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Sky株式会社

公開日2024.12.12

学級目標の決め方 ポイントや具体例をご紹介

著者:Sky株式会社

学級目標の決め方 ポイントや具体例をご紹介

学級目標は、学級における1年間の目標です。新年度が始まってから、学級での生活に慣れてきた5~6月に作成することが一般的ですが、この内容や取り扱いについては、明確に規定されているわけではないため、特に新任のうちは、どのように決めればいいか迷うことも少なくありません。この記事では、学級目標の位置づけや決める際に配慮すべき点、具体例などを紹介します。

学級目標とは何か

学級目標とは、学習指導要領や学校教育目標に基づき、さらに児童生徒や保護者、教員の思いや願いを盛り込んで定められる、学級における1年間の「めあて」となる目標です。その内容や取り扱いについては明確に規定されているわけではありませんが、学習指導要領解説(特別活動編)の「学級活動」の項目には次のような記述があります。

(3)学級活動「(3)一人一人のキャリア形成と自己実現」
ア 現在や将来に希望や目標をもって生きる意欲や態度の形成

学級や学校生活に希望や目標をもち,日常生活での不安や悩みの解決に向けた個人の目標を設定したり,個性の伸長を図るために自己を理解したりして,よりよく意思決定できるようにすることが考えられる。また,児童の思いや保護者の願い,教師の思いを盛り込んだ学級目標の実現を目指し,児童一人一人がこれからの学習への取り組み方や生活の仕方などについて意思決定をする内容も考えられる。

(1)学級や学校における生活づくりへの参画
イ 学級内の組織づくりや役割の自覚
生徒が話し合って決めた学級の目標を踏まえ,それを実現するために必要な組織づくりや,仕事の役割分担やルールづくり,学級内の組織の意義や活動について話し合って合意形成を図る活動や,分担した役割の計画や成果を学級で共有する方法についての話合い,各活動の振り返りや改善についての話合いなどの充実が考えられる。

学級目標は、児童生徒一人ひとりや学級集団の成長のための「目指す姿」であり、生徒指導や学級活動などに幅広く役立てられるものです。折々に学級目標を確認することで、児童生徒は基本に立ち返ることができ、客観的に課題を認識することができるとされています。

学級目標の決め方・作り方のポイント

学級目標はどのようにして決めればよいのでしょうか。基本的に担任教員が中心となってまとめることになりますが、担任教員の考えだけで決めるのではなく、児童生徒が「自分たちの目標」だと意識できるように工夫します。

児童生徒と担任教員が一緒に作り上げる

学級目標を考える際、児童生徒にすべてを委ねてしまうケースも見聞きしますが、それでは担任教員の思いが反映されません。また、学校教育目標や学年目標との関連づけもできなくなります。一方で、担任教員の意見だけで目標を定めてしまうと、児童生徒にとって「自分たちの目標」という意識が薄らいでしまい、教員が「学級目標で決めたことを守ろう」と呼びかけても、反発してしまう可能性もあります。

そのため、児童生徒が「自分たちで決めた目標だ」「学級目標を目指すんだ」と思えること、担任教員の思いを盛り込むこと、この2つの視点で取り組むことが大事だといわれています。さらに、保護者も同じように「こんな学級にしてほしい」という思いや願いを持っていることを念頭に置いて考えることが大切です。

児童生徒、保護者、教員の思いが取り入れられるよう準備をする

埼玉県教育局東部教育事務所が発行している「若い先生のための学級経営講座」では、学級目標の設定前に次のことをしておくよう示されています。

  • 学級担任の学級経営方針の説明
    担任教員が児童生徒に学級経営方針などをわかりやすく語り、保護者に対しても学級通信などを通じて理解と協力を求める
  • 学校教育目標、学年目標の説明
    校長式辞や学年主任の話を受け、担任教員がさらにかみ砕いて説明する
  • 児童生徒の思い・願いの把握
    入学式・始業式以来の児童生徒の思いや願いを集約する
  • 保護者の思い・願い
    家庭調査票や連絡帳の記入や保護者会などの発言などから保護者の思いや願いを集約する
  • 児童生徒の実態
    前年度の申し送り資料などから児童生徒の学習状況や生活状況の実態をつかむ

参考:埼玉県教育局東部教育事務所「若い先生のための学級経営講座」より 一部要約して抜粋

このように、学校教育目標や担任教員の学級経営方針などを児童生徒や保護者にわかりやすく伝えつつ、児童生徒の思いの集約や実態を把握した上で、さらに保護者の思いや願いを盛り込めるように準備することが重要です。

「どんな○年生になりたい?」と問いかける

準備を行った上で、児童生徒同士の交流が見られるようになった頃合いを見て、学級活動を充実させていき、学級全体での話し合い(集団討議)によって、全員で決定(集団決定)することが推奨されています。このときには、「どんなクラスにしたい?」と問いかけるのではなく「どんな○年生になりたい?」「来年の3月にどうなっていたい?」と尋ねるのがコツです。

児童生徒から出た多くの意見から、「これらが、どんな言葉にまとめられるか」を話し合います。例えば、「大切だと思う言葉は何?」「たくさん出てきた言葉はどれ?」などと問いかけることで、児童生徒に考えさせます。こうしたステップを一つひとつ丁寧に踏むことで、先生と一緒に「自分たちが決めた目標」と位置づけることができます。

学級目標を決めた後に大切なこと

学級目標を決めた後は、教室前面の黒板などに掲示するのが一般的で、1年間を通じて折々に学級目標に立ち返る機会をつくることが大切です。例えば、学級で困ったことがあったとき、逆に学級目標に合致した言動が見られたときなど、叱るときも褒めるときも常に学級目標を確認することで、少しずつ学級目標が児童生徒にとっての考え方の土台となっていきます。そのために「自分たちが決めた目標」だという意識が醸成されていることがとても大切になります。

例えば、学級目標を記した模造紙に木の幹と枝だけを描いておき、目標に合致した行動や出来事があるたびに、折り紙で作った花に「達成したこと」を書き込んで貼りつけていくなどして、視覚化して意識づけるといった工夫をする学級も多くあります。同じく、大きな瓶にビー玉をためたり、手作りのコインをためる貯金箱を用意したりという取り組み事例もあります。

学級目標の

小学校の学級目標の

小学校の学級目標は、なるべく簡単で覚えやすい言葉で表現することを心掛けます。そして、児童が「自分たちの合言葉」だと思えるようになるのが理想的です。いくつかの目標を「あいうえお作文」でまとめるのも一つの方法です。

な:仲良く助け合おう
か:考えて行動しよう
よ:よく話し合おう
し:しっかり勉強しよう

なお、あいうえお作文の場合は、頭文字を学級のキーワードに位置づけやすく、「なかよし会議(学級活動の愛称)」や「なかよし通信(学級通信の名称)」など、さまざまなものに展開しやすいというメリットもあります。

中学校の学級目標の

中学校の学級目標でも、なるべく短く覚えやすい表現をすることが大切です。シンプルで深い意味を持つ言葉として、四字熟語やことわざ、偉人の名言などを用いることも多いです。その場合でも、生徒自身が「自分たちらしさ」を感じられるよう、選んだ言葉にどのような意味を持たせるのかを十分に話し合い、学級全体の総意として認識合わせをすることが大事です。

  • 一致団結 → どんなときでも心を一つに協力し合おう!
  • 切磋琢磨 → いつも励まし合って、お互いの成長を目指す!
  • 十人十色 → 一人ひとりの個性を尊重し合える仲間になろう!

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