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Sky株式会社

公開日2025.10.21

DXハイスクールとは何? 背景や補助額・補助対象経費、2025年度の採択校数を解説!

著者:Sky株式会社

DXハイスクールとは何? 背景や補助額・補助対象経費、2025年度の採択校数を解説!

高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)とは、情報・数学等の教育を重視するカリキュラムやICTを活用した文理横断的・探究的な学びの強化などに必要な環境整備の経費を文部科学省が主導して支援する新たな取り組みのことです。本記事では、DXハイスクールが実施されている背景や補助額、採択校数などをご紹介します。

DXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業)とは

DXハイスクールは、2024年度に文部科学省が始めた補助金事業です。情報や数学などの教育を重視するカリキュラムを実施するとともに、ICTを活用した文理横断的で探求的な学びを強化する学校などに対し、必要な環境整備の経費を文部科学省が主導して支援する新たな取り組みです。大学教育の段階でデジタルや理数分野への転換が進むなか、その政策効果を最大限に発揮するためにも高等学校段階での人材育成の強化が必要ということからスタートしました。これにより、採択校からデジタル等成長分野の学部・学科への進学者が増加することが期待されています。

予算について

文部科学省は、2023年度補正予算額に「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」として100億円を計上。2024年度は1,010校(公立746校、私立264校)を採択しました。また、2024年度補正予算額に74億円、2025年度予算額に新規で2億円を計上しています。

補助額・補助対象経費について

2025年度の事業概要によると、1校あたりの補助上限額は新規採択校が1,000万円(定額補助)、継続校が500万円です。採択校の必須条件に加えて類型ごとの取り組みを重点的に実施する「重点類型」に採択された場合、新規採択校は1,200万円、継続校は700万円まで引き上がります。

この重点類型には「グローバル型」「特色化・魅力化型」「プロフェッショナル型」「プロフェッショナル型・半導体重点枠」の4種類があります。「グローバル型」は海外の連携校などへの短期・長期留学や対面の海外研修などをカリキュラムの中に体系的に位置づけること、「重点類型プロフェッショナル型」は職業を主とする専門学科または総合学科を置く高等学校、中等教育学校の後期課程のおける取り組みであること――といったように、それぞれに条件が設定されています。詳しい採択基準は、文部科学省の「高等学校等デジタル人材育成支援事業費補助金 (高等学校DX加速化推進事業)実施要領」をご覧ください。

DXハイスクールの補助の対象となるのは、「高等学校等におけるデジタル等成長分野を支える人材育成の充実を図るために必要な取組を実施するに当たり必要となる設備備品費及び関連経費」です。委託費や消耗品費、人件費など、事業実施にあたり不可欠な経費が含まれます。支援対象例として、PCや3Dプリンタ、動画・画像生成ソフトウェアなどのICT機器の整備、遠隔授業用の通信機器整備、理数教育設備の整備、専門高校の高度な実習設備整備などが挙げられています。

DXハイスクールの採択校に求められる取り組み

DXハイスクール事業では、交付申請を行った全国の公立・私立高等学校のうち、採択基準を基にした得点で上位となった学校から採択校が決められます。では、どのような学校が採択校になるのでしょうか? 採択校となるための具体的な取り組みとしては、「情報Ⅱや数学Ⅱ・B、数学Ⅲ・C等の履修推進(遠隔授業の活用を含む)」「情報・数学等を重視した学科への転換、コースの設置」「デジタルを活用した文理横断的・探究的な学びの実施」「デジタルものづくりなど、生徒の興味関心を高めるデジタル課外活動の促進」などがあります。なお、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定校(経過措置校、認定枠含む)は本事業の対象外です。

DXハイスクールを推進する背景

なぜ今、DXハイスクールが推進されているのでしょうか。それは、あらゆる産業分野でデジタル化が進み、世界的にもデジタル人材が不足するなか、日本でも早期のデジタル人材育成が急務となっているためです。また、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「2024年度版世界デジタル競争力ランキング」で、日本は31位に位置づけられました。中でも、「デジタル / 技術的スキル」は最下位の67位となり、世界に比べてデジタル競争で後れを取っていると指摘されています。そのため、大学よりもさらに早い段階から情報や理数系の教育を強化する必要性が高まっています。また、農業や工業などの専門高校の生徒がより高度な学びを進めることを後押しするねらいもあります。

文部科学省では、DXハイスクールの取り組みを通じ、大学段階における理工系学部・学科の増加、自然科学(理系)分野の学生割合5割、デジタル人材の増加を目標とし、その結果、将来的に成長分野の担い手を増やすことを目的としています。

DXハイスクールとSSH、リーディングDXスクールの違い

DXハイスクールと似た言葉に、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)とリーディングDXスクールがあります。それぞれ違いを説明します。

まずはSSH(スーパーサイエンスハイスクール)です。文部科学省は、将来の国際的な科学技術人材の育成を図るため、2002年度から科学技術、理科、数学教育に関する研究開発などを行う高等学校をSSHに指定しています。2025年度の指定校数は229校程度です。SSHは、理科・数学等に重点を置いたカリキュラムの開発や大学などとの連携による先進的な理数系教育に特化しています。一方、DXハイスクールでは、情報・数学などの教育を重視し、ICTを活用した文理横断的で実践的な学びを重視するのが特徴です。

また、リーディングDXスクール事業は、文部科学省により2019年に提唱された「GIGAスクール構想」で、児童生徒が利用する端末の標準仕様に含まれている汎用的なソフトウェアとクラウド環境を活用し、児童生徒の情報活用能力の育成を図りつつ、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実や校務DXを推進するための事業です。

GIGAスクール構想により、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークおよびすべての児童生徒に1人1台の端末が整備されました。そこで文部科学省は、全国の小中高等学校約200校を指定し、端末を使った効果的な教育実践を創出・モデル化し、地域や校種を越えて全国展開しています。リーディングDXスクールには、DXハイスクールのように、対象となった高等学校等への補助金の交付はありません。

DXハイスクールの採択校はどれくらいあるのか

文部科学省の「令和7年度高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)の採択校の決定について」によると、2025年度は1191校(公立871校、私立320校)が採択されました。うち、補助額の加算対象となる重点類型は計80校でした。また、1191校のうち978校が継続、213校が新規でした。なお、審査は次の観点で行われました。

  • 基本類型:各都道府県に割り当てた枠の中で、取組内容に応じた加点が高い順に採択 (基礎枠)、それ以外の学校について、取組内容に応じた加点が高い順に予算の範囲内で採択(全国枠)

  • 重点類型:基本類型および各重点類型の取組内容に応じた加点が高い順に採択

2025年度における学科別採択校数

2025年度の学科別採択校数は、次のとおりです。学科を併置する学校があるため、採択校数の合計は1,191校にはなりません。

2025年度における都道府県別採択校数

2025年度の都道府県別採択校は、次のとおりです。

また、学校種別では、次のとおりです。

  • 継続採択:高等学校951校、中等教育学校16校、特別支援学校高等部11校
  • 新規採択:高等学校209校、中等教育学校2校、特別支援学校高等部2校

DXハイスクールの成果と今後の方針

文部科学省の「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール) 令和6年度採択校の成果について」によると、情報活用能力、主体性、協働性、課題解決能力などが事業実施前後で大きく伸びたという結果が出ました。情報活用能力についてはDXハイスクール対象外と比べると伸び率は3.2倍となりました。

採択校における卒業生全体に占める大学理系学部進学率の現状値は20.7%(平均)ですが。今後、26.2%までの引き上げをめざす方針です。(継続校は2028年度、新規校は2029年度の目標値)

ICTを活用した学習活動を支援する「SKYMENU Cloud」

GIGAスクール構想によって、児童生徒1人1台の端末が配備され、ICTを基盤とした新しい学びのかたちが広がっています。また、DXハイスクール採択校には、高等学校の段階からデジタルを活用した文理横断的・探求的な学びの実施や、デジタルものづくりなど生徒の興味関心を高めるデジタル課外活動の促進が求められます。児童生徒が自己調整しながら学びを進める「個別最適な学び」や多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」、これらの学びを一体的に充実させ、児童生徒が自らの手で未来を豊かに創り出していく力の育成を「SKYMENU Cloud」は支援します。

まと

ここまで、DXハイスクールが始まった背景や補助額、2025年度の採択数などについてご紹介しました。いかがだったでしょうか? SKYMENU Cloud コラムでは、このほかにも児童生徒1人1台端末をはじめとするICTを活用した教育についての情報を発信しておりますので、ぜひご覧ください。

SKYMENU Cloud コラムサイト編集部

SKYMENU Cloud コラムサイト編集部は、児童生徒1人1台端末をはじめとするICT教育の活用に関する情報を発信しています。
「SKYMENU Cloud」を開発・販売するSky株式会社には、教育情報化コーディネータ(ITCE)資格取得者が多数在籍し、大学の先生方との共同研究に取り組むなど、学校に求められるソフトウェアの実現を目指しています。