児童生徒1人1台端末などICTを活用した教育についてさまざまな情報を掲載します。

Sky株式会社

公開日2024.12.12

「チームとしての学校」の在り方をわかりやすく解説

著者:Sky株式会社

「チームとしての学校」の在り方をわかりやすく解説

学校が抱える課題は複雑化・多様化しており、教員の多忙化が顕著になっています。こうした背景から、中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」がまとめられ、教師が子どもと向き合う時間を確保したり、学校の課題を解決する体制を構築したりするために、「チームとしての学校」の重要性が指摘されました。この記事では、現在「チーム学校」ともいわれる「チームとしての学校」について、中央教育審議会答申の内容に基づいてご紹介します。

「チームとしての学校」とは?

チームとしての学校とは、文部科学省が初等中等教育で推進しようとしている学校組織の在り方です。学校が抱える課題を解決していくために、教員だけでなく、スクールカウンセラーやソーシャルワーカー、事務職員など、多様な専門職が一体となって子どもたちを支援できる体制づくりが必要だとされています。チームとしての学校は、このように教員と専門性を持つ職員が一つのチームをつくりあげ、従来教員が中心となって担ってきた業務や課題を、それぞれの専門性を生かしながら連携・協働して対応することを目指します。

現在の学校では、生徒指導上の課題や特別支援教育の充実、子どもの貧困問題など、課題が多様化・複雑化しています。さらに、学習指導要領で推進される新しい時代に求められる資質・能力を育む教育課程を実現していく必要もあります。日本の学校や教員は、多くの役割を担っており、教員だけでは対応に苦慮したり、個別に十分な対応ができなかったり、また、授業準備や教材研究等に十分な時間を割くことができないという実態があります。こうした背景から、多様な専門職が一体となるチームとしての学校が求められています。

「チームとしての学校」を実現するために重要な視点

「チームとしての学校」を実現するためには、専門性に基づいたチーム体制の構築、学校のマネジメント機能の強化、教職員が個々の力を発揮できる環境づくりが重要です。ここではこれらの3つの視点についてご紹介します。

専門性に基づいたチーム体制を築く

多様な専門性や経験を有する専門能力スタッフが学校の教育活動に参画するため、教員も専門能力スタッフも「チームとしての学校」の一員として、目的を共有し、取り組みの方向性をそろえることが大切です。

そのためには、ICT機器等を活用して情報共有し、関係者間でコミュニケーションを密にすることが欠かせません。そして、それぞれの職務内容、権限と責任を明確化にし、一人ひとりが当事者意識を持ちながら、学校の課題への対応や業務の効率的・効果的な実施に取り組んでいくことが必要です。

学校のマネジメント機能を強化する

教職員や専門能力スタッフが一体となり、学校がチームとして機能するためには、学校のマネジメント機能の強化が欠かせません。優秀な管理職を確保するため、中堅教職員の段階から、管理職として求められる資質・能力を継続的に伸ばせる仕組みが求められており、国や教育委員会は、管理職の養成、選考・登用、研修とそれぞれの段階を通じて一貫した施策を講じていくべきだとされています。

教職員が個々の力を発揮できる環境づくり

教職員が力を発揮できる環境整備には、人材育成の充実と業務改善が重要です。管理職は人事評価制度を活用し、教職員の意欲と能力を引き出す取組を進める必要があります。また、教育委員会は専門的な支援体制を整備することが求められます。

「チームとしての学校」と家庭・地域社会との関係について

「チームとしての学校」を実現するためには、学校と家庭、地域社会との関係を整理し、学校が何をどこまで担うのか、整理することが必要です。ここでは、家庭・地域社会との関係についてご紹介します。

これまでの学校・家庭・地域社会の関係

学校・家庭・地域社会の関係に関する経緯として、1996(平成8)年の中央教育審議会答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方」があります。週5日制の導入をにらみ、家庭や地域社会の教育力の低下が指摘されました。家庭や地域社会での教育の充実を図り、社会の幅広い教育機能の活性化が課題であると提言されました。

この提言等を踏まえ、文部科学省では、関係省庁等と連携し、家庭や地域社会における教育活動の充実に取り組み、土曜授業などにより学校だけでは経験できないような機会が拡大するなど、一定の成果が上がりました。

学校・家庭・地域社会の関係の変化

近年、都市部への若者の移動や核家族化の進展により、家庭の教育力や家庭と学校の関係が変化しています。また、近年地域の力を学校に取り入れるための仕組みや学校の情報公開の取組が進められてきましたが、高齢化や過疎化が進展する中で、学校と地域との関係にも変化が見られます。

学校の在り方にも変化があった

日本の学校や教員は、欧米諸国の学校に比べて多くの役割を担っており、子どもに対して総合的な指導が可能な一方、役割や業務を際限なく担うことにつながりかねない側面があります。学校と教員の役割は、子供に必要な資質・能力を育むことであり、家庭や地域社会との役割分担を見直すことが求められています。

学校・家庭・地域との連携・協働

子どもの成長を支えるために学校、家庭、地域が連携・協働して、教育活動を充実していくことが重要です。学校が家庭や地域との連携・協働を進めるにおいて重要なのが、PTAの活動です。PTAは、保護者と学校の協力により、学校及び家庭における教育に関し理解を深めるさまざまな活動を行っており、学校の身近な応援団として期待されています。

特に、全国的な傾向として、多くの地域で若手の教職員が増加しており、PTA活動を通じて保護者の経験等をいかした協力を得ながら、学校、家庭、地域の連携・協働により子供たちの生きる力を育む必要があります。

地域で活動している団体との連携・協働

青少年団体やスポーツ団体をはじめ、経済団体、福祉団体など地域で活動している団体は、子どもたちに社会性、協調性や積極性を養うための活動に取り組んでいます。これらの団体と連携・協働し、子どもたちのさまざまな活動を充実していくことが重要です。

「チームとしての学校」実現に向けた事業例

文部科学省は2016年度、「チーム学校の実現に向けた業務改善等の推進事業」として、いくつかの自治体で事業を実施し、成果報告書を作成しています。

例えば、栃木県佐野市では、学外の人材を活用して 教職員を支援する「学校サポートチーム」を設置し、専門家による研修会・相談・助言などにより、学校・教職員を支援していく体制を構築することを目指しました。警察OBや社会福祉士、スクールソーシャルワーカーなどでつくる学校サポートチームを設置。トラブルへの対処に関する研修会を実施したほか、学校からの相談・助言・ケース会議・訪問・定期コンサルテーションが行われました。

学校サポートチームが、課題解決に有効であるという肯定的な回答をした教職員の割合は70%以上、また、今後も学校サポートチームが必要であるという肯定的な回答をした教職員は90%近くとなりました。

そのほか、「人口減少・外国人増加地域における学校サポート体制の構築」「学校運営協議会を含めたチーム学校を推進する事務職員の役割の明確化と体制整備」などのテーマでも事業が行われました。

学校教育の実践にお役立ていただけるSKYMENU Cloud

GIGAスクール構想によって、児童生徒1人1台の端末が配備され、ICTを基盤とした新しい学びのかたちが広がっています。児童生徒が自己調整しながら学びを進める「個別最適な学び」や多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」、これらの学びを一体的に充実させ、児童生徒が自らの手で未来を豊かに創り出していく力の育成を「SKYMENU Cloud」は支援します。