通知表の所見の書き方のコツ・文例
通知表(通信簿)は保護者に対して児童生徒の学習指導の状況を連絡し、家庭の理解や協力を求める目的で作成されるもので、学校の公式記録となる指導要録のように法的な根拠はありません。そのため、様式や記載内容も含めて各学校が工夫しながら作成しています。通知表の所見も同様で、「このように書かなければならない」というルールはありません。しかし、決まった形式がないからこそ書き方に悩む場面も少なからずあります。この記事では、通知表の所見の書き方のポイントや、学年ごとの文例を紹介します。
通知表の所見を書くときのポイント
前述のとおり、通知表の所見には決まった形式はありません。そのため、「所見文例集」といった書籍も多数出版されています。ここでは一般的に所見を書くときのポイントとされている点を整理して紹介します。
成長や努力のプロセスを認めるポジティブな内容に
所見はポジティブな内容を中心に記載することが基本だとされています。本人の成長や努力など、プロセスを認める内容を含めることで、児童生徒や保護者が前向きに受け止められるようにします。
エピソードなどを交えて具体性を持たせる
抽象的な表現は避け、具体的な行動や成果を記述します。例えば、学校行事に触れるのであれば「○○○の場面で、友達を励ましていた」など、児童生徒がどのように取り組んだかに触れることも大切です。
まず、具体的なエピソードを書いてから、それを一般化するようにまとめようにします。
改善点や課題の記述は前向きな表現に
良いところだけではなく、課題や今後の改善点などについても触れることで、より信頼性が高い所見となります。しかし、その際も否定的な表現はせず、改善できるとどう良くなるかも含めた前向きな表現を心掛けます。
以前の所見も踏まえて一貫性を保つ
学期ごとに所見を記述する場合は、児童生徒の成長や変化を踏まえた内容にして、前回の所見と矛盾しないように心掛けます。特に1学期の場合は、前年度の通知表なども参考にすることも大切です。
要点が伝わる簡潔な文章にする
所見は、短い文章で要点を的確に伝えられるのが理想的です。例えば、生活面・学習面における「事実」と「評価」、「展望」というように、あらかじめ構成を決めておけば、長文になりすぎることはありません。
通知表の所見の文例集
実際に所見を書く際、どのようにまとめれば良いのでしょうか。前述のとおり、所見文例集は書籍やWebサイトで多く紹介されていますので、それらを参考にするのも一つの方法です。ここでは小学校の学年別に、所見を書く際のヒントと文例を紹介します。
小学1年生への所見文例
小学校1年の1学期は、児童にとって初めての通知表となります。集団生活や学習活動のルールに慣れて、友達と一緒に学校生活が送れるようになったことなどを伝えます。
文例
学校生活にも慣れてきて、授業では進んで手を挙げて発表できました。また、給食や掃除当番などでは、みんなのために責任を持って行動することができています。2学期からの成長も楽しみにしています。
小学2年生への所見文例
基本的な生活習慣が身についてくる2年生では、友達との関わりについて触れ、ほかの児童にいい影響が広がっていることなども書けます。
文例
誰に対しても思いやりの気持ちを持って接することができ、自分からはなかなか話せない友達に声をかけてあげていました。生活科の「学校探検」では、一生懸命に1年生のお世話をして「笑顔で探検できてうれしかった。」と喜んで話してくれました。
小学3年生への所見文例
小学校3年は、理科・社会や総合的な学習の時間が始まり、リコーダーや習字など「初体験」が多い学年です。それらへの取り組み方に触れると具体性を増すことができます。
文例
落ち着いて行動する習慣が身についています。国語の習字やローマ字、音楽のリコーダーなど、初めてことには少し難しさを感じていたようです。しかし、ねばり強く繰り返し挑戦することで、できることが着実に増えています。
小学4年生への所見文例
グループ学習での話し合いをリードしているなど、少し高度な内容を含めると「こんなことができるようになったんだ」という成長の実感につながります。
文例
友達と協力してポスター作りに取り組むなど、楽しみながら落ち着いた学校生活を送っています。学級会ではリーダーとして事前に会の進め方を相談するなど、計画的に取り組んでいました。その優しさで、さらに学級を盛り上げてくれることを期待しています。
小学5年生への所見文例
5年生になると、ここまで4年間のうちに何度も通知表を受け取っているので、できるだけ成長や変化の具体例を挙げて書けるのが理想的です。
文例
どの教科においても進んで自分の考えを発言し、調べたことや自分の理解を踏まえて語る姿に成長を感じます。友達にも「手伝おうか?」といった言葉を自然にかけることができます。今後も、その優しさが発揮できるよう励ましていきます。
小学6年生への所見文例
委員会や運動会、クラブ活動などさまざまな場面でリードする立場になる学年です。学校全体や友達、下級生のためにどのように頑張っていたかをまとめます。
文例
1年生のお世話活動の際、しゃがんで目線の高さを合わせながら話している姿に、ほほえましく感じました。学習では、授業中に疑問に感じたことを休み時間に質問して解決するなどしていました。この、納得のいくまで考える力はこれからも大切です。
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