実践レポート
佐々木 健視教諭
学校法人成田山教育財団 成田高等学校付属小学校
自分たちの生活の中にすでに溶け込んでいる「和」の文化と「洋」の文化について、友達の意見を聞いて改めて気付く。
本単元は、本来は話し合い活動の中で気付いたことを基に情報収集して学習を進めるが、コロナ禍で話し合い活動が制限されている。そこで、電子黒板でワークシートを共有し、お互いの考えをシェアしながら授業を進めた。また、調べた内容を文章にまとめることは、この時期の児童にとっては容易ではなく、本やインターネットの記事をそのまま引用してまとめる児童が多い。その指導に大変手間がかかっていた。そこで[シンプルプレゼン]を活用した。入力できる文字数が決まっている為、必然的に文章を要約しなければならない。これにより学習がスムーズに進むことを期待した。結果、指導の手間が省け、児童は発表内容をよりよくまとめることができた。単元の終末では、[シンプルプレゼン]でまとめた情報を発表した。その際、児童が持つiPadの録画機能を使用し、自身の発表を録画して[発表ノート]で提出させた。自宅で授業を受ける児童でも発表することができた。
単元計画(全14時間) |
第1時 |
これまでの学習を振り返る
|
第2~4時 |
本文の趣旨をとらえる([発表ノート]によるワークシート配付)【発想の整理】
|
第5~7時 |
自分の課題を決め、必要な情報を集める(図書室・インターネットで調べ、[発表ノート]にまとめる)【情報の収集】
|
第8・9時 |
集めた情報を[発表ノート]にまとめる【まとめ】
|
第10~12時 |
まとめた内容を[シンプルプレゼン]に編集し、発表の準備をする
|
第13・14時 |
まとめた内容を動画で発表する【表現】
|
学習の流れ |
主な学習活動 |
指導のポイント (タブレット端末活用場面) |
つかむ |
本文を読んで、私たちのくらしの中にある「和」と「洋」について気付き、「衣・食・住」の中で調べたいものを見つける。
|
1[発表ノート]で作ったワークシートを使って、自分が調べたいものを見つける。
|
情報収集 |
自分が調べたいと思った事柄を、実際に図書室やインターネットで調べ、まとめる。
|
2ワークシートに自分が調べた内容を入力して整理する。
|
まとめる |
調べたことを基に、「和」と「洋」の違いについて気付いたことをまとめる。
|
3調べたことを基に、気付いた「和」と「洋」の違いについてワークシートにまとめる。
|
発表の準備 |
調べてまとめたものを、[シンプルプレゼン]にまとめる。
|
発表する内容を[シンプルプレゼン]にまとめ、発表の準備をする。
|
発表 |
[シンプルプレゼン]に沿って発表(録画)し、提出する。
|
[シンプルプレゼン]を動かしながら発表する。
|
本来は、紙媒体のワークシートで学習を進めるのが一般的だが、[発表ノート]を使えば、自宅にいながらにしてワークシートを受け取ることができる。また、特に字を書くのが苦手な子でも、音声入力を使用できるので、全員のワークシートを回収するまでの時間がこれまでと比べてかなり短縮された。また、「和」と「洋」をそれぞれ色分けすることで、視覚的にも理解することができるので、記入場所のミスも無くなった。
さらに、書く手間が省けたこともあり、たくさんの候補を書いてその中から自分の調べるものを選ぶ児童が増えた。思いつくものをすぐに入力でき、同じページの上で一覧として参照できるのが強みである。
今回はハイブリッド授業中であったこともあり、多くの児童がタブレット端末でインターネット検索をして調べることとなった。出典を明らかにし、自分が調べたい事柄について調べ、ワークシートに入力し、その中から必要な言葉や文章を選んでまとめることができた。
何度でも書き直したり書き足したりできる[発表ノート]は、ノートに書いて推敲するよりも児童の筆の進み具合が良かった。また、授業時間内に終わらず宿題になった児童の[発表ノート]も容易に[回収]できた。
子どもたちは、学習を進める際に「教科書を読んで、ノートにポイントをまとめる」という作業には慣れている。
一方、板書を書き写すことに手いっぱいになってしまい、思考を深めるところまでの学習をなかなか進められない、という場面が見られた。しかし、この単元では、冒頭ですでに2つのワークシートに取り組んでいる。そこで様々な試行錯誤を繰り返したことで、自分が興味を持った「和」と「洋」の違いを具体的な例を挙げながらまとめられるようになった。
最後の発表の場面では、[シンプルプレゼン]を活用した。これまでは、発表をする際に原稿を用意し、それをほぼ棒読みする児童が多かったが[シンプルプレゼン]を活用したことで変化が見られた。まず、文字数制限や使用できるテキストボックス、画像の数に制限があるので、子どもたちは、伝えたいことを限られた情報量でまとめるために試行錯誤するようになった。その結果、限られた時間で自分の伝えたいことを適切にまとめて話せる児童が増えた。さらに、発表は動画で撮影して提出することにしたので、何度も撮り直して練習する児童も見られた。オンラインで参加している児童も、自宅にいながら提出することができ学習に参加できていた。
(2022年6月掲載)