
タブレット端末を使用する学習場面で、教材や課題を配付したり、児童生徒が使う端末や教員が使う端末の画面をリアルタイムで共有したりする際に役立つのが「協働学習支援ツール」と呼ばれるソフトウェアです。GIGAスクール構想においても、協働的な学びを充実させるための重要なツールの一つと位置づけられています。この記事では、学校での授業で協働学習支援ツールを用いることで、どのようなことができるのか、メリットや機能について紹介します。
協働学習支援ツールは、児童生徒と教員の端末や電子黒板などを連携させるツール
文部科学省がGIGAスクール構想の実現に向けて公表した「GIGAスクール構想の実現 標準仕様書(令和2年3月3日)」では、協働学習支援ツールの定義と期待される効果を次のように示しています。
協働学習支援ツールの定義
協働学習支援ツールとは、児童生徒の端末と教師の端末・電子黒板等を連携し、文書・画像ファイル等の教材・課題の一斉配付のほか、画面共有・制御等を行うことにより、個々の児童生徒の考えをリアルタイムで教師と児童生徒間、児童生徒同士、学級全体で共有することを可能とするものである。
教師は手元の端末で、課題等に対する児童生徒の進捗や思考の状況をリアルタイムで確認できることから、個々の状況に応じた机間指導や声かけが可能となるほか、発問をより効果的に行うことができる。また、児童生徒の回答等を電子黒板等に一覧表示することで児童生徒同士による考えの比較や議論の活性化ができる。
- GIGAスクール構想第2期(NEXT GIGA)を想定した「GIGAスクール構想の実現 学習者用コンピュータ最低スペック基準(令和6年4月17日)」では、協働学習支援ツールの定義は掲載されていません。
協働学習支援ツールでできること
児童生徒が使う端末(学習者用端末)と教員が使う端末(教員用端末)を連携するために有効な協働学習支援ツールですが、具体的にどのようなことができるのでしょうか。ここでは、協働学習支援ツールを用いてできることについて紹介します。
教材や課題のファイルを配付できる
協働学習支援ツールを活用することで、学習者用端末に対して学習活動で使う教材や課題のファイルを配付できます。例えば、授業中に必要に応じて資料や問題集を、教員用端末からすべての学習者用端末に一斉配付したり、個別の端末に送信したりすることが簡単に行えます。ツールによっては、教材や課題のファイルをクラウド上にある「個人フォルダ」や「グループフォルダ」に保存して一元管理できる機能を備えているものがあり、ファイルを手早く選択して投影したり配付したりできます。
画面を制御して学級全体で共有できる
協働学習支援ツールでは、教員用端末の画面を学習者用端末に転送して教材などを提示し、学級全体でその内容を共有することが可能です。端末の画面に教材を提示することで、言葉では伝えにくい内容も視覚的に示しながら説明することで、より理解しやすくなります。大型提示装置とは異なり、手元で見られるのでより細かな内容も確認できるメリットがあります。
教員が児童生徒の進捗や思考を確認できる
児童生徒が作業している最中の画面を教員用端末で一覧表示できるのも、協働学習支援ツールでできることの一つです。画面は一定周期で更新されるので、個々の進捗や思考、作業状況がリアルタイムに把握でき、個に応じた指導にも役立てられます。
児童生徒の画面を共有し、議論を活性化できる
協働学習支援ツールを使い、児童生徒の画面を電子黒板などに表示し、学級全体で共有しながら意見交流することもできます。例えば、考え方の異なる児童生徒の学習者用端末の画面を2画面ならべて表示して比較し、多様な考えに基づいて交流したり理解を深めたりすることが可能です。
同時編集機能によって協働的な活動に取り組める
協働学習支援ツールを用いて、児童生徒が発表資料などを作成する際、同時編集機能を活用してグループワークに取り組めます。例えば、各自が端末の画面上に手書きで線や文字を書き込んだり、画像・動画・音声を貼りつけたりしながら、児童生徒同士が協力して資料を作成できます。ほかにも、個別に資料を作り、任意のタイミングでほかの児童生徒の作業状況を参照する、またはリアルタイムにお互いの進捗や内容を確認しながら役割分担して資料をまとめるといったことも可能です。
そのほか、さまざまな場面で「協働的な学び」を充実させる独自機能も
上記のような、協働学習支援ツールとして一般的な機能のほか、活動中の児童生徒の気づきをリアルタイムに共有して、振り返りやまとめに生かせる機能(気づきメモ)や児童生徒の考えや立場を視覚的に示しながら思考の変容を可視化する機能(ポジショニング)など、協働学習の充実に役立つ独自機能を搭載した協働学習支援ツールがあり、より多くの学習活動で活用できるようになっています。
協働学習支援ツールで、児童生徒の新しい学びの可能性が広がる
協働学習支援ツールを活用すれば、教材や課題を手早く配付したり、全体での考えを共有したり、児童生徒の作業進捗や考えを確認したり、さまざまな学習場面で役立ちます。授業を円滑に進めるだけでなく、児童生徒1人ひとりの考えを共有し、違いを理解し、協働して作業を進められる協働学習支援ツールは、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実に不可欠なツールとして注目されています。
ICTを活用した学習活動を支援する「SKYMENU Cloud」
GIGAスクール構想によって、児童生徒1人1台の端末が配備され、ICTを基盤とした新しい学びのかたちが広がっています。児童生徒が自己調整しながら学びを進める「個別最適な学び」や多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」、これらの学びを一体的に充実させ、児童生徒が自らの手で未来を豊かに創り出していく力の育成を「SKYMENU Cloud」は支援します。