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学習発表会の目的は? 成功させる6つのポイントを紹介

著者:Sky株式会社

学習発表会の目的は? 成功させる6つのポイントを紹介

近年、学習発表会を開催する学校が増えています。その理由は、コロナ禍による各種行事の在り方の見直しや時代の変化などが挙げられています。学習発表会をはじめとする文化的行事のねらいは、学習指導要領において「平素の学習活動の成果を発表し,自己の向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするようにすること」と明記されているように、児童生徒の成長にあります。この記事では、学習発表会の目的や学習発表会を成功させるためのポイントなどを紹介します。

学習発表会とは

学習発表会とは、学習指導要領に示されている文化的行事のうち「各教科等における日頃の学習(や活動)の成果を総合的に発展させ,発表し合い,互いに鑑賞する行事」の一つです。学芸会や展覧会、作品展示会,音楽会などと同じ位置づけの行事となり、保護者や他学年、地域の方々などに対して、これまでの学習の成果を発表する場として行われます。

これらの文化的行事の取り組みは、コロナ禍の影響や時代の変化から内容を見直す学校も増えており、小学校においては準備や練習に時間がかかり大きな労力が必要となる学芸会ではなく、日頃の学習の成果を発表する学習発表会を行う学校が増えているといわれています。発表方法はさまざまで、体育館の舞台上で各クラスが順番に発表する形式の場合もあれば、複数の発表場所を用意して複数の発表を見て回る形式とする場合もあります。

児童生徒にとっては成長した姿を家族に見てもらう機会であり、成果を認めてもらうことによって学習意欲の向上につながります。また、教員としても保護者に学習の成果を披露する場になり、信頼関係の構築につながるというメリットもあります。

※出典:学習指導要領解説 特別活動編。()内は中学校、高等学校にのみ記載

学習発表会を成功させるためのポイント

学習発表会は、児童生徒の大きな成長の機会となります。準備や練習、本番という一連の経験を通じて、一人ひとりが達成感を味わい、自信につなげていけるように工夫することが大切です。ここでは、学習発表会を成功させるために大切なポイントから、代表的なものを紹介します。

学習発表会のねらいを明確にする

まず、児童生徒の「どのような資質・能力を高めたいのか」という視点で、学習発表会のねらいを明確にします。学校全体としてのねらいはもちろん、発達段階に応じて学年ごとのねらいも検討し、すべての教員が共通の認識を持つことが大切です。そして、ねらいに合わせて発表の形式や時間などを検討します。

本番までの大まかなスケジュールを組む

準備に着手するのはいつ頃か、どのくらいの時期に、どこまでの準備が進んでなければならないのかなどを時系列に沿って整理します。学校には行事に関する分掌が決まっていると思いますので、学校全体のスケジュールを検討しつつ、各学年でも話し合いながらスケジュールを決めます。

児童生徒が「自分たちで決めた発表内容」と感じられるように

ねらいが確認でき、発表形式や大まかなスケジュールが決まれば、発表単位(学級ごと、学年ごとなど)で集まり、発表内容の検討を進めます。教員が方向性を考えておくことは大事ですが、教育効果を高めるためにも児童生徒とともに考えることが重要です。これまでの学習内容を振り返りながら話し合えば「自分たちで決めた」と感じられます。

準備や練習を進める上で大切なこと

学習発表会の本番に向けては、さまざまな準備や練習が必要になります。長い期間を掛けて進める取り組みとはいえ、一つひとつの準備に充てられる時間は限られるため、なんとなく進めてしまうと、あっという間に時間が足りなくなってしまいます。児童生徒の成長をしっかりと後押しするために、次のような点に注意します。

教員一人ひとりの役割を決めておく

学年ごとに準備や練習を進める場合は、全体指導を学年主任が担当することが多いと思います。それ以外にも「抑揚をつけたセリフの指導は、○○先生」「発表用の大書きの制作の指導は、○○先生」「ビデオカメラでの活動の記録は、○○先生」というように、教員の役割を具体的に決めて分担をしておくことで、より効果的に準備が進められます。

児童生徒が全体の見通しとめあて持てるようにする

児童生徒の学習発表会に向けた活動の計画を立てます。特に、経験が少ない小学校低学年の場合は、教員がカレンダーや予定表に、いつまでに何をするのかなどを書き込んだり、やることリスト(TODOリスト)を書き出したりして視覚化することも有効です。逆に、小学校高学年以上であれば、予定表のフォーマットだけを用意し、自分たちで予定を立てられるようにします。

一人ひとりに、その日のめあてを持たせる

児童生徒には、毎回の準備や練習の時間におけるめあてを持たせることが大切です。例えば「めあて表」や「めあてカード」などを用意して、それぞれが今日は「何の準備を、どこまで進めるのか」「何の練習をして、どういう成果を得たいのか」といったことを書き込んでから、準備や練習に取り組むことで児童生徒の意欲が高まります。

準備や練習に対する振り返りを行う

準備や練習の最後には、その日の振り返りをします。グループごとに分かれて感想やお互いのよかったところを伝え合ったり、次の準備や練習に向けて工夫できるところなどを提案し合ったりする時間を持ち、ポジティブな雰囲気づくりを心掛けることで、目標に向かって取り組む団結が生まれます。

本番が近づいたら、児童生徒に「相手意識」を持たせる

準備が進み、本番で発表している姿がイメージできるようになる頃には、児童生徒の意欲もさらに高まっていきます。しかし、児童生徒は「自分たちのこと」に意識が向きがちです。そこで、保護者や地域の方々への招待状を書いたり、リハーサルを見せ合ったりすることで、発表を見る相手に対する意識を高めることも大切です。

リラックスして本番を迎える工夫

本番前には、発表場所とは別の教室などで集まり、発表者の発声練習や本番の立ち位置の確認、発表資料や小道具の用意を行います。このとき教員が声を掛け、各自の持ち物やトイレの最終チェックを行うとよいでしょう。

本番直前になれば、どんなに練習を重ねてきても緊張するものです。むしろ、さまざまに努力をしてきた子ほど、緊張感が高まっているということも多くあります。児童生徒のこれまでの努力の成果が、十分に発揮できるような雰囲気づくりも教員の大切な役割です。例えば、集合前に待機場所に音楽をかけておくだけでも雰囲気が変わります。また、「やるぞー!」などとみんなで大きな声を出すことでも緊張を和らげることができます。体操で体をほぐして温めることも有効です。

それでも、本番には失敗やトラブルがつきものです。そのときも慌てず落ち着いた声で「大丈夫、もう一度やってみよう」と、やり直すきっかけを作ります。「失敗してしまった」というネガティブな感情で終わるのではなく、「失敗したけど、最後までやれた」というポジティブな気持ちで達成感を感じられるように配慮することが重要です。

全体を通した振り返りを行う

学習発表会が終わった後は、毎回の準備や練習の後に記入してきた「めあて表」などを参考に、準備期間を含めた全体の振り返りを行います。自分がどのように取り組んだのか、特に頑張ったこと、成長したところなどをしっかりと振り返った上で、クラス全体でも共有します。それが、お互いを認め合ったり、新たな気づきを得たりする機会となります。そして、クラス全体としての振り返りも行い、一人ひとり頑張りがクラス全体の成長につながったという実感が持てるのが理想です。

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