実践事例

中学校 数学生徒1人1台の活用 <SKYMENU エキスパートTeacher> 授業づくりとICT活用

数学で言語活動を重視した学び合いの授業を展開

学習課題やヒントの共有に[発表ノート][資料置き場]を活用

山口市立仁保中学校の大達 啓 教諭は、数学科で『SKYMENU Cloud』を活用し、学び合い活動を実践されています。子どもたちが主体的に学習活動に取り組む姿勢を育むとともに、ICT活用により教材準備などの効率化にもつながっています。その実践について伺いました。(2023年10月取材)

大達 啓 教諭

山口市立仁保中学校

1人1台端末整備から1年後に『SKYMENU Cloud』が整備される

本校は、全校生徒41名、教職員約10名という小規模校で、子どもたちは伸び伸びと学習活動に取り組める雰囲気がある学校です。そういった雰囲気を生かしながら、子ども1人ひとりが多方向に向かって話し合いができる授業をつくっていきたいと思っています。

私は現在、ICT担当と研修主任を担っています。本校では、2021年度の夏に1人1台端末が整備されました。整備当初は、授業支援ソフトが入っていませんでしたが、本年度(2023年度)、『SKYMENU Cloud』が導入されました。ICT担当として、『SKYMENU Cloud』を率先して活用するとともに、ICT活用についての研修を実施しています。タブレット端末導入時は会議室などでのかしこまった研修ではなく、職員室でミニ研修というかたちで実施することで、ささいなことでも聞きやすい雰囲気をつくることを心掛けています。

言語活動を軸にした学び合い活動を重視

研修主任としては、学校全体で言語活動への取り組みを進めています。これからより一層、教師が知識・技能を教え込む「従来型」の授業から、子ども同士で学び合い、自ら学習を進めていく「同時間接型」の授業へと転換していく必要があります。子どもたちが学び合うために重要となるのが、「話す」「聞く」といった言語活動だと考えているからです。

私は、もともと大阪府の豊中市で教員をしており、2021年に地元の山口県に戻ってきました。豊中市では、市教育委員会のICTに関する部門にも在籍。その間にICT活用に関してはもちろんですが、授業づくりについてなど、専門家の方からお話を聞く機会がありました。そこで学んだことの一つが言語活動の重要性でした。当時、中央教育審議会の委員を務められていた高木 展郎 先生と学校現場の先生方で作られた「あたたかな聴き方・やさしい話し方」という資料を参考にし、本校でもすべてのクラスに掲示するなど、現在でも活用しています図1

学び合い活動も、市教委時代に数学科の研究会で教わったものです。上越教育大学 西川 純 先生の書籍を勧められたことをきっかけに、言語活動を軸にした学び合い活動を取り入れた授業づくりを自分なりに考え、実践していました。豊中市で学んだことを生かし、本校でも学び合い活動を実践しています。

図1言語活動の際に活用する「あたたかな聴き方・やさしい話し方」

言語活動の際に活用する「あたたかな聴き方・やさしい話し方」

子どもが自由に立ち歩き、[発表ノート]を示しながら考え方を説明し合う

学び合い活動は、基本的に単元の最後に行います。それまでの授業で学んだことを組み合わせて解ける課題を設定し、教師は主導せず、子どもたち同士で自由に説明し合います。

例えば、授業の最初に本時での評価基準などを子どもたちに提示して共有します。授業のねらいに合わせて、さまざまな評価基準を設定し、生徒に事前に伝えています。

【評価基準】思考・判断・表現力

A

二次方程式で学んだことを応用し、他の人を納得させる説明を行えた。

B

他の人を納得させる説明を行えた。

C

他の人を納得させる説明ができなかった。

【評価基準】主体的に学習に取り組む態度

A

他の人が納得する考えを目指して、全体のゴールを意識し、取り組もうとしている。

B

課題にしっかりと向き合い、最後まで課題に取り組もうとしている。

C

課題に対して、わからないことを人に聞けなかった。クリアした課題を説明する時間があったが向き合えなかった。

そして『SKYMENU Cloud』の[発表ノート]で二次方程式に関する2問の課題を配付図2

図2[発表ノート]で子どもたちに配付した課題

[発表ノート]で子どもたちに配付した課題

その後は、子どもたち自身で進めていきます。まずはそれぞれに課題を考えた後、子どもたちのタイミングで自由に立ち歩き、周囲の友達同士で相談して答えを導き出したり、より分かりやすい考え方について話し合ったりします。こうした言語活動を行う際には、「あたたかな聴き方・やさしい話し方」を意識するよう指導しています。

写真1説明に納得したら[発表ノート]にサインする

課題を解いて説明ができるようになった子は、悩んでいる子のところへ説明にいきます。そして分からない子は説明を受けて、課題を解くだけでなく、自分でも説明できるようになることをめざします。

最後に、説明に納得して理解できた場合は、説明した子の[発表ノート]にサインをするという流れです写真1

[気づきメモ]の[グループメモ]で、本時で分かりやすいと思った説明についてメモを共有するという活用を行うこともあります。どういった説明が分かりやすいのか、クラス全体でポイントを共有することが可能です。

また、本校で設けられている10分ほどの自主学習の時間に、学び合い活動で取り組んだ課題の類似問題を解かせて、本当に理解できているのかチェックさせています。

個人で考えた後、席を立って話し合いを始め、授業の終盤には全員が端末を手に説明し合う
▲ 個人で考えた後、席を立って話し合いを始め、授業の終盤には全員が端末を手に説明し合う

「分からない」と言うことは、恥ずかしいことではない

こうした学び合いの授業において、教師の役割は「教える」ことではありません。子どもたちの様子を見ながら、あくまで次への思考を促すような声掛けに徹する必要があります。それによって、子どもたちが自ら考えることにつながっていくと思います。ですが、子どもたちが自ら答えを導き出すための手だては必要です。そこで『SKYMENU Cloud』の[資料置き場]をヒント置き場として活用しています。個別最適な学びを意識し、ヒントが必要だと思った子は、適宜[資料置き場]を確認するように伝えています写真2

写真2[資料置き場]のヒントを活用して課題に取り組む

評価についても、課題が解けたかどうかではなく、主体的により良い説明を行おうとしたり、ほかの人の意見を参考に課題に取り組もうとしたりする姿勢や、相手を納得させる説明ができるようになったかどうかを基準としています。ですから、分からない場合は「分からない」と発信することも大事です。子どもたちには、学び合い活動を始める最初の時間に分からないことを「分からない」と言うことは恥ずかしいことではなく、社会に出たときに「分からない」を発信できることも必要な力だと伝えています。そのほかにも、例えば人間関係がうまくいっていないときでも、「学び合いの時間はそういった関係と切り離して取り組もう」といったことも伝えています。こうしたことを伝えるのは、学び合いを通じて、社会に出たときに役立つ力を身に付けてほしいという思いがあるからです。コミュニケーション能力などの他者とつながる力をはじめ、社会性などの非認知能力を育んでいきたいと考えています。

学び合い活動に取り組んでいくなかで、徐々に[発表ノート]に書いた自分の回答を読み上げるのではなく、分からない子が自ら答えを導き出せるようにヒントを小出しにしながら、説明する子どもの姿が見られるようになりました。そして、子どもたちからは「いつ学び合い活動をするんですか?」と尋ねられるようになりました。説明できることが自信になり、授業に対して前向きになっているのだと実感しています。

「個人のゴール」と「みんなのゴール」を設定し、誰一人取り残さない授業へ

学び合い活動の重要なポイントの一つが、「個人のゴール」と「みんなのゴール」を設定し、評価基準と合わせて子どもたちと共有していることです。例えば個人のゴールは、「ステージ1:課題について理解(納得)する」「ステージ2:説明しサインをもらう」。そして、みんなのゴールは「ステージ1をクリアすることができる」といったものです。この2つのゴールを設定することで、主体的に課題に取り組むとともに、みんなのゴールをクリアするために、一生懸命説明したり、聞こうとしたりする姿勢につながっています。

また、学び合い活動は小規模だからできることだと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、みんなのゴールを設定することで、ゴールをクリアするためにクラスを引っ張ってくれる子が必ず出てきます。これにより、誰一人取り残さない授業につながっているのです。

ただ、人数が多い場合は、教師が気がつかないうちに、間違った考え方を広げてしまう可能性もあるので、最初の5人は教師のサインをもらった上で、友達に説明するというルールを設けていました。そのほかにも、男女問わずサインをもらってくるなど、普段から仲の良い友達に限らずコミュニケーションを取るための工夫などもしていました。

【個人のゴール】の「ステージ1」を達成したらカードを動かす。全員ができたら【みんなのゴール】達成
▲ 【個人のゴール】の「ステージ1」を達成したらカードを動かす。全員ができたら【みんなのゴール】達成

『SKYMENU Cloud』で授業の準備から、成果物の提出・回収までスムーズに

学び合い活動を行うためには、準備が大変だと懸念される方もいらっしゃるかもしれませんが、『SKYMENU Cloud』やICTを活用することで、教材準備を効率化することができています。デジタル教科書から課題を選んで切り取り、[発表ノート]に貼りつけて「背景化」するだけで、一から図形を作成する手間は必要ありません。そして、教材は『SKYMENU Cloud』で手軽に配付することができます。

本校に1人1台端末が整備された当初、『SKYMENU Cloud』をはじめとする授業支援ソフトは導入されていませんでした。提出、回収、添削といった基本的な活用をはじめ、子どもたちの端末の画面をロックしたいなど、日常のささいな場面で、授業支援ソフトがあれば「もっと便利なのに……」「もっとスピード感を持って対応できるのに……」というもどかしさを感じていました。2023年度から『SKYMENU Cloud』が導入され、インフラとして日常的に活用することで、教材準備だけでなく、授業の進行もスムーズになっていることを感じています。

コミュニティサイトで教材や事例を共有し、学び合いの実践を広げたい

ICTを活用することで教材を蓄積することもできています。本年度作成した教材は来年度も活用でき、業務負担の軽減につながるとともに、ブラッシュアップして教材の質を高めることも可能です。教材準備などを効率化すれば、授業をより良くするための取り組みを学校全体で考えられるようになると思います。今後はより一層研修などで、学び合い活動について横展開していきたいです。

そしてさらに、学校を越えて教員同士で教材を共有していきたいと思っています。「SKYMENUエキスパート Teacher」の認定を受けたのも、そうした思いからです。『SKYMENU』を活用している教員同士が交流できる「SKYMENU Teacher's Community Site」では、自分の活用事例を[発表ノート]などで作成した教材と一緒に投稿することができます。コミュニティサイトに積極的に投稿し、学び合い活動を実践する先生が増えるとうれしいです。そして、自分も教材を投稿してみようという方が出てくるなど、その輪を広げていきたいです。教材や事例を共有しながら、教員同士も子どもたちのように学び合いをしていかなければならないと思っています。

(2024年1月掲載)

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