実践事例

小学校6年 道徳SKYMENU Cloud事例 道徳 × ICT 初発の感想を把握し、意図した役割演技へ [気づきメモ]に入力した事前読みの感想から個々の思考を把握

門田 倫瑠 教諭

愛知県安城市立安城南部小学校

役割演技で相互理解を深める

B領域の「理解し合うために」を主題とし、教材「みんな、おかしいよ!」を用いて実践しました。この教材では、本当のことを言ったら友達が減ってしまうという不安から、いつも周りの意見に合わせてしまう「和花」と、言っていることは正論でも、相手の事情を考えきれずにきつい言い方になってしまう「真紀」。そして、自分の考えを真っ直ぐに伝えようとする「絵里子」という3人のある日の出来事が描かれています。

本時は3人の関わり方を基に考えることで、「理解し合うには双方の歩み寄りが必要であること」に気づき、広い心で異なる意見や立場を尊重しようとする実践意欲や態度を育てることをねらいとしました。またICTによる効率化や、役割演技による相互理解の深まりを意図しました。

[発表ノート]であらすじを確認。
展開早く、教材準備も効率化

導入では、教材のあらすじをまとめた[発表ノート]を提示しました。[発表ノート]は核心に迫るために必要な部分のみを抜粋して作成。それにより導入がスムーズになりました。

▲[発表ノート]でまとめた教材のあらすじ

画用紙やマグネットで教材を作成したり、定規などを使って黒板で情報を整理したりしていた頃と比べると、効率化を感じます。さらに授業の展開が早くなったことで、児童が考えたり、議論したりする時間をより多く取れるようになりました。

[画面一覧]で考えをリアルタイムに共有。
挙手による集団同調を防ぐ

あらすじを確認した後、児童に「誰が一番素敵だと思うか」と問いました。回答の際は、あらかじめ児童に配付しておいた[発表ノート]を使いました。[発表ノート]には、1枚のスライドに1人の登場人物の名前を書いておき、それぞれ異なる背景色を設定しました。そして一番素敵だと思う登場人物の名前が書いてあるスライドを表示したままにしておくように指示しました。その後、教員機の[画面一覧]で状況を確認し、テレビに投影しました図1。絵里子が多く、和花が少ないという学級の傾向を全体で共有しました。

図1児童に配付された[発表ノート]と教員機の[画面一覧]の画面
児童が素敵だと思う人物のページを表示させると、教員機画面ではリアルタイムに状況をつかめる

こうした意見の把握は、挙手でも確認できます。しかし、6年生になると一人だけ考えが違うことに不安を感じ、自分の考えではない、多数派の意見に挙手したりする場合があります。少数派の意見があることで、議論が深まっていくので、挙手は、効果的な手法とはいえません。今回は、[発表ノート]を使うことで、子どもたちが集団同調することなく、自分の意見を素直に表出できたので、良い方法だったと思います。

[気づきメモ]の感想から意図的に指名し、役割演技へ

授業の終盤では、タブレット端末から離れて役割演技を実施。その際2人の児童に「絵里子」「真紀」の立場で役割演技をしてもらいました。このとき、児童が教材の事前読みで[気づきメモ]に入力した感想が役に立ちました。

今回の事前読みは、公開授業の一つ前の授業の終末10分を使いました。そして「3人の子についてどう思うかを小さなことでいいので[気づきメモ]に書きましょう」と指示。短い時間でしたが、児童はさまざまな感想を入力しました図2

図2[気づきメモ]の感想から考えを把握

私は2時間目が始まるまでの休憩時間に、全員の気づきに目を通しました。これにより誰がどのような意見をもっているのか、キーとなる意見をもっている子は誰なのかを授業が始まる前につかめました。実際、対立意見が欲しい場面で「Aさんは、どう考えたの?」と聞くと、意図したとおりの考えを発表しました。

▲役割演技の様子。指名の際は[気づきメモ]で把握した児童の考えが参考になった

考え方を素早く正確に把握できるから、余裕をもって授業に臨める

これまでは、ちょっとした児童の発言やつぶやきを取り上げて指名していたため、勘に頼る部分がありました。本時のように[気づきメモ]を活用すれば、全員の考え方を素早く正確に把握できます。慌てることなく余裕をもって授業を展開できるので、ぜひ試していただきたいです。キーとなりそうな意見があればスクリーンショットで保存しておき、授業中に提示することもできます。道徳科の授業において[気づきメモ]を利用するメリットは大きいと思います。

[気づきメモ]で児童の考えを読み取り、授業を組み立てていくという、ICTを効果的に活用した新しい授業のかたちが見えたように思います。

気づきを見取り、授業と評価に生かす

このようなお話をしていますが、私は2年前「道徳科の授業で1人1台端末を使いましょう」と言われたとき、「絶対無理だろう」と思っていた一人です。「とりあえず[ポジショニング]をしよう」と思ってスタートしました。しかし、研究の中で先生方の授業を参観して、さまざまな授業方法があることに気づきました。次第にICT活用の幅が広がっていきました。

そして今、「道徳科でこんなふうに使えないだろうか」「自分ならどう使うだろうか」と主体的に考えている私がいます。例えば、[気づきメモ]は評価や見取りにもっと生かせないかと考えています。教材を読んだ初発の感想だけでなく、一つひとつの学習活動を終えたときのちょっとした気づきや思いをメモとして蓄積していくのです。より細やかに児童の変化を見取れます。これは紙では難しく、[気づきメモ]だからこそできることです。さらにタグをつける機能を使えば、子どもたちのメモを分類できます。気づきを見取って授業と評価をつなげていく、そのような方法をこれから探したいと思っています。

(2024年3月掲載)

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