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公開日2024.05.10更新日2024.08.27

調べ学習とは? 進め方やおすすめの資料、まとめ方のポイントを紹介

著者:Sky株式会社

調べ学習とは? 進め方やおすすめの資料、まとめ方のポイントを紹介

2000年代以降、総合的な学習の時間などで「調べ学習」に取り組むことが増えています。2020年度から順次実施された学習指導要領により、さらに重要性が高まっている調べ学習とは、どのような学習法なのでしょうか。この記事では、調べ学習の進め方やお勧めの資料、レポートのまとめ方のポイントなどをご紹介します。

調べ学習とは、テーマについて調べ、情報を収集・整理してまとめる学習法のこと

調べ学習とは、児童生徒が与えられたテーマについて調べ、情報を集めて整理をし、自身の意見や結論をレポートなどにまとめる学習法を指します。調べ学習では、さまざまな資料から必要な資料を探し出すための技術やスキルを学ぶためだけではなく、その情報の中から主体的に目的に合った情報を選び取り、それを分析・評価して情報を再構成、検証し発表していくことが重要です。また、児童生徒が、調べ学習のプロセスで、論理的思考力や問題解決能力を得ることも期待できます。

調べ学習は、2000年から段階的に始まった「総合的な学習の時間」で行われるようになりました。また、2020年度から順次実施されている現行の学習指導要領において、調べ学習の重要性が増しています。

調べ学習と探究学習の違い

調べ学習と似た学習活動に、探究学習があります。教員がテーマを与える調べ学習とは違い、探究学習は児童生徒自身にとって興味・関心があったり、問題意識を持っていたりする課題を身近なところから見つけるという学習活動です。高等学校では、現行の学習指導要領から「総合的な探究の時間」が設定されています。探究学習は、調べ学習をより主体的・対話的なものへと深化させたもので、調べ学習は探究学習の学習プロセスの一つとして捉えることもできます。

高等学校学習指導要領解説(総合的な探究の時間編)」には、「明らかになった考えや意見などをまとめ・表現し,そこからまた新たな課題を見付け,更なる問題の解決を始めるといった学習活動を発展的に繰り返していく。要するに探究とは,物事の本質を自己との関わりで探り見極めようとする一連の知的営みのことである」と示されているとおり、探究学習によって自らの考えや課題が更新され、探究の過程が繰り返されることも重要視されています。

調べ学習の目的

調べ学習の目的を端的にいえば、与えられたテーマに沿って情報を探してレポートにまとめ、その作業を通して、情報の調べ方を学ぶことです。さらに、与えられたテーマの知識を蓄えること、情報のまとめ方を知ることなども、調べ学習の目的となります。

調べ学習の進め方の

調べ学習は、どのように進めればいいのでしょうか。さまざまな学習場面で行われる調べ学習ですが、ここではテーマを決めて調べ学習を行い、レポートや発表資料にまとめるという調べ学習の一般的な流れをご紹介します。

1. テーマの決定

先述のとおり、探究学習とは違い調べ学習では基本的に教員がテーマを決めます。児童生徒が興味・関心を持つテーマであることが重要です。

2. 予想や仮説を立てる

示されたテーマに対して、児童生徒はまず、結論への道筋の予想や仮説を立てます。生活や学びの中で得てきた知識などに基づいて、どのようなことが導き出せそうか考えることが重要です。

3. 調べ方を決め、情報を集める

続いて、実際に調べるための方法を考えてから情報を収集します。辞書や図鑑、新聞、雑誌、Webサイトなどから必要な情報を探します。用いる情報ソースは一つではなく、なるべく複数の媒体や資料を調べるのが原則です。限られた情報ソースに頼ってしまうと、偏った結論が導き出されてしまう恐れがあるためです。また、Webサイトなどを用いる場合は、情報の発信元を確認するなどして信頼性についても確かめることが重要です。さらに多くのソースを比較して見比べながら、より正確性が高いと思われる情報を選択します。

4. 情報を整理・分析し、まとめる

情報を集めたら、それらの情報を整理・分析し、まとめる作業に入ります。このとき、情報を自分なりに分析し、そこから分かることや意見について、自分の言葉でまとめることが重要です。

調べ学習での情報の集め方

続いては、調べ学習で必要な情報を、どこからどのようにして集めるのか(情報ソース)を具体的に紹介し、情報を集めるにあたって注意すべきポイントも解説します。

辞書・百科事典・図鑑

辞書や百科事典、図鑑などは、テーマについて一般的な知識を得るのに役立ちます。テーマに関連したキーワードについて調べれば、その言葉の基本的な意味、関連した知識を得ることが可能です。ただし、図鑑などの画像を資料としてレポートなどに使いたいときは、著作権に注意する必要があります。

新聞や雑誌

新聞や雑誌は、ニュースや話題になった情報を得るのに有用です。新しい記事はもちろん、古い記事を調べて過去の情報を集めることも可能です。また、地方新聞や業界新聞、専門誌からは、地域性や専門性の高い情報も得られます。一方で、デジタル化されていない紙媒体は、検索性に劣るなどの理由で情報収集の時間がかかるという面もあります。

Webサイト

Webサイトからは広範囲で多くの情報を得られます。リアルタイムで更新される情報を得るのにも便利で、検索性も優れています。ただし、資料として使用するには、出典や監修の有無を調べて、客観性や信頼性が確保された情報であるかをよく確かめることが不可欠です。

統計資料や白書

官公庁や地方自治体、業界団体、民間調査会社などが調査してまとめた統計資料や、政府刊行物である白書も、調べ学習の情報収集に役立ちます。これらはデータに基づいた客観的事実を伝えたいときに役立ちます。

博物館や資料館

博物館や資料館に足を運ぶと、歴史的な資料や貴重な展示物を実際に目にできます。筆記用具やノート、撮影が許可されていればカメラなどを持って見学し、必要な情報を書き留める方法がお勧めです。何かわからないことがあれば、専門家である学芸員に直接質問することもできます。

インタビュー

調べ学習の情報の集め方には、テーマに沿った知識を持つ人、または体験をした人に直接インタビューをする方法もあります。インタビューは、資料や教科書を読むことでは得られない「生の声」を集められるメリットがあります。その一方で、話し手の主観が入る点は避けられないので、話された内容の裏づけを取ったりするなどの作業も必要です。

調べ学習での情報のまとめ方のポイント

さまざまな方法で集めた情報は、結論や意見がしっかりと伝わるようにわかりやすくにまとめることが大切です。ここでは、調べた内容をレポートや発表資料としてまとめる際のポイントをご紹介します。

始め・中・終わり(序論・本論・結論)の3部構成をつくるとまとめやすい

レポートや発表資料は、始め・中・終わりの3つで構成するとまとめやすくなります。例えば「始め(序論)」では、どんなテーマについて調べたのか、与えられたテーマについてどんなことを思ったのかなどを述べます。次に「中(本論)」では、調べ方と集めた情報、整理・分析したことについて書きます。そして「終わり(結論)」では、それまでのプロセスからわかったこと、考えたことなどを導き出し、自身がたどり着いた内容についてまとめるといった構成です。

見出しを立て、詳細な構成を決めると文章化しやすい

レポートや発表資料などに仕上げる際は、始め・中・終わりの3部構成に従って、項目ごとの見出しを立てます。文章を書く前にあらかじめ見出しを考えておくと、全体の構成をより詳細に決めることが可能です。後は見出しに合わせて文章を書いていけばいいので、迷うことなく記述できます。

文章だけではなく、図や写真などを入れて視覚化すると理解しやすい

文章だけでは伝えにくいことは、図や写真を使って説明する方法もあります。視覚化することで理解されやすくなり、説得力も増します。ただし、既存の写真やイラストを使う場合は、著作権に注意することが大切です。

参考にした情報は出典元を明記する

参考にした資料や情報ソースは、必ず出典として示します。書籍であれば、書名・著者名・出版社名・出版年などを示すのが一般的です。

引用のしすぎには注意が必要

参考資料から文章を抜き出して、自分の文章に取り入れて用いるのが引用です。引用は必要に応じて行えますが、多用は望ましくありません。あくまで児童生徒自身の言葉や文章をメインとし、引用部分はカギかっこでくくったりして、引用であることがわかるようにしつつ、必要最低限にとどめます。

将来を見据えて、調べ学習を行うことが大切

調べ学習は、現在の学校教育において重要視されている学習法です。テーマに沿った情報の取り扱い方を学ぶことで、将来のさまざまな場面に役立つことが期待されます。情報の収集技術や情報を分析してまとめる力、情報リテラシー、論理的思考力、問題解決能力などの育成のためにも、しっかりと調べ学習に取り組むことが大切です。

ICTを活用した学習活動を支援する「SKYMENU Cloud」

文部科学省は、2019年に提唱したGIGAスクール構想により、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークを整備し、児童生徒に1人1台端末を推進しています。こうした環境構築により、調べ学習でも、ICT端末を用いて情報を収集し、整理・分析し、まとめ、表現することが可能になっています。

児童生徒が自己調整しながら学びを進める「個別最適な学び」や多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」、これらの学びを一体的に充実させ、児童生徒が自らの手で未来を豊かに創り出していく力の育成を「SKYMENU Cloud」は支援します。