児童生徒1人1台端末などICTを活用した教育についてさまざまな情報を掲載します。

Sky株式会社

公開日2025.03.19

ICTとは何? ITとの違いやメリット、教育現場での活用例を解説

著者:Sky株式会社

ICTとは何? ITとの違いやメリット、教育現場での活用例を解説

GIGAスクール構想で、児童生徒1人1台のタブレット端末が整備され、教育現場ではその活用が進められています。本記事では、ICTとは何か? といった基本的な知識をはじめ、教育現場におけるICT活用のメリットや今後の活用などについてご紹介します。

ICTとは何か?

ICTとは、「Information and Communication Technology」の略で、コンピュータを利用した情報通信技術の総称です。現在、教育分野に限らず、製造業、医療、介護など、幅広い分野でICTの活用が進んでいます。

例えば、コロナ禍で活用が広がった、離れたところにいる人とコミュニケーションが取れるWeb会議システムも、ICT技術の一つです。このように、ICTを活用したシステムやサービスが普及することで、社会インフラとして新たなイノベーションを生むことが期待されています。

ICTとIT・IoTの違いとは

ICTと似ている言葉に、IoT、ITがあります。この3つは同じような響きではありますが、それぞれ意味が異なります。

ITとは

ITは、「Information Technology」の略で、情報技術と訳される、情報を扱う技術の総称です。ITとICTはほぼ同義ではありますが、ITが情報技術そのものを指すのに対し、ICTは情報を伝達する方法や情報伝達を活用する方法などを指します。つまり、ICTは情報技術を活用して、人や物をつなげるという意味合いが強い言葉といえます。

近年ではインターネットが普及し、デジタルデータをやりとりする通信量が膨大になったため、ITに通信を加えたICTを用いる機会が増えていると考えられます。

IoTとは

IoTは「Internet of Things」の略で、モノのインターネットという意味です。モノがインターネットに接続されることにより、遠隔地にあるモノを操作することができます。このようなIoTの代表例として、スマート家電が挙げられます。

また、IoTは単に遠くにあるモノの操作だけでなく、さまざまなデータの収集にも役立つため、ビッグデータのさらなる活用につながることが期待されています。つまり、IoTはインターネットを介してモノをつなぐ技術であり、ICTは人と人をつなぐ技術であるといえます。

教育現場におけるICT活用事例

文部科学省の「GIGAスクール構想」により、児童生徒に1人1台端末が整備されるとともに、校内の通信ネットワーク環境も整えられました。

これにより、デジタル教材などを活用した一人ひとりの学習状況に応じた個別学習を実現したり、児童生徒の考えをリアルタイムに共有して活発に意見交流したりと、学習活動の一層の充実が期待されています。

例えば、ICTを活用した「遠隔合同授業」はさまざまな自治体が「学校ICT環境整備促進実証研究事業(遠隔教育システム導入実証研究事業)」に取り組み、その成果として事例が公開されています。離島と本土の学校での合同授業や、中規模校同士の合同授業、外国との交流授業など、さまざまな実践が行われています。

また、さまざまな事情により登校が難しい児童生徒に対してICTを活用した学習指導についても検討が進んでおり、GIGAスクール構想によって整備された学習者用端末を活用した取り組みが始まっています。文部科学省の「やむを得ず登校できない児童生徒へのICTを活用した学習指導等 自治体の事例」(令和4年1月公開)には全国の15事例が掲載されています。

教育現場におけるICT活用のメリットとは

教育現場でICTを活用することにはさまざまなメリットがあります。

まず、児童生徒一人ひとりの理解や関心に応じて自ら学習を進めたり、一人ひとりに応じた柔軟な指導ができたりする点です。例えば、デジタルドリルでは、つまずいた問題がもう一度出題され、復習できます。そのほか、授業支援ソフトウェアを活用すれば、児童生徒がタブレット端末で活動する様子を、教員が手元の端末から一覧で確認でき、児童生徒の状況に合わせた指導が可能になります。

また、ICTを活用することは児童生徒が互いに学び合う協働学習にもつながります。授業支援ソフトウェアには、児童生徒が同時にタブレット端末を使って資料を編集できる機能があり、意見交換しながら学習活動を進めることができます。

教育現場以外におけるICT活用事例

ICTの活用は教育現場以外でも進んでいます。ここでは、介護、防災、医療、地域活性化におけるICTの活用事例をご紹介します。

高齢者の見守りへのICT活用

少子高齢化が進み、高齢者の単身世帯が増加しています。こうしたことから、離れた場所にいる高齢の家族を守るための取り組みにもICTが活用されています。

ICTを活用したサービスとして、例えば、水道や家電製品にセンサーを設置し、使用の有無で安否確認をしたり、脈拍や心拍数、血圧などのデータを遠隔で確認したりできるものがあります。収集したデータは家族だけでなく、医師や看護師などの関係者と共有し健康管理にも役立てられます。

防災におけるICT活用

自然災害の多い日本において、防災対策や災害発生時の対策には高い関心が寄せられています。近年、ICTを活用した「安否確認サービス」などの災害情報共有システムの利用、リアルタイムで河川の水位がわかる「河川情報システム」をはじめ、災害発生時にスマートフォンのGPS情報から現在地を把握したり、被災現場の被害状況を把握にドローンを活用したりする際にも、ICTが用いられています。

医療連携・遠隔診療などへのICT活用

分野・領域ごとに高度で専門的な知識が求められる医療現場。病気によっては大規模な病院でなければ診断できないというケースもあります。医療連携によりレントゲンやCTスキャンの画像、電子カルテの内容などを共有することで、専門医が遠隔診療を行うということが可能になります。また、単に情報共有をするだけではなく、診療情報をビッグデータ化しAIによってデータ分析を行うといった新たな取り組みも始まっています。

地域活性化におけるICT活用

総務省の「地域社会DXのトビラ」では、ICT地域活性化事例100選としてテーマ別にまとめられた地域活性化事例が掲載されています。例えば、伝統工芸品の生産工場にクラウドサービスを活用した事例や、釣り人と地域と自然環境をICTで結びつけ、川に人が集まるプラットフォームを構築した事例など、地域のビジネスに根ざした事例も掲載されています。このほか教育分野や医療介護、防災などの具体的な事例も紹介されていますので、ぜひ参考にしてください。

政府によるICT推進の取り組みの現状

政府において情報通信分野の政策(ICT政策)を所管するのは総務省ですが、2021年9月に日本のデジタル社会実現の司令塔としてデジタル庁が設立されました。デジタル庁は、政府と地方公共団体による共通化・標準化された仕組みの下での連携強化などを進めてきました。また、「デジタル社会推進会議」などの会議やワーキンググループを設置し、デジタル社会の形成のためのさまざまな施策を推進してきました。デジタル庁のWebサイトでは取り組みや成果等の年次報告を公開しています。

教育現場におけるICTの今後

教育現場でのICT活用については、「とにかく使う」という最初の段階から、ICTならではの使い方を追求するという段階を経て、さらに次の段階へと進むことが必要だとされています。

次の段階とは、児童生徒が自らICTの適切な活用法を判断することです。端末を使うのか、そのほかのツールを使うのか、また端末上でどのようなツールを使うのか。こうしたことを児童生徒が自ら判断できる状態です。この段階に向けて教員には、児童生徒に委ねる姿勢が大切だとされています。

ICTを活用した学習活動を支援する「SKYMENU Cloud」

GIGAスクール構想によって、児童生徒1人1台の端末が配備され、ICTを基盤とした新しい学びのかたちが広がっています。児童生徒が自己調整しながら学びを進める「個別最適な学び」や多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」、これらの学びを一体的に充実させ、児童生徒が自らの手で未来を豊かに創り出していく力の育成を「SKYMENU Cloud」は支援します。