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公開日2024.06.27更新日2024.07.12

電子黒板とは? メリットや種類、選び方のポイントを解説

著者:Sky株式会社

電子黒板とは? メリットや種類、選び方のポイントを解説

学校におけるICT活用の一環として普及している機器に「電子黒板」があります。指導者用デジタル教科書との連携をはじめ、今後は学習者用デジタル教科書と連携させた活用も見込まれるなか、電子黒板はどのように位置づけられているのか。この記事では、電子黒板のメリットや種類、選び方のポイントについてわかりやすく解説します。

電子黒板とは、双方向性を持つデジタルホワイトボードのこと

電子黒板とは、デジタル教科書やコンピュータ内に保存された教材ファイルをディスプレイやスクリーンに映し出し、その画面上で直接操作して、文字や線の書き込み、移動、拡大・縮小、保存などができるデジタルホワイトボードです。インタラクティブホワイトボードともいい、専用のペンや指を使ってタッチ操作ができます。また、画面上に書き込んだ内容をデータとして保存でき、黒板では難しかった板書の共有も効率的に行えます。

電子黒板は、各教室での使用はもちろん、遠隔会議システムと連動させて他校と同じ画面を共有し、双方が同時に書き込みを行うといった活用ができる機種もあります。ただ、同じ資料を共有するだけでなく、互いに書き込みながら話し合えるので、離れた場所にいる人とも円滑に意思疎通ができ、活発な意見交流が期待できます。

ICT教育の黎明期から導入が進められた電子黒板

電子黒板は2010年に、総務省が推進した「フューチャースクール推進事業」でいち早く整備が進められました。フューチャースクール推進事業ではICTの利活用による協働学習を推進しており、学習者用端末の普及とともに、クラス全体で情報を共有できる大型提示装置を重視していました。

大型提示装置とは、教室内で児童生徒からよく見えるように教材などを大きく提示するための装置の総称で、大型ディスプレイ(デジタルテレビ)、プロジェクタ、電子黒板などはすべて大型提示装置に含まれます。このうち、画面上のタッチ操作や書き込みに対応しているものが電子黒板とされています。単に画像や映像を映し出すだけでなく、画面上での各種操作に対応する双方向性を備えている点が電子黒板の大きな特徴といえます。

電子黒板を含む大型提示装置の整備率

文部科学省の調査結果によれば、普通教室における大型提示装置の整備率は、2023年3月1日時点で88.6%でした。2011年以降の大型提示装置整備率の推移は、下記のとおりです。なお、2018年3月までは電子黒板のみを対象としていたのに対し、2019年3月以降はプロジェクタやデジタルテレビを含むすべての大型提示装置が調査対象となっています。

■ 普通教室の大型提示装置整備率

2023年3月時点で、普通教室の9割近くに何らかの大型提示装置が整備されており、電子黒板をはじめとする大型提示装置を活用できる環境は、ほぼ整いつつあるといえます。

電子黒板を活用する3つのメリット

電子黒板を活用することによって得られる主なメリットには「焦点化」「共有化」「効率化」の3つがあります。ここでは、それぞれのメリットが具体的にどのようなものか解説します。

焦点化

電子黒板を活用するメリットの一つが焦点化です。例えば、電子黒板では、資料の中で学びのポイントとなる箇所を手早く拡大して見せられます。教科書や資料、配付物などたくさんの情報を確認しながら学習を進める児童生徒に対してポイントを明確に示すことで、授業のねらいを焦点化することが可能です。また、教員が電子黒板上で注目すべき部分を専用のペンで囲んで示す(マーキング)ことで、学習課題を意識させることもできます。

共有化

電子黒板を活用するメリットには、児童生徒が書いた意見や考え、制作した作品などを共有することも挙げられます。例えば、電子黒板上に全員分のワークシートを順に映し出したり、比較しやすいよう並べて表示したりすると、児童生徒は自分とは異なる多様な考えがあることを感じ取ります。電子黒板に大きく映し出された他者の考えや表現に触れることで、新たな気づきやヒントを得られ、その発見は、児童生徒の思考の幅を広げるとともに、主体的に学習に取り組む態度を自然なかたちで育みます。また、授業の中でさまざまに書き込みが行われた画面を保存して、ほかの教員と共有することもできるので、教員同士の意見交換の活性化にも役立ちます。

効率化

電子黒板を活用するメリットには、授業の準備や進行の効率化もあります。電子黒板には、画面上に書き込んだ内容を保存したり、画面遷移を記録したりしておくことで、授業の内容を再現できるものがあります。例えば、専科教員が異なるクラスで同じ内容の授業を行う際に、この機能を活用すれば授業準備の効率化が期待できます。特に、データを読み込むだけで書き込み内容が再現されるなら、その分児童生徒への説明に時間をかけることができ、児童生徒の集中を切らさず授業を進められるという大きなメリットがあります。また、インターネット上のコンテンツを教材として活用したり、デジタル教科書の動画・音声教材を再生したりすることで、授業展開の幅も広がります。

電子黒板の主な種類

電子黒板にはさまざまな種類がありますが、主に学校に整備されているのは「タッチディスプレイ型」「プロジェクタ型」「ユニット型」の3種類です。それぞれの特徴について説明します。

タッチディスプレイ型

タッチディスプレイ型は、大型ディスプレイにタッチ操作などの機能が付加された一体型タイプの電子黒板です。専用ペンや指で直接操作します。近年ではディスプレイの高画質化が進み、画像や動画を鮮明に映し出せるようになりました。ディスプレイ本体に独自機能が内蔵されていることが多いのも特徴です。設置方法別に、キャスター付きのスタンドと一体になったタイプや、黒板にスライド設置するタイプ、壁掛け設置するタイプなどがあります。スタンド付きのタイプの場合は移動が簡単なので、複数の教室で供用する場合はスタンド付きタイプが選ばれることが多いです。

プロジェクタ型

プロジェクタ型は、黒板や壁面、スクリーンなどに画面を投影させて使用する電子黒板です。電子黒板の特徴であるタッチ操作にも対応しており、タッチディスプレイ型のように専用のペンで操作したり、画面に書き込んだりできます。ディスプレイ本体を必要としないため、コンパクトで保管場所や設置場所を取らない点が大きなメリットです。また、プロジェクタ型は投影式なので、スクリーンと本体の距離を変えることで大きく表示することも可能です。ただし、投影式は室内が明るいと画面が見づらくなるため、使用の際に教室前方の照明を消したりカーテンを閉めたりするなど、教室内を薄暗くする必要があります。

ユニット型

ユニット型はタッチ操作機能を搭載していないディスプレイや従来の黒板・ホワイトボードなどに後付けすることで、電子黒板の機能を追加するタイプの機器です。センサが投影画面上の動きを検知し、画面への書き込みやタッチ操作を再現します。大がかりな機器を新設する必要がないことから、電子黒板を導入する前段階として活用されるケースも少なくありません。電子黒板の操作性や活用効果を検証したい場合にも適しています。

電子黒板を選定する際の3つのポイント

さまざまな種類の中から、どの電子黒板を導入するかは迷うところです。ここでは、電子黒板を選ぶ際の主なポイントを3つ紹介します。

授業で活用できる機能性

電子黒板の選定する上でのポイントには、まず機能性があります。ひと口に電子黒板といっても、アプリケーションが内蔵された多機能なタイプ、搭載機能を絞ったシンプルなタイプなどがあり、実際の授業で活用できるかどうかを見極めることが大切です。電子黒板の使用を想定している授業の中で必要になる機能、期待している学習効果を得るための機能が搭載されているかなど、できる限り具体的に仕様検討することが大切です。

直感的で簡単な操作性

電子黒板を選定する際のポイントの一つは操作性です。使い方が難しかったり、操作手順が多くて煩雑だったりという理由で活用されないのでは、整備の意味がなくなってしまいます。短い時間でも準備できるよう、コンピュータとの接続方法がわかりやすく、起動が早いに越したことはありません。また、授業中に使う上で、書き込みのしやすさや画面の切り替えやすさなど、操作が手早くできるかを確認し、操作でつまずかないことが大切です。機能が豊富なほど操作手順が複雑になりがちなので、迷わずに機能が使えるUI設計やデザインになっているかを確認することもポイントになります。

教室に適した画面サイズ

電子黒板の種類を選ぶポイントには、画面サイズも挙げられます。設置場所や保管場所のスペースも考慮しつつ、教室の後ろの席からも見やすいサイズのものを選ぶことが重要です。例えば、タッチディスプレイ型の電子黒板なら65~70型が一般的ですが、大きな教室であればもう少し大きな画面サイズを選ぶことも候補に入れてもよいかもしれません。その場合はスペースを取らず、大きなサイズで表示できるプロジェクタ型の電子黒板も選択肢となります。

電子黒板のメリットが、授業の活性化や効率化に役立つ

電子黒板は、教育の情報化を実現するため、早い段階から学校に導入されてきた機器です。電子黒板を活用することで授業の進行が効率化されたり、授業のねらいを焦点化できたり、児童生徒の意見や考えを簡単に共有したりできます。

電子黒板には多くの機種があるため、設置場所やめざす学び方に適したものを選ぶことがポイントになります。ただし、最も大切なのは児童生徒の学びを充実させることですので、実際の活用場面を想定して十分に検討することが必要です。1人1台端末が整備されている今だからこそ、電子黒板もこれまで以上に上手に活用し、児童生徒1人ひとりの可能性を開く授業づくりに生かしていただければと思います。

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