GIGAスクール構想により、児童生徒1人1台のタブレット端末などICTを効果的に活用した教育の充実に向けた環境が整備されました。現在、タブレット端末が日常的に活用されるようになったことで、教員の授業運営をサポートする「授業支援システム」の必要性が高まっています。この記事では、授業支援システムが必要となっている背景をはじめ、メリットや役立つ機能などについてご紹介します。
タブレット端末や授業支援システムが整備された経緯
タブレット端末などのICTを学習活動に活用することで、動画やアニメーション、音声などこれまでにはなかった教材の使用やオンライン授業が可能になります。ここでは、タブレット端末や授業支援システムが整備された経緯などについてご紹介します。
GIGAスクール構想以前から学校ではICT環境が必要とされていた
AI(人工知能)、ビッグデータ、IoT(Internet of Things)などの先端技術が、あらゆる産業や社会生活に取り入れられ、社会のあり方そのものが劇的に変わろうとしています。
情報技術革新により、私たちの生活は膨大な情報であふれ、子どもたちがデジタル社会で自立して行動するためには、こうした情報社会に対応していく力を備えていかなければなりません。そのためには、ICTを用いて、情報や情報手段を主体的に選択し、活用していくための基礎的な資質として「情報活用能力」を身につけることが必要です。
また、学習活動へのタブレット端末の活用は、画面上に手書きで線や文字を書き込んだり、画像や動画を貼りつけたりと、考えを自由なかたちで整理し、表現することに役立ちます。さらに、電子黒板を使うことで、児童生徒の考えを共有しやすくなるなど、ICT環境の整備により、授業進行をスムーズにするほか、これまでに考えられなかった方法での学習が可能となります。
GIGAスクール構想によりICT環境整備が大きく進展した
GIGAスクール構想とは、ICT環境の充実を図り、教員や児童生徒の力を最大限に引き出すことを目指す取り組みです。文部科学省より2019年に提唱され、全国の小・中・高等学校などにおいて高速大容量の通信ネットワークを整備、児童生徒1人に対して1台のコンピュータまたはタブレット端末の整備が進められてきました。
2023年に文部科学省が公表した「令和4年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)」によれば、全国の公立学校における児童生徒1人当たりの教育用コンピュータ台数は、平均値で1人当たり1.2台となっています。この結果から、GIGAスクール構想で目標とした1人1台を上回る端末の配備が達成されたと捉えることができ、学校のICT環境の整備が急速に進んでいることがわかります。
1人1台端末の整備により授業支援システムが必要になった
授業支援システムとは、ICTで児童生徒の学びを支援し、授業運営をサポートする仕組みです。授業支援クラウド、授業支援ツール、授業支援サービス、授業支援ソフトウェアなどと呼ばれることもあります。
授業支援システムの機能として、例えば、教員の手元の端末で子どもたちの活動の進捗状況を確認できる機能があります。これは、児童生徒の個別指導やほかの児童生徒に共有したい内容を見つける場合などに有効です。さらに、オンラインで授業や学習指導を提供できる機能を活用すれば、感染症の影響による臨時休業といった事態が生じても、学びを継続できます。教材の配付や管理など、授業の進行を補助できる機能もあり、紙のプリントなどを配付するのに比べて時間を効率よく使えます。
このように授業支援システムには、さまざまなメリットがあります。GIGAスクール構想により、1人1台端末が日常的に活用されるようになったことで、以前にも増して授業支援システムの必要性が高まっているといえます。
授業支援システムのメリット
先述したとおり、授業支援システムにはさまざまなメリットがあります。ここでは、授業支援システムのメリットについてより詳しくご紹介します。
授業進行をスムーズにする
授業支援システムにより、ワークシートなどの配付や回収をスムーズに行えます。教員が選択したファイルを簡単な操作で一斉に配付できたり、児童生徒が記入したワークシートなどを一括で回収することができたりと、紙に印刷したものを配付・回収するよりも効率的で、限られた授業時間を有効に活用できます。
児童生徒の活動内容が手元で見取れる
授業支援システムには、教員が児童生徒の学習活動の様子を手元のタブレット端末で確認できる機能を備えたものもあります。児童生徒がタブレット端末で作業している様子を一覧で確認でき、1人ひとりの作業状況をリアルタイムに把握することが可能です。
また、異なる考え方をした児童生徒の画面を並べて電子黒板などの大型提示装置に投影することで、さまざまな考えを示し、学級全体で話し合う場面で役立てることもできます。
教材や学習成果などのデータが一元管理できる
作成した教材や児童生徒の学習活動の成果などをデータとして蓄積できるのも授業支援システムのメリットです。クラウド上で教材や課題のファイルを一元管理するだけでなく、教員同士でファイル共有でき、前年度の教材を改善することも手軽にできます。
また、課題の提出から添削、返却など、教員と児童生徒の一連のやりとりをスムーズに行える機能を搭載したシステムもあります。学びの履歴が残ることで、教員が児童生徒を評価する際に役立てられるだけでなく、児童生徒が自身の学びを振り返ることもできます。
考えの共有や意見交流など協働的な学びを活性化できる
授業支援システムは、多様な他者と協働しながら、必要な資質・能力を育成する「協働的な学び」でも役立ちます。グループワークの際に複数人で一つの発表資料をまとめたり、提出された課題を児童生徒で共有して考えを比較したり、といったことがスムーズに行えます。活発な意見交流や考えを深める活動に有効だといえます。
個別指導など個別最適な学びに役立つ
授業支援システムを活用することで、教員が手元の端末で、児童生徒1人ひとりの活動の様子を見取り、個別指導に役立てられます。また、学習活動の成果をシステム内に蓄積できることで、児童生徒の学習到達度を把握しやすくなります。これらは、個別最適な学びの実現にも役立ちます。
タブレット端末の活用をサポートする授業支援システムの機能
授業支援システムには、さまざまな機能が搭載されています。ここでは、授業をサポートするために役立つSKYMENU Cloudに搭載されている機能についてご紹介します。
各種ファイルの一元管理
まずは、教材や課題など各種ファイルを一元管理する機能です。SKYMENU Cloudの「教材・作品」機能ではクラウド上で、画像や動画などさまざまな形式のファイルを管理できます。フォルダの中にさらに任意のフォルダ(3階層まで)を作って分類し、教科ごとなどわかりやすく整理しながら、作成した教材を蓄積できます。また、教材を教員同士で共有することもできます。
タブレット端末画面の転送・一覧表示
児童生徒が操作しているタブレット端末を一覧表示したり、教員が参考になる画面を児童生徒に転送したりする機能も有効です。SKYMENU Cloudの「画面一覧」機能は、児童生徒が作業している様子を教員が手元の端末で確認することができます。画面は一定周期で更新されるので、作業状況をリアルタイムに把握することが可能です。教員は、手元の端末を確認しながら、必要に応じて個別に指導したり、考えが異なる子どもの画面を並べて表示して比較させたりできます。
また、「画面提示」機能で、教員の画面を転送して説明することで、言葉だけでは伝わりにくい内容でも、児童生徒にわかりやく伝えることができます。
児童生徒のタブレット端末の操作をロック
教員が指示や説明をする際などに、児童生徒のタブレット端末の操作をロックできる機能も役立ちます。SKYMENU Cloudの「ロック」機能により、必要に応じて児童生徒の手を止め、意識を切り替えさせることができます。
タブレット端末を使って、考えをまとめる作業を支援
児童生徒がタブレット端末を使って、考えを整理し、まとめる作業をサポートする機能もあります。SKYMENU Cloudには、文字を書き込んだり、画像などを貼りつけたりできるデジタルのノート「発表ノート」が搭載されています。文字の縦書き入力、動画・音声ファイルの貼りつけ、テキストや画像にWebリンクを設定することもでき、児童生徒は、自由なかたちで自分の考えを整理することができます。
発表資料などを複数人で同時編集
発表資料などを複数人で同時に編集できる機能は、協働的な学びに役立ちます。SKYMENU Cloudの「発表ノート」は、「グループワーク」機能として、発表ノートの白紙のスライドをグループのメンバーで共有し、全員で意見交流しながら同時に編集してみんなでまとめることができます。
また、このグループワーク機能では、一つの課題に対してグループのメンバーが別々のスライドに、役割分担してまとめることも可能です。この際もメンバーがリアルタイムに発表ノートを共有し、進捗や内容を確認しながら取り組めます。
考えを発表・表出して全体に共有
学級全体で考えを発表したり、共有したりする際に役立つ機能もあります。注目したい考え方をした子や発表する子のワークシートなどを、教員が児童生徒のタブレット端末に転送し、全体に共有できます。
また、SKYMENU Cloudでは、提出された課題を児童生徒同士で確認し合える機能を搭載しています。児童生徒は自由なタイミングで、提出された友達の課題を確認し、自分の考えと比較することで考えを深められます。
児童生徒のタブレット端末に課題を配付
児童生徒のタブレット端末に、スムーズに課題を配付できる機能は日常的に活用できます。SKYMENU Cloudは、選択したファイルを簡単な操作で配付することができます。「Microsoft Excel」や「Microsoft PowerPoint」などさまざまな形式のファイルを一斉に配付することができますが、「発表ノート」においては、提出から添削、返却などの一連のやりとりをスムーズに行える仕組みがあります。添削してから返却し、さらに再提出させることができ、双方向型の学習が行えます。
オンライン学習を支援
スムーズにオンライン学習を進めるための機能も搭載しています。SKYMENU Cloudでは、Web会議システムと機能連携し、あらかじめ設定した授業グループの児童生徒を対象に、ボタン一つでWeb会議システムを起動して、オンライン学習を開始できます。また、Web会議に参加する子どもを選んだり、先生同士でのミーティングも実施したりすることもできます。
まとめ
ここまで授業支援システムが必要になった背景をはじめ、そのメリットや役立つ機能についてご紹介しました。授業支援システムは、1人1台端末が日常的に活用されるようになったことで、必要性が高まっているといえます。授業支援システムにより、授業の進行が効率化されたり、児童生徒の考えを簡単に共有できたりします。授業支援システムを上手に活用し、児童生徒の学びの充実に向けた授業づくりに生かしていただければと思います。
ICTを活用した学習活動を支援するSKYMENU Cloud
GIGAスクール構想によって、児童生徒1人1台の端末が配備され、ICTを基盤とした新しい学びのかたちが広がっています。児童生徒が自己調整しながら学びを進める「個別最適な学び」や多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」、これらの学びを一体的に充実させ、児童生徒が自らの手で未来を豊かに創り出していく力の育成を「SKYMENU Cloud」は支援します。