不慣れな教員もいるでしょう。文部科学省が2022年度に実施した「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」によると、教員のICT活用指導力は年々向上しているものの、授業中にICTを活用して指導する力や児童生徒のICT活用を指導する力などに自信を持っていないと回答する教員が一定数存在しています。授業をスムーズに行っていくためには、校内での定期的な勉強会の開催、校外の研修への参加など、学校側の積極的なサポートが欠かせません。

ICTを教育に活用した実践事例

ICTツールは、実際にどのように授業で活用していけば良いのでしょうか。ここでは、学習活動端末支援Webシステム「SKYMENU Cloud」を活用した具体的な取り組みの事例を紹介します。

児童の多様な考えを引き出し、面積の求め方に気づくきっかけになった

愛知県安城市立桜井小学校では、6年生の算数「円の面積」の授業で「SKYMENU Cloud」の「発表ノート」機能を活用しました。児童は、1人1台のタブレット端末を使って図形の面積を求める課題に取り組みました。

あらかじめ、教員は「発表ノート」に課題となる図形を作成して配布。児童はまずは個人で、「発表ノート」上の図形に線を引いたり、色をつけたりして、面積の求め方を思考し、併せて計算式や文章を記入して自分の考えをまとめていきます。その後、グループ活動として、「発表ノート」を見せ合いながら自分の考えを発表したり、友達に質問したりして意見交換しました。そうした対話を通じて、課題が解けなかった児童も面積を求めるためには、補助線を引いたり、既習の図形を見つけたりすることが大切だと気づくことができたのです。

また、各児童が記入した「発表ノート」を大型モニタに一覧表示することで、ほかグループの児童の考えに触れることもできます。自分の考えと違う考えを見つけたら、どのような考えなのかを相手に尋ねることで、いろいろな考え方があると気づくことができました。また、教員は、児童の課題進捗がリアルタイムで確認できるので、個人で考える時間とグループで考える時間を切り替えるタイミングを図ることができます。ひと目でどの児童がどのような考えを持っているのかつかみやすく、多様な考えを授業の中で引き出すことができたと感じています。

語句の分類や分析に活用し、理解を深める

名古屋市立笹島中学校では、1年生の国語「接続する語句」の授業でSKYMENU Cloudの「電子連絡板」や「発表ノート」機能を活用しました。接続する語句の役割について理解を深めるとともに、日常生活での活用の方法を理解することをねらいにした授業です。

授業の冒頭、児童に学習の見通しを持たせるため、「電子連絡板」で本単元の流れを共有。その後、接続する語句の6つの分類とそれぞれの役割や、文のどのような場面で使用しているのかを説明しました。児童は、それらを基に接続する語句を、国語(文学的文章、説明的文章)・社会(地理、歴史)・数学・理科・家庭の5つの教科書から探します。1グループあたり3~4人の7つのグループに分かれてワークを進行し、それぞれが抜き出した語句を「発表ノート」に入力していきます。全員の入力が完了したところで、多く用いられている語句について話し合いました。

生徒たちは、「『また』は全員あったね」「『このとき』の次に多いのは『すると』かなぁ」などと言いながら、どの語句が多いかを考えます。多く用いられている3つの語句とその分類、役割を入力させた後、発表者の「発表ノート」を全員の手元のタブレット端末に提示させた上で発表させ、全体で共有しました。接続する語句の違いを考えることで、分類や役割を根拠にして、教科の特性を分析することができました。

ICT教育の充実には、学びに最適な学習用ツールが必要

内閣府の「第5期科学技術基本計画」において、目指すべき未来社会の姿として「Society 5.0」が提唱されました。先端技術の高度化によって、社会の在り方そのものが非連続的といえるほど劇的に変わることが示唆される時代が到来します。子どもたちは、そうした時代を生き抜いていくための力を身につけていかなければなりません。そのために、ICT教育が大きな意味を持ちます。情報活用能力を養うとともに、多様な授業の実現、学習意欲の向上、情報共有の活性化、校務の効率化など、ICTの活用はさまざまな変革の可能性を秘めています。そして、児童生徒たちの能力を効率的に引き出し、活用していくためには適切な学習用ツールが必要です。

学習活動端末支援WebシステムSKYMENU Cloudは、「個別最適な学び」や「協働的な学び」などを支援する幅広い機能を備えています。ICT教育をより充実したものにするためにも、ぜひSKYMENU Cloudの導入をご検討ください。