はじめに
GIGAスクール構想により、全国の児童生徒に1人1台端末が整備されました。多くの学校・教育委員会では、端末の日常使いや効果的な活用を模索されており、今後もさらなる活用推進に取り組んでいかれると思います。
そこで、文部科学省は今後どのような方針を持って「学びのDX」の促進に取り組んでいくのか、令和5年度予算を基にひもときたいと思います。
地域や学校間の利活用の格差を解消
さらなる学びの充実へ
さらなる
GIGAスクール運営支援センターの機能強化
背景・課題
1人1台端末の本格的な活用が全国の学校で展開される中、一部の自治体でICT活用が進んでいないなど地域や学校によって端末の利活用状況に大きな差が生じている。また、教師が自信を持ってICTを活用できる体制や、子供が学校内外で日常的に端末を活用する環境の整備が十分ではないなど、端末活用の“日常化”を全国の学校に浸透させていくために解決すべき課題も顕在化している。
こうした状況に対応するため、都道府県を中心とした広域連携の枠組みを更に発展させつつ学校DX戦略アドバイザー等も参画した「協議会」を設置することにより、域内の自治体間格差解消や教育水準向上、経済的・事務的負担軽減等を推進する体制を整備する。加えて、教師・事務職員の研修等をはじめとした学校現場の対応力向上、放課後や校外学習での活用等も見据えた学校外の学びの通信環境整備、セキュリティポリシーの改訂支援等を通じたセキュリティ基盤の確保等の支援を一体的に進めて運営支援センターの機能強化を図ることにより、全ての学校が端末活用の“試行錯誤”から“日常化”のフェーズに移行し、子供の学びのDXを実現していくための支援基盤を構築する。
GIGAスクールにおける学びの充実
背景・課題
「GIGAスクール構想」の下で1人1台端末の整備が概ね完了し、本格的な活用フェイズに入る中、優良事例の普及、自治体支援機能の強化、指導者の確保など課題も顕在化しており、地域間・学校間の格差も生じている。このため、これらの課題の解消に総合的に取り組む。
1人1台端末環境の本格運用を踏まえ、その効果的な活用を通じた児童生徒の学びの充実に向けて、実践例の創出・普及、要支援地域への指導支援、教師の指導力向上支援の更なる強化を図る。
事業内容
- リーディングDXスクール事業
指導法・指導技術の創出・モデル化 好事例を横展開 - 高等学校情報科等教科によるデジタル人材の供給体制整備支援事業
- 学校DX戦略アドバイザー事業等による自治体支援事業
- 情報モラル教育推進事業
- 児童生徒の情報活用能力の把握に関する調査研究
より学びを充実させるコンテンツや
教育データの利活用へツールを整備
教育データの
学習者用デジタル教科書普及促進事業
背景・課題
- GIGAスクール構想により一人一台端末環境が整備される中、学習者用デジタル教科書の活用により、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実をさらに推進することが必要。
- 学校現場における実践的活用を進めながら、デジタル教科書の利点や課題の研究を行い、効果的な活用を図ることが必要。
- デジタル教科書の円滑かつ効果的な活用の観点から、教科・学年を絞って令和6年から段階的に、小学5年生から中学3年生を対象として「英語」を導入し、その次の現場のニーズが高い「算数・数学」を導入。
↓
児童生徒の学びの充実や障害等による学習上の困難の低減に資するよう、学校現場におけるデジタル教科書の導入を促進
事業内容
- 学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業
- 学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究事業
教育DXを支える基盤的ツールの整備・活用
背景・課題
- 教育データの利活用の促進には基盤となるルールとツールの整備が重要である。
- これまではツールの整備等を各主体がバラバラと取り組んでおり、必要な知見や成果が散在しているところ、全国に共通で整備が必要なツールについては、文部科学省において基盤的ツールの整備を行う必要がある。
- 教育データの利活用に向けた共通ルールを整備し、様々なシステムの相互連携・一体的に運用し、効果的な分析・研究をすることで、政策実践を改善する仕組みを構築することが必要。
事業内容
- 文部科学省CBTシステム(MEXCBT)の改善・活用推進
令和5年4月の全国学力・学習状況調査 中学英語「話すこと」調査において、MEXCBTを活用予定 - 文科省WEB調査システム(EduSurvery)の開発・活用促進
- 教育データの利活用の推進
次世代の学校・教育現場を見据えて
先端技術の利活用を推進
先端技術の
次世代の学校・教育現場を見据えた先端技術・教育データの利活用推進
背景・課題
「GIGAスクール構想」により1人1台端末の活用が進む中、教育の質の向上を図るとともに、新たな政策課題に対応するため、目指すべき次世代の学校・教育現場を見据えた上で、最先端の技術や、教育データの効果的な利活用を推進するための実証等を行う。
事業内容
- 最先端技術及び・教育データ利活用に関する実証事業
- 先進技術を中核に据えた新たな学校(Super DX School)の設置・運営に関する実証事業
- 実証事例を踏まえた先端技術の活用方法・諸外国の先端技術の動向に関する調査研究
教育DXに合わせて校務DXへ
次世代の校務デジタル化推進実証事業
背景・課題
統合型校務支援システムの整備率は81.0%(R4.3)まで上昇し、校務効率化に大きく寄与してきたが、その殆どがネットワーク分離(閉鎖系ネットワーク)により自組織内設置型運用であり、校務用端末は職員室に固定されているため、GIGA時代・クラウド時代の教育DXに適合しなくなっている。
事業内容
民間事業者を活用しつつ、教育委員会・学校現場の共通理解を得ながら以下を実施。
- 教育データ標準化に関する政府全体の検討状況や教育行政調査システムのデジタル化の状況を踏まえながら、都道府県が域内の市町村と連携した次世代の校務のデジタル化モデルの実証研究を実施し、モデルケースを創出することで、事業終了後の全国レベルでの効果的かつ効率的なシステム入れ替えを目指す(実証地域:全国5箇所(都道府県、政令都市))〔令和4年度第2次補正予算〕。
- 実証研究と並行して、校務の棚卸・標準化(デジタル化すべきものの峻別と通知表等を含む帳票類の共通化、汎用クラウドサービスの役割整理)を行った上で、「校務DXガイドライン」(仮称)の策定、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を改訂。
おわりに
文部科学省の令和5年度予算から、学びのDXに関する取り組みについてご紹介しました。地域間・学校間での利活用の格差解消に向けた支援体制の強化など、端末活用の「日常化」を学校に浸透させていく取り組みのほか、デジタル教科書の普及促進や教育データ、先端技術の利活用に向けた環境整備など、文部科学省が見据える次世代の学校・教育の方向性も見えました。さらなる1人1台端末の活用や学びのDX推進に向けてお役立ていただければと思います。Sky株式会社では「SKYMENU」シリーズを通じて、皆さまの学びのDX推進をご支援してまいります。
学習活動端末支援Webシステム SKYMENU Cloud
https://www.skymenu.net/