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公開日2024.11.28

タブレット学習とは? 5つのメリットと紙の教材との違いを解説

著者:Sky株式会社

タブレット学習とは? 5つのメリットと紙の教材との違いを解説

GIGAスクール構想の推進により、学校はもちろん、家庭でも「タブレット端末を用いた学習」が浸透しつつあります。それでも、紙の教材に慣れていると「タブレット学習にはどういう効果があるのか」「紙の教材で行う学習とどう違うのか」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。この記事では、タブレット学習の概要やメリット、タブレット学習と紙の教材で行う学習との違いについて解説します。

タブレット学習とは、タブレット端末で学習アプリケーションを活用した学習方法

タブレット学習とは、タブレット端末でタブレット端末専用の学習アプリケーション、デジタル教材など用いる学習を指します。学校の授業でタブレット端末を活用して行う学習活動もタブレット学習の一つです。学校ではデジタル教科書やデジタルドリルなどのほか、インターネットのコンテンツも教材として活用され、プレゼンテーション作成ソフトウェアや文章作成ソフトウェアなどを活用することもあります。

一方、家庭学習ではさまざまな学習アプリケーションが教材として用いられています。例えば、ゲーム要素を取り入れつつ画面の誘導に沿って解答するAIドリルや、画面をタッチして音声を再生できる英語図鑑、自分でゲームやアニメーションをつくれるプログラミングソフトウェアなどです。近年では、塾講師の授業を受けられる動画配信型アプリや、個別の質問に答えたりテストを添削したりする通信教育型アプリも登場しています。

タブレット学習のメリット

学校でも家庭でも取り入れられているタブレット学習には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは5つのメリットを紹介します。

動画や音声で学習内容を理解しやすい

タブレット学習のメリットの一つが、動画やアニメーション、音声などのマルチメディアによって、児童生徒が学習内容を理解しやすくなる工夫がされていることです。文章や画像だけでは理解しづらい説明でも、動画やアニメーション、音声ならイメージをつかみやすくなります。例えば、英語の学習では、実際に音を耳で聞いたり、舌や口の動かし方を見たりしながら正しい発音の習得に役立てられます。また、算数や数学の図形を扱う内容では、アニメーションで図形を動かして全体像をつかむことも可能です。

紙の教材では理解しにくい分野も、タブレット学習であれば視覚や聴覚を働かせて理解できます。情報を処理する認知特性には個人差があり、一般的に言語優位、視覚優位、聴覚優位などに分けられます。そのため、文章や画像だけではなく、動画やアニメーション、音声といったマルチメディアを用いることで理解しやすくなるといわれています。

楽しみながら学習できる

タブレット学習のメリットには、児童生徒が楽しみながら学習を進められる点も挙げられます。勉強しなければならないことはわかっていても、児童生徒が自らやる気を出して学習に取り組むのは、なかなか難しいことです。例えばAIドリルの中には、ゲームのような感覚でテンポよく学習画面が進むものが多いため、児童生徒が飽きることなく学習を続けられるという利点があります。

また、タブレット教材にはカラフルな図形やアニメーション、キャラクターなど、児童生徒が興味・関心を持つような工夫が施されています。まるでゲームで遊んでいるような感覚で、楽しみながら学べるという点がタブレット学習の大きなメリットの一つでもあります。

学習進度や学習到達度に合わせて学べる

タブレット学習には、児童生徒1人ひとりの学習進度や学習到達度に合わせて学べるというメリットもあります。勉強は積み重ねであるため、苦手な分野や解けない問題を放置したままにすると、次の単元の授業内容が理解できなくなることがあります。

例えば、小学校の算数では、分数の約分や通分ができないと、次に扱う分数の足し算・引き算の学習につながりません。こうしたつまずきの解決に役立つのが、タブレット学習です。AIドリルでは個々の学習履歴を基にAIが分析を行い、学習のレベルや問題量などを調節して出題を行います。一斉授業とは違い、1人ひとりに合わせてカスタマイズされた内容を、自分のペースで学習できることは大きなメリットだといえます。

反復学習によって苦手分野を克服できる

タブレット学習のメリットには、反復学習によって苦手な分野を克服できる点もあります。先述のとおり、AIドリルは、過去に間違った問題を記録して、正解できるようになるまで繰り返し出題する仕組みがあります。従来の紙の教材で繰り返し学習をしようとすると、同じ問題をコピーしたりノートに写したりする手間がかかりました。また、苦手な問題に自ら取り組むことには心理的なハードルもあります。その点、タブレット学習では、教材を開けば自動的に問題が出題されるため、いつの間にか苦手な問題が解けるようになっていた、知識が定着していたということも少なくありません。児童生徒が気づかないうちに苦手分野を克服していることも期待できます。

自動採点で解きっぱなしを防げる

タブレット学習のメリットは、自動採点で問題の解きっぱなしを防げる点です。知識を定着させる学習では、一度間違った問題を認識して解けるようになるまで取り組み、間違いを1つずつ減らしていくことが学力向上につながります。そのために必要なのが自己採点です。小学校低学年の児童であれば、保護者の方が採点する場面も多くありますが、宿題やドリルを解いたまま放置してしまうケースは少なくありません。その点、タブレット学習では、瞬時に自動採点してくれるため、答え合わせも含めて学習を続けられます。

タブレット学習と紙の教材で行う学習の違い

タブレット学習と紙の教材による学習には、具体的にどのような点で違いがあるのでしょうか。ここでは、5つの違いについて解説します。

学習場所の選び方

タブレット学習と紙の教材で行う学習の違いに、学習場所の選び方があります。タブレット学習は、タブレット端末さえ持っていればどこでも始められ、学習場所を選びません。一方、紙の教材で学習する場合は、机のような教材を広げる場所が必要です。また、取り組む内容に合わせた教科書や問題集、参考書が必要になり、ノートや筆記用具などの勉強道具も必要です。

勉強に対する心理的なハードル

タブレット学習と紙の教材で行う学習の違いに、心理的なハードルの高さの違いがあるという意見も多いです。紙の教材やノートを広げ、その日に学習する内容を自分で選んで勉強を始めるという行為には、児童生徒の主体性が求められます。勉強に苦手意識がある児童生徒にとっては、机に向かって勉強するというだけでもハードルが高くなります。一方、タブレット学習ではその日の学習内容が自動セレクトされたり、再生ボタンを押すだけで動画で解説が聞けたりするため、多少受動的な態度でも勉強を始められます。また、飽きさせない工夫が盛り込まれていて、取り組み始めてから少しずつ学習に没入していくということも期待できます。

問題を解いた過程の残し方

タブレット学習と紙の教材で行う学習の違いの一つが、問題を解くまでの過程の残し方です。例えば、紙の教材で算数の筆算を行った場合は途中の計算も残ります。答えを間違えた場合、計算の過程をたどって「計算ミスの原因は、繰り上がりの書き忘れだ」といったように原因を突き止めることもできます。一方、タブレット学習では苦手な問題を抽出したり瞬時に採点したりする機能はあるものの、「なぜ間違えたのか」「どの過程で間違えたのか」ということまで、明確に確かめられないものもあります。

知識の定着方法

タブレット学習と紙の教材で行う学習の違いには、知識の定着方法もあります。紙に書く行為は脳の前頭前野を刺激するといわれています。漢字や英単語を覚えるために何度も繰り返しノートに書いた経験があるという方も多いのではないでしょうか。一方、タブレット学習は迅速性や反復性に優れており、書き込む学習はあるものの、じっくり書くという機会は少ないかもしれません。その代わりに、反復学習を行うことで知識の定着を図っています。

書き込みのしやすさ

タブレット学習と紙の教材で行う学習の違いに、書き込みのしやすさがあります。紙の教材なら鉛筆や蛍光ペンなどで書き込みはしやすいものの、書き込み続けると際限なく増えてしまい、結局どこが重要なポイントなのかがわからなくなることもあります。また、問題集やドリルの場合、一度答えを書き込むと使わなくなってしまいます。しかしタブレット学習では、書き入れたチェックの内容によって表示を切り替えたり、答えを間違えて入力した問題も新しくやり直すことができます。

タブレットと紙の教材、それぞれに向いている学習

タブレット学習、紙の教材で行う学習のどちらにもメリットはあり、どちらの学習を優先するかは難しいところです。ただし学習内容によって、向き・不向きが顕著に表れることもあるといいます。ここでは、タブレット学習と紙の教材で行う学習のそれぞれに向いているのは、どのような場面なのかを紹介します。

タブレット学習が向いている場面

一般的にタブレット学習に向いているのは、知識を定着させる学習だといわれています。知識を定着するためには好きな分野だけでなく、苦手な分野や解けない問題を中心に演習を繰り返すことが大切です。タブレット学習なら、アプリが苦手分野の克服に適した出題をしてくれるため、つまずきを解消することにつながります。また、ゲーム要素が含まれるものも少なくないので、楽しみながら学習を進められ、身構えることなくスムーズに勉強に取り組めるようになり、自然と学習習慣が身につけられるというメリットがあります。

紙の教材で行う学習が向いている場面

一方で、筆圧が弱く、書く力がまだ十分に身についていない段階では、まず紙の教材で行う学習に慣れることも大切です。書く力は学習においてとても重要ですが、タブレット学習では筆圧が弱くても書けるため、鉛筆やペンで紙に文字を書く力が身につきません。特に小学校低学年の児童の場合は、タブレット学習に偏ることなく、紙の教材での学習もバランスよく取り入れる必要があるといわれています。また、書くという一定の時間を要する作業自体が、認知能力に好影響を与えるという意見もあります。

児童生徒の個性に合わせてタブレット学習を活用しよう

タブレット学習には、「動画やアニメーション、音声で学習内容を理解しやすい」「楽しみながら学習できる」「学習進度や到達度に合わせて学べる」といったメリットがあります。学習への心理的なハードルが低く、気軽に取り組めて効率的に知識を定着させることができるのが特徴です。一方、紙の教材で行う学習は、児童生徒の主体性が求められるため、その分だけ主体的に学ぶ態度を育むために役立つともいえます。また、認知能力に影響して学習の理解や思考を深めるのに有効とされています。それぞれのメリットを生かし、児童生徒1人ひとりの個性に合わせてタブレット学習を上手に取り入れることが大切です。

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GIGAスクール構想によって、児童生徒1人1台の端末が配備され、ICTを基盤とした新しい学びのかたちが広がっています。児童生徒が自己調整しながら学びを進める「個別最適な学び」と多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」、これらの学びを一体的に充実させ、児童生徒が自らの手で未来を豊かに創り出していく力の育成を「SKYMENU Cloud」は支援します。