モーツァルト「ソナタ K.331」の曲想と音楽の構造との関わり、リコーダーの音色や響きと演奏の仕方との関わりについて理解するとともに、思いや意図にあった表現を工夫して演奏する。
コロナ禍において、飛沫感染を防ぎながら生徒同士が密にならないように学習内容を考えた。またそのような状況下でも「主体的・対話的で深い学び」の視点にたてるよう、タブレット端末を用いた題材構成を設定した。
(1)自分の演奏を繰り返し聴いて、表現の工夫につなげる
- どのように演奏したいかという思いや意図をもつ。
- 気付いたことを楽譜に示すことで、主体的な学びが生まれる。
(2)タブレット端末を通して、気付いたことや、感じ取ったことを共有する
- ペアや小グループで学習できない環境下でも、対話的な学びを展開。
(3)いろいろな授業展開を設定し、リコーダー演奏のよさを引き出す
- 生徒が思いや意図をもち、必要感をもって技能を習得し表現につなげる。個人で考え、学級全体で共有するとともに、振り返り場面を設定し、他者を評価する。これにより、リコーダー演奏のよさを引き出し、質の高い深い学びをめざす。
[カメラ]で自身の演奏を動画撮影。動画で演奏を見返し、工夫したい部分を見つけ、適切な表現を見つけ出していった。工夫した表現は、楽譜の画像を[背景化]して貼り付けた[発表ノート]に書き込み、まとめていく。
1人1台の端末を利用することで、感染症予防に必要な社会的距離を保ちつつ、演奏活動を行うことができる。
[グループワーク]を使用することで、クラス全員の[発表ノート]を共有し、閲覧できる。これにより個々の端末画面で自他の工夫した点を見比べることができる。近距離でグループ活動を行わなくても、タブレット端末の中で対話が生まれた。
また、教師がテレビモニターで学習者機画面を映し出し、いくつかの画面を[画面比較]で提示した。これにより教師と生徒との対話も生まれ、自分では気付かなかった視点を得ることにもつながった。
[発表ノート]をテレビモニターに[投影]しながら、リコーダー演奏を行った。聴き手は、工夫した点を視覚的に確認しながら、実際の演奏を聴ける。教師は生徒の発表を聴きつつ、聴いている生徒の表情や発言を瞬時に見取ることができた。
また[グループワーク]を使って、生徒同士でコメントを送り合えるので相互評価を行える。学びが深まった生徒の具体の姿が、指導と評価の両面から見取れた。
新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮したリコーダー指導において、1人1台端末の利用は効果的だ。ソーシャルディスタンスを保った練習、交流が可能になり、安心して練習に取り組めた。また、[発表ノート]に書き込んだ内容は、データとして蓄積される。生徒の学習過程や成果の記録を計画的に集積することで、成長の過程や到達点、今後の課題等を示すポートフォリオ評価につながると考えている。