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公開日2024.02.16更新日2024.05.16

オンライン授業とは? やり方やメリット、導入する際の準備を解説

著者:Sky株式会社

オンライン授業とは? やり方やメリット、導入する際の準備を解説

コロナ禍の影響によって多くの学校でオンライン授業が実施されました。これを機に、ICTを使った新しい教育のかたちが築かれつつあります。オンライン授業は、児童生徒が柔軟かつ効果的に学ぶ手段の一つとして、そのメリットやデメリットも明らかになってきました。この記事では、オンライン授業の種類を紹介。オンライン授業の現状やメリット・デメリットのほか、導入に向けた準備についても解説します。

オンライン授業とは、インターネットを利用した遠隔授業のこと

オンライン授業は、インターネットを利用した遠隔授業のことです。コンピュータやタブレット端末、スマートフォンなどを使い、児童生徒は自宅などインターネットにアクセスできる場所から授業を受けられます。2020年春、新型コロナウイルス感染症の拡大により全国の学校が一斉に臨時休業となったことで、オンライン授業の導入が急速に進みました。

オンライン授業は、従来の対面授業とは異なり、児童生徒側にもインターネット回線と端末があれば、場所の制約を受けずに授業を行うことが可能です。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染拡大による出席停止時だけでなく、過疎地に住んでいる、または、病気療養中や不登校などの事情から通学の難しい児童生徒に対しては教育機会の格差を解消する役割も期待されています。

また、地震や台風、豪雨や豪雪、火山の噴火など、日本は非常に災害の多い国のため、自然災害によって学校に集まることが困難となった際の教育手段としても、注目を集めています。

内閣府アンケートから見るオンライン授業の現状

オンライン授業の受講状況について、内閣府は2020年5月(第1回)と12月(第2回)の2回にわたりアンケート調査を実施しました。アンケート結果をもとに、オンライン授業の現状について分析します。

高校生および大学生・大学院生におけるオンライン授業の受講状況

高校生および大学生・大学院生のオンライン授業の受講状況は、次のとおりです。

■オンライン教育(授業)の受講状況(高校生/大学生・大学院生)

※総務省「令和3年版 情報通信白書のポイント」(2021年)

高校生がオンライン授業を受けたのは、第1回調査では50.0%、第2回調査では、29.2%でした。 一方、大学生・大学院生がオンライン授業を受けたのは、第1回調査では95.4%、第2回調査では87.7%と、高校生に比べ、非常に高い受講率となっています。

高校生および大学生・大学院生のオンライン授業に対する希望

高校生および大学生・大学院生にオンライン授業に対する希望をについてアンケートをとった結果が、次のグラフです。

■オンライン教育(授業)に対する希望(高校生/大学生・大学院生)

※総務省「令和3年版 情報通信白書のポイント」(2021年)

高校生は、第1回調査では43.1%、第2回調査では50.3%が対面授業を希望しています。一方、大学生・大学院生は、第1回調査では60.8%、第2回調査では61.3%がオンライン授業を希望しているという結果となりました。

小・中学生におけるオンライン授業の受講状況

小・中学生の遠隔・オンライン教育の受講状況は、次のとおりです。

■子どもの遠隔・オンライン教育(小学生・中学生の子を持つ親を対象とした調査)

※総務省「令和3年版 情報通信白書のポイント」(2021年)

第1回調査では、45.1%の小・中学生がオンライン授業を受けていました。それが、第2回調査では23.8%に低下しています。また、東京都23区では、第1回調査では69.2%、第2回調査では45.3%と、どちらも全国平均を大幅に上回る結果となりました。地方圏でのオンライン授業受講率が、第1回調査では33.9%、第2回調査では18.4%であることから、東京都23区と地方圏でオンライン授業の実施状況に大きな差があることがわかりました。

オンライン授業の配信形態とそれぞれの特徴

オンライン授業は、配信の方法によって「ライブ配信」「オンデマンド配信」「ハイブリッド配信」の3種類の形態に分けられます。それぞれのオンライン授業の特徴についてご説明します。

ライブ配信によるオンライン授業

教員が授業を行う様子をリアルタイムで配信するのが、ライブ配信によるオンライン授業です。この形態では、教員と児童生徒の双方向のコミュニケーションや、児童生徒同士の交流を行うことができます。

授業はWeb会議システムなどを活用し、事前にスケジュールを設定しておき、指定された時間に合わせて児童生徒がアクセスします。ライブ配信を活用することで、リアルタイムで質問したり、児童生徒同士で意見のやりとりをしたりすることが可能になり、より対面に近い学習環境が実現するでしょう。

オンデマンド配信によるオンライン授業

事前に収録された授業を配信するのが、オンデマンド配信によるオンライン授業です。教員にとっては自分のタイミングで収録することができ、児童生徒も好きな時間に授業を受けることができます。決められた時間に受講することが難しい場合に適した、オンライン授業の配信方法です。

また、何度も繰り返し見ることができるため、苦手な単元を重点的に学ぶという使い方もできます。ただし、その場で質問や児童生徒同士の交流をすることはできません。

ハイブリッド配信によるオンライン授業

従来の通学して受ける対面授業とコンピュータやタブレット端末を利用したオンライン授業を組み合わせたものが、ハイブリッド配信による授業です。ハイブリッド配信授業には、荒天や交通機関の乱れなどで通学が困難な生徒がいる場合に適している「ハイフレックス型」と、授業の内容に合わせて教育効果を高めたいときに有効な「ブレンド型」の2種類あります。

ハイフレックス型のハイブリッド配信授業は、教室で対面式の授業を行い、それを同時にオンライン授業としてライブ配信するというもの。荒天や交通機関の乱れなどで通学が困難な生徒はライブ配信で授業を受けられます。一方、ブレンド型のハイブリッド配信授業は、授業の目的に合わせて、この日は対面授業、この日はオンデマンド配信、この日はライブ配信と組み合わせる方法です。より教育効果を高められるよう、授業の内容に合わせて柔軟に使い分けます。

オンライン授業のメリット

オンライン授業には利便性だけでなく、安全性や教育機会の確保など、さまざまなメリットが存在します。それらのメリットについて詳しく見ていきましょう。

場所に依存しない柔軟な学習環境

オンライン授業であれば、住んでいる場所に関係なく、平等に教育機会を得られるというメリットもあります。過疎地や離島の居住者でも、都市に住んでいても、同じように授業を受けることができます。また、大学教授など著名な人や、社会の第一線で活躍している人を外部講師として招いた授業などに、教室のキャパシティ関係なく参加できるのも、オンライン授業のメリットです。

繰り返し視聴による理解の向上

オンデマンド配信による授業の場合、理解できなかったところを繰り返し視聴して理解を深められることもメリットといえます。理解しているところは倍速再生、聞き逃したところは巻戻し、わからないところは繰り返し視聴といったように、理解度に合わせて自分自身で学び方を調整できます。

通学に伴う事故などのリスクの排除

オンライン授業は、自宅にいながら受講することができるため、通学途中の事故や、事件に巻き込まれるリスクを排除できるメリットがあります。暗くなってから子どもが帰宅することを、心配する保護者もいます。オンライン授業は、それらの心配を解消できます。

登校困難な児童生徒へのサポート

オンライン授業は、不登校や病気療養中で学校へ通うことが難しい児童生徒に対する教育サポートとしての役割も担うことができます。体調の良いときにオンデマンド配信の授業を視聴する、時にはライブ配信で自宅や病室から友達と時間を共有するなど、登校困難な児童生徒が学習や交流の機会を得られるのも、オンライン授業のメリットです。

災害やコロナ禍でも学びの授業の継続が可能

感染症の流行時、または、悪天候や自然災害の発生時でも授業を継続し、学びの機会を与え続けられることも、オンライン授業の大きなメリットです。先述したとおり、オンライン授業が急速に広まったのは、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大による全国一斉休業によるものでした。通信環境と端末があればどこからでも教員は授業を配信し、児童生徒は授業を受けることができます。

オンライン授業のデメリット

オンライン授業は多くのメリットを持つ一方、対面授業にはないデメリットも存在します。続いては、オンライン授業のデメリットについて詳しく見ていきましょう。

児童生徒とのコミュニケーションの難しさ

オンライン授業は対面授業と違い、教員は児童生徒の授業態度を見取ることが難しくなるというデメリットがあります。オンデマンド配信では、児童生徒の状況はまったくわかりません。また、ライブ配信でも、教室内の空気感を共有したり、お互いの気配を感じたりすることができないため、児童生徒が集中できているのか、理解できているのかを把握することが困難です。

動画制作や授業内容のデジタル化に関わるコスト、教員の授業準備の負担

教材のデジタル化や動画の作成など、授業の準備に時間と労力、コストがかかるということもデメリットです。加えて、オンライン授業を円滑に行うスキルを習得するために、教員には負担がかかります。

授業の収録やライブ配信時は、児童生徒の反応を見ながら授業を進めることが難しいため、通常の対面授業とは異なるスキルが必要です。特に、家庭科や図工、理科の実験など、実習や体験を伴う授業を行う際には、手元のアップを映すなど、カメラアングルなどを工夫しなければなりません。

安定したインターネット環境と機材が必要

安定したインターネットの通信環境と機材が必要になることも、オンライン授業のデメリットといえます。Wi-Fi環境の整備、Webカメラやマイクといった配信側の設備に加え、児童生徒1人ひとりがコンピュータやタブレットなどの端末を持っていなければなりません。

友達との直接的な交流の機会の減少

オンライン授業のデメリットには、友達との直接的な交流機会の減少も挙げられます。従来の対面授業には、学習活動以外にも、友達との直接的な交流や身体活動を伴った共同作業を行う機会がありました。しかしオンライン授業では、このような機会がありません。オンラインでのコミュニケーションがあったとしても、画面越しでの交流では話し合いが深まりづらかったり、児童生徒が疎外感や孤独感を抱いてしまったりすることがあります。

オンライン授業を実施する方法

オンライン授業を実施するためには、事前にさまざまな準備と設定、確認が必要です。ここからは、オンライン授業を実施する方法について説明します。

児童生徒側の端末とインターネット環境の確認

オンライン授業を実施するにあたっては、児童生徒の端末とインターネット環境を整備することが前提となります。事前に児童生徒が使用するコンピュータやタブレット、スマートフォンといった端末がそろっているか、スペックが充分であるか、動作に問題がないかを確認します。そして、インターネット環境の安定性を確認。発信側の環境が整っていることはもちろん重要ですが、受信する児童生徒側の接続が安定しているか、事前にテストしてみることが大切です。

教育プラットフォームとツールの選定

オンライン授業を実施する前に、適切な教育プラットフォームとツールを選定する必要があります。十分な情報セキュリティが担保されていること、サポートがしっかりしていることが選定の重要なポイントです。そこを踏まえた上で、教員も児童生徒も簡単に使えるような、操作性の高いプラットフォームやツールを選びましょう。また、文字だけでなく音声や動画など多様なメディアを扱えるか、必要とする機能が備わっているかも吟味することが大切です。

教員と児童生徒の間の効果的なコミュニケーションを確立

オンライン授業では、子どもたちの様子が把握できなかったり、子どもの疑問に瞬時に対応できなかったりすることが考えられます。チャット機能などを利用すれば、児童生徒からの質問に迅速に対応するなど、気軽にコミュニケーションできます。また、ライブ配信の授業では、教員が一方的に話すのではなく、ディスカッションや投票など、児童生徒が意見を伝える場を設けることで双方向の授業へとつながります。

オンライン授業の活用事例

続いては、学校でのICT教育をサポートする学習活動端末支援Webシステム「SKYMENU Cloud」を使ったオンライン授業の活用事例を紹介します。

愛知県日進市立日進中学校では、コロナ禍のなかで実施した卒業証書授与式を、全教室にライブ配信しました。「SKYMENU Cloud」の「Web会議システムとの連携」を用いて、各教室と体育館を中継でつなぎ、全校生徒が体育館に集合すると密になってしまうところを、教室でライブ配信を見るかたちで解決。卒業証書授与式は、学校生活の集大成。卒業生と保護者のみで行うことも検討されましたが、Web会議システムとの連携機能を使い、在校生に卒業する先輩の姿を見せることができたそうです。

また、密を回避するために、朝礼も校長室から発信しました。「超短焦点プロジェクタ」と組み合わせて、壁に生徒の様子を映し出すことで、一方通行的な発信ではなく、生徒の顔が見える双方向性の高い「朝礼」を実現しました。その後、完全オンライン授業を想定した検証実験を実施し、実用の検討に入っています。

オンライン授業を円滑に進められるツールを使おう

GIGAスクール構想によって、児童生徒が1人1台の端末を持ち、ICTをベースとした新しい学習のかたちが広がっています。「SKYMENU Cloud」は、学校でのICT教育を支援するクラウド型システムです。日々の学習活動だけでなく、授業外の活動や家庭との連携などもサポートします。

SKYMENU Cloudには、児童生徒が自ら学びを進めたり、友達と意見を共有したりできる機能が備わっています。また、オンライン授業を行う上で「子どもたちが迷わずWeb会議システムに接続できるようにしたい」「一人ひとりの学習の進捗状況が知りたい」といった、学校側のご要望に沿った機能も搭載されています。オンライン授業を円滑に進められるツールをお探しなら、「SKYMENU Cloud」の利用をご検討ください。