実践事例

中学校3年 外国語生徒1人1台の活用 1人1台 × SKYMENU Cloud

他者・自己・情報との対話から気づきを得て、生徒が自ら学ぶ授業へ

福島県の東南に位置する中核市のいわき市。同市ではGIGAスクール構想による1人1台端末整備とともに『SKYMENU Cloud』の活用に取り組まれています。いわき市立好間中学校の取り組みをレポートします。(2023年9・10月取材)

齋藤 崇 教諭

福島県いわき市立好間中学校

【本時の流れ】同じ問いに2度答えさせ「気づき」を促す

1 Greeting、帯活動
2 本時の課題把握 必要があればタブレット端末で資料を配付。
3 Writing (1回目) 記述後、写真撮影→提出
(1)友人の記述を参照して+(2)教師から配付される資料を基に内容面・表現面で参考になることをワークシートにメモする。
4 Writing (2回目) 記述後、写真撮影→提出
友人の記述を基に、必要があれば赤ペンで修正する。
5 本時の振り返り 別紙ワークシートに記入する。

教材提示やスピーキングの動画撮影、協働作業にICTを活用

私は昨年度本校に着任し、現在は3年の担任および2年1クラス、3年3クラスの外国語を担当しています。本校では情報担当の先生が他校と兼務しているため、私も日頃から協力して情報を担当しており、日常的なICT活用や成績処理の支援なども行っています。

外国語においては、教材の提示はもちろん、パフォーマンステストの際に話している様子を録画し、その動画を見ながら振り返って、再び話してみるといった活用をすることが多いです。このときの動画をALTにも見ていただき改善のアドバイスをもらうことも行っています。そのほか、単元の最後に振り返りの一環として、子どもたちに問題を作成させて共有し、お互いに解き合うという活動にも活用してきました。

『SKYMENU Cloud』で、気づきを大切にしたライティングの授業へ

いわき市という土地柄もあり、本校でも防災に力を入れており、本時の単元も防災に関連した内容でした。外国人の友人からの「災害時に用意しておくべき物は?」という質問に答えるというもので、「Which one should she prepare for?」つまり、本時の選択肢として示した10のアイテムの中から1つを選ぶなら彼女は何を準備しておくべきか、あなたの考えを、理由も添えてメールで教えてあげてくださいという内容です。

第二言語の習得においては、以前から「気づき」が大切だといわれてきました。例えば「これを伝えたいけど、うまく表現できない」「こういう表現があるのか」「これならどうだろう」といった疑問や気づきを積み重ねるなかで、文法や単語を学ぶことで「なるほど、こう表現すればいいんだ」という理解につながるのだと考えています。

そこで本時は、同じ問いに2度答えさせました。1回目は何も情報を与えず、まずは紙のワークシートに自力で書かせました。その上でペアになってそれぞれの記述について話し合う。そうして、まとまった答えをワークシートに記入し、それを[カメラ]で撮影して[発表ノート]に貼りつけ、[提出箱]に提出させました写真1

▲【写真1】紙のワークシートに回答を記述し、端末で撮影。提出されたものを示しながら解説

[提出箱]で友達の成果物を確認
多様な情報と対話する

このとき[提出箱]は、子どもたち同士で閲覧できるようにしています。子どもたちが、友達の記述を読み解くことで、さまざまな気づきが得られるようにしました。これは、情報(友達の成果)や自己との対話として位置づけられると思います。

そして、1回目の提出を締め切った後、教員機は[添削]に切り替えて、画面を電子黒板で提示。参考になる記述をピックアップして示し、ポイントとなる部分に書き込みを入れて添削しながら解説しました写真2

▲【写真2】[提出箱]を自由に閲覧し、情報と対話。そして自己との対話へ

このように、今書いたものを、その場ですぐに共有できるというのはICT活用の大きなメリットの一つだと感じています。特に『SKYMENU Cloud』では、撮影するとすぐに[発表ノート]に貼りつけられ、トリミングや拡大も簡単な操作で手早くできます。さらに[提出箱]を自由に閲覧できるようにすれば、理解度に合わせて自分のペースで、ほかの子の記述を参照できます。その上で[添削]で参考になる記述を提示し、ポイントを示しながら解説するというところまで、ほぼシームレスに進めることができるので、子どもたちの思考を途切れさせることがありません。個々の考えをすぐに展開し、友達がすぐ反応するという「即時性」こそ、私が実現したかった活用のかたちでした。

なぜなら、1回目の活動は自分に足りなかった部分や、どうすれば良いのかに気づくことが重要だからです。ある意味、活動を通じて湧き上がる「うまく表現できない悔しさ」や「もっとうまく表現したいという向上心」といった部分こそが大切だと思っています。

友達の表現を借りて、自分なりの考えを書けるように

2回目の記述を行う前に、インフラが大規模地震の発生から復旧にかかる日数(電気:6日間、水道:24日間、ガス:34日間)という情報や、再びお店で商品が買えるようになるまでの期間、災害時に困ったことのアンケート結果などを新たな情報として示しました。

2回目の記述は、この新たに示した情報を踏まえて記入させました。もちろん、1回目と同じアイテムを選んでも構いませんし、別のものを選んでもいいのですが、災害に関する新たな情報を知ったことで、理由(Reason)については伝えたいことが増えていたり、変化していたりするはずです。

記述した後は、1回目と同様にワークシートを撮影して[提出箱]に提出させたのですが、2回目も1回目と同様に、ほかの子の記述をよく見ていたと思います【写真2】。この点は、当初予想していた以上に、いろいろな記述を参考にしようとする積極的な姿勢が見て取れました。

1人1台端末が整備される以前は、紙のワークシートを見せ合ったり、回覧したりして行っていたのですが、限られた時間では参照できる回答が限られてしまうため、見せ合う相手が男女で分かれてしまったり、普段あまり話さない子とは見せ合わなかったりもしていました。特に外国語が苦手な子は、同じように外国語が苦手な子と組みやすいという点が課題でした。

しかし[提出箱]で全員の記述が自由に閲覧できるようになったことで、まとめて[スライドショー]をして、誰の記述なのかを意識することなく、よりフラットな視点で自分の参考になる記述を見て、気づきが得られるようになったということが大きな変化です。

以前であれば、外国語が苦手な子は何を書けばよいのかが分からず、最後までワークシートが白紙のままということもありました。しかし、今回は友達の表現を借りて、自分なりの考えを書くことができたのが、とても良かったと思います。もちろん回答をトレースすることを推奨するわけではないですが、授業への参加という意味では大きな前進だと感じました。

リアルタイムに考えが共有できる[グループワーク]の活用も

ただし、いろいろな子の回答を参考にするということについては、誰かを頼りすぎてしまわないように注意する必要がありますし、授業者としてはバランスをどのように扱うかが今後の課題になると思います。本時でいえば、もう少し個人思考の時間を多く取ってもよかったようにも感じます。

また本時は、個人で回答して提出させ、提出されたものを閲覧するという流れにしたことで、気づきを得て、自分なりに表現をブラッシュアップする機会が1度だけになりました。この活動で[グループワーク]を使えば、提出というステップを踏まなくてもリアルタイムに書いている内容が共有できるので、活動のなかで気づきを得るたびに、何度でも自分の表現を見直してブラッシュアップするという取り組み方もできるはずです。そして、最後により良い回答を提出すればパフォーマンス評価にもつながりますので、その方が子どもたちにとっても良いと思います。

このあたりは「個人思考」と「考えの共有」のどちらに軸足を置く活動なのかによって異なるのかもしれません。いずれにしても、まだ改善の余地は多くあると思いますので、引き続き研究していきたいです。

「できないこと」の気づきを「より良くしよう」と主体的に向かう姿勢に

ともかく「子どもの気づきから、学びをつくる」ということを、授業設計の根本にして考えていきたいと思っています。本時の場合でも、授業の初めに文法事項を示しておけば、子どもたちはある程度の型に沿って自分の考えを表現できただろうと思います。「この表現を使って書いてみよう」といった類いの取り組みではない分、最初は子どもたちにも少し戸惑いがあったかもしれません。

しかし私には、「自分にできないことを自ら気づき、より良くしようと主体的に向かう姿勢」を大切にした授業づくりがしたいという思いを持っています。簡単ではありませんが、子どもが書いたり、友達に伝えたり、友達の考えに触れたりするなかで、自ら気づき、自ら取り組んでいける学びをめざしています。

本時の終了後にも、1回目と2回目の回答を見比べて「できなかったことが、できるようになった」もしくは「2回とも、思うようには表現できなかった」という気づきが生まれ、それが次の取り組みへの出発点になると考えています。

そうした意味で、8月末にリリースされた[気づきメモ]は子どもたちの気づきに焦点を当てたツールであり、気づきをベースにしたさまざまな活動に生かせるのではないかと考えていますので、今後は積極的に活用していきたいと考えています。

福島県いわき市立好間中学校


1947(昭和22)年に開校し、現在は全校生徒244 名、教職員30 名の 中学校です。「知識の理解と質を高め3つの資質・能力を育む」などの 重点目標の下、1 人1 台端末を中心にICT 活用を推進するなか、 『SKYMENU Cloud』を活用した授業づくりにも取り組まれています。

(2023年12月掲載)

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