実践事例

中学校1年 音楽生徒1人1台の活用 1人1台 × SKYMENU Cloud

北海道にまつわる民謡のよさを味わおう

<表現(歌唱)と鑑賞の一体化> 単元名:日本の民謡と芸能
郡司 直孝 北海道教育大学附属函館中学校 教諭

三笠 裕也教諭

北海道北斗市立大野中学校

▲ 民謡の学習で、個人やグループで[発表ノート]を活用。「主体的・対話的で深い学び」の実現をめざした。[発表ノート]で整理したことを、歌唱に結びつけることで、表現(歌唱)と鑑賞の一体化にもつながった

本時のねらい

  • 北海道にまつわる民謡「ソーラン節」「江差追分」「アイヌ イフンケ」のそれぞれの音楽の特徴とその背景となる文化や歴史との関わりを理解する。
  • 音楽を形づくっている要素を知覚・感受しながら、生活や社会における民謡の意味や役割について自分なりに考え、よさや美しさを味わう。

授業の実際

第1学年では日本の民謡を扱う。北海道民謡「ソーラン節」「江差追分」、アイヌ民謡「アイヌ イフンケ」を取り上げた。ただ民謡を聴くだけでなく、[発表ノート]を活用することによって、中教審答申で求められる「我が国や郷土の伝統音楽に親しみ、よさを一層味わえるようにしていくこと」への充実につながった。

また、新学習指導要領では「民謡,長唄などの我が国の伝統的な歌唱のうち,生徒や学校,地域の実態を考慮」すること、また「生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わい,愛着をもつことができるよう工夫すること」などが示されている。個人やグループでの[発表ノート][学習者画面の一覧表示][画面比較]を通して、主体的・対話的で深い学びの実現をめざした。さらに、鑑賞で整理した[発表ノート]を[提出]し、それを参考にしながら次の歌唱に結びつけることで、表現(歌唱)と鑑賞の一体化をはかった。

単元計画(全3時間)
第1時 鑑賞

北海道にまつわる民謡「ソーラン節」「江差追分」「アイヌ イフンケ」の音楽の特徴を捉える。

第2時 鑑賞(本時)

生活や社会における各北海道民謡の意味や役割について自分なりに考え、民謡のよさや美しさを味わって聴く。

第3時 歌唱

曲種に応じた発声、表現するための技能を身に付けて歌う。

本時の展開

学習の流れ 主な学習活動 指導のポイント
(タブレット端末活用場面)

授業の見通しをもつ

学習課題を提示する。

生活や社会における北海道民謡の意味や役割について、自分なりに考え、民謡のよさや美しさを味わって聴こう

本時の授業の流れを確認する。

個人・他者で考えを深め、共有する

【活動1】個人
それぞれの民謡の音楽の特徴とその背景となる文化や歴史との関わりについてまとめる。

1[発表ノート]を利用して、発表資料を作成する。

【活動2】グループグループで話し合い、意見を整理し、確認しながらまとめる。

2グループ内で[発表ノート]を共有し、互いの思考を深める。その際、テレビモニターに[学習者画面の一覧表示]を映し、他のグループの考えや進捗状況を確認させる。

個人で補充、振り返る

【活動3】個人
[発表ノート]を再整理し、民謡の意味や役割について自分の考えをまとめ、発表する。

3グループで話し合ったことをもとに、個人の[発表ノート]を再整理。いくつか[画面比較]させ、発表させる。最後に[提出]させる。

深める・まとめ

【活動4】
全体で学習内容を振り返り、本時の課題についてまとめる。

タブレット端末活用のポイント (効果と児童生徒の反応)

1効率的な発表資料の作成

発表ノート、資料置き場

▲ 生徒の[発表ノート]。[資料置き場]の素材を活用した

[発表ノート]を利用して、発表資料を作成した。基本となる書式を配付し、共有フォルダに保存した民謡の音源を聴きながら、[資料置き場]にある写真や民謡の種類をドラッグして使用させる。そうすることで、音楽を形づくっている要素を知覚し、それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受しながら資料を作成できる。簡単かつ効率的に、見やすく分かりやすい発表資料を作成できた。

2グループで多面的・多角的に考察

発表ノート、グループワーク、画面比較、マーキング、学習者画面の一覧表示

▲ [グループワーク]で考えを共有。対話が充実した

個人で作成した[発表ノート]を[グループワーク]で共有。共有したノートにみんなの意見を入力した。その際、[発表ノート]を[画面比較]で並べて表示させたり、必要に応じて[マーキング]をしたりして話し合った。それぞれがグループの中での対話を充実させ、学びが深化していった。

また、その様子(学習者機の画面)をテレビモニターに映し出すことで、他のグループの様子や進捗状況も把握でき、個からグループへ、グループから学級全体へ思考が広まっていった。

3個へ戻して再整理、全体で共有、ポートフォリオ評価につなげる

画面比較、学習者画面の投影、提出、個人フォルダ

▲ [画面比較]で考えの相違点が明確になり、学びが深まった

グループでの協働学習を通して、多面的・多角的に考察したものは、個人で再整理することで深い学びにつながっていく。

さらに再整理したものは、クラウド上の[個人フォルダ]に保存することで、生徒の学習の過程や成果などの記録を計画的に集積できる。学習状況を把握するとともに、成長の過程や到達点、今後の課題等を示すポートフォリオ評価につなげることができた。

こんな場面でも使える!実践を振り返って

[発表ノート]に考えをまとめ、共有することで、音楽の特徴を実感しながら理解を深められた

[発表ノート]を用いて個人で考え、それを[学習者画面の一覧表示][画面比較]などを活用してグループや全体で共有する。それによって、ただ民謡を聴くだけでなく、それぞれの音楽の特徴を実感しながら理解を深められた。民謡が私たちにとってどのような意味や役割をもつのか。〈生活や社会における音楽の働き〉に対して考えを深めることにもつながった。

(2021年10月掲載)

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