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Sky株式会社

公開日2026.02.18

校務DXとは? 全国の取り組み状況や事例を紹介

著者:Sky株式会社

校務DXとは? 全国の取り組み状況や事例を紹介

近年、GIGAスクール構想によって児童生徒の1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークの一体的な整備が進められるなか、教員の業務負担軽減や働き方改革を目的とした「校務DX」が注目されています。校務DXとは、デジタル技術を通じて校務を効率化し、教育活動の質を高める取り組みのことです。本記事では、校務DXの概要や全国の学校の状況や具体的な事例などについて詳しくご紹介します。

校務DXとは何か

校務DXとは、デジタル技術を通じて校務を効率化し、教育活動の質を高める取り組みを指します。教員は授業以外にも、授業の準備や児童生徒のサポート、保護者対応、職員会議や研修など、多岐にわたる業務を担っています。文部科学省が2023年に公表した「GIGAスクール構想の下での校務DXについて~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~」によると、現在の校務情報化の課題として、「校務処理の多くが職員室に限定され、働き方の選択肢が少ない」「紙ベースの業務が主流となっている」などが挙げられています。また、管理職の外出・出張中は校務支援システムで行う文書決裁処理ができず業務が滞ったり、軽微な校務処理のために長期休業中も原則出勤する必要があったりと、テレワークなどの柔軟な働き方が求められている現状にそぐわなくなっています。こうしたなか、従来は紙や電話、FAX中心だった業務をデジタル基盤に移行し、クラウド活用などによって効率的に再設計していく取り組みが「校務DX」です。

校務DXの取り組み状況

では、全国の自治体や学校において、校務DXはどれほど進んでいるのでしょうか。デジタル庁の「校務DXの取組に関するダッシュボード」によると、2024年度、「教職員と保護者間の連絡のデジタル化」の中で、「欠席・遅刻・早退連絡」を完全にデジタル化していると答えたのは45%と、2023年度の31%から増加。「FAXの原則廃止」は23%で、2023年度の4%から大幅に増えました。一方、「押印の原則廃止」は7%と2023年度から6%減少し、全10項目の中で唯一減少しました。

出典:デジタル庁「校務DXの取組に関するダッシュボード」

校務DXを進めている自治体は増加傾向にありますが、その地域差は大きくなっています。例えば、2024年度、「教職員と保護者間:欠席・遅刻・早退連絡」について、「完全にデジタル化している」と答えた割合で最多となっているのは、埼玉県の69%です。最も少ない岩手県の11%とは58%もの差があります。

出典:デジタル庁「校務DXの取組に関するダッシュボード」

校務DXが注目されている理由

校務DXが注目されている背景には、教師の業務負担を軽減し、働き方改革を推進することが急務の課題となっているためです。前述したように、教員は授業だけでなく、児童生徒のサポート、保護者対応などの多岐にわたる業務を担っており、業務負担の増大が問題視されています。文部科学省が公開した「令和5年度公立学校教職員の人事行政状況調査」によると、2023年度教育職員のうつ病などの精神疾患による病気休職者数は、7,119人で、2022年度の6,539人から580人増加し、過去最多となりました。文部科学省は教師の長時間勤務の是正を図って教師の健康を守るとともに、ウェルビーイングを向上させ、その高い専門性を大いに発揮できるようにすることで、子どもたちに対してより良い教育を行えるようになるとしています。

校務DXを推進するための対策

では、校務DXを推進するためには具体的に何を行えばよいのでしょうか。文部科学省は2025年3月に公開した「次世代校務 DX ガイドブック -都道府県域内全体で取組を進めるために」の中で、次世代校務DXの前提には、従来業務の見直しや汎用クラウドツールの活用があるとしています。加えて、クラウド上で重要性の高い情報を取り扱えるようにするための環境整備の必要性についても述べています。ここでは、校務DXを進めるための対策について紹介します。

アナログ業務をペーパーレス化する

これまで慣習的に行われてきた業務を時代の変化や技術の進展の視点から再度点検し、業務の優先順位をつけ、必要性が低いものは思い切って廃止することが大切です。その第一歩が、アナログ業務のペーパーレス化です。業務に必要なワークフローを整理または設計した上で、そのワークフロー全体をペーパーレス化し、データで完結します。例えば、学校で扱われる帳票は、電子ファイルを原本として保存することが可能です。電子署名などを活用すれば、内容の真正性と機密性を確保できます。また、印刷コストや保管スペースの削減にもつながります。

校務支援システムをクラウドに代替する

クラウドツールの活用により、教職員や校内・校外の学校関係者の負担軽減と、コミュニケーションの活性化が期待できます。例えば、電話や校内放送が主とされてきた教職員間の連絡において、チャットツールを活用すれば、必要な情報を必要な教職員だけに、いつでもどこでも素早く伝えられます。GIGAスクール構想によって児童生徒の1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークの一体的な整備が進んだ今、教職員も校務におけるクラウド活用を進め、自らの業務での経験を授業や学習に生かすことで、クラウドを活用した児童生徒の学びの充実につながる、という好循環が生まれるといえます。

情報セキュリティを構築する

校務データには、生徒や保護者の個人情報、成績など、機密性の高い情報が含まれています。ペーパーレス化やクラウド化を進めるほど、外部からの不正アクセスや情報漏えいのリスクが高まるため、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。具体的には、多要素認証による利用者認証、端末・サーバ・通信の管理や制御などが挙げられます。また、教職員を対象に、セキュリティ面での留意点を伝える研修を実施するのも効果的です。

校務DXの事例

校務DXは、すでに多くの学校において具体的な形で導入されています。ここでは、文部科学省の「校務DXチェックリストの項目に関連する令和5年度のリーティングDXスクールの実践」から、生徒の出欠管理や保護者との連絡について、クラウドサービスで効率化した事例を紹介します。

生徒の遅刻・欠席・早退をクラウドサービスで管理

ある公立小学校は、全校児童の欠席・遅刻・早退の状況を把握するために、クラウド上の「欠席連絡ツール」を使用。保護者には午前8時までの入力を依頼しており、全員が登校する午前8時10分ごろには児童全員の欠席状況がわかります。休む理由を記載できるため、体調の優れない児童や休みがちな児童の状況把握がスムーズになり、学校全体がチームとして児童を見守ることができているといいます。従来は電話による欠席連絡が多く、一括で状況を把握することはできませんでした。ツールの導入によって電話の回数が減り、教員と保護者双方の負担減につながっています。

保護者へのお便りをクラウドサービスで配信

学校便りなどのデジタル化を進めている学校もあります。ある公立小学校は、保護者向けのお便りを、紙のお便りから学習支援サービスやWebサイトを通じて閲覧してもらう形に変更。子どもの出し忘れによる伝達漏れを防げる上、教職員による印刷の手間がなくなり、効率化につながっているといいます。

東京都で始まった次世代校務DXプロジェクト

東京都は校務DXをさらに加速させるため、2025年度に「次世代校務DXプロジェクト」を始動し、区市町村における次世代校務DX環境の共通化方針を策定しました。都内で共通化された統合型校務支援システム(クラウド型)や、データの可視化・利活用が可能なダッシュボードの整備、ゼロトラストセキュリティの実施および周辺ツールの整備を行う方針です。

統合型校務支援システムについては、2028年度以降順次導入。教員の自治体をまたぐ異動や児童生徒の転校があっても、同じシステムを継続して利用できます。データが蓄積されることでよりきめ細かい支援ができ、教育の質の向上につながると期待されています。併せて、保護者連絡ツールやデジタル採点ツールなども導入し、教員の業務効率化や保護者の利便性向上を実現するとしています。都内公立小中学校などの児童生徒約83万人の情報が管理され、教員約5万人が使用しているシステムを都内で共通化する取組は、全国最大規模となります。

校務DXや教職員の働き方を支援する
SKYMENU Mobile

本記事では、校務DXの概要や取組の状況、具体的な対策などについて紹介してきました。近年、校務DXを推進する上で、学校用スマートフォンを整備する自治体も出てきています。そこでおすすめしたいのが、Sky株式会社が提供するスマートフォン用のアプリ、「SKYMENU Mobile」です。校務の情報を安全に、確実に、そして効率的に扱えるように設計しています。安全なカメラ活用や業務の可視化を支援する機能、校内Wi-Fiを活用した通信コストをかけない通話機能など、教育現場に特化したさまざまな仕組みをご用意。今後はさらにAIを活用した新たな機能を搭載し、「子どもの安全」と「先生の安心」の両立を、スマートフォンアプリから実現します。

SKYMENU Cloud コラムサイト編集部

SKYMENU Cloud コラムサイト編集部は、児童生徒1人1台端末をはじめとするICT教育の活用に関する情報を発信しています。
「SKYMENU Cloud」を開発・販売するSky株式会社には、教育情報化コーディネータ(ITCE)資格取得者が多数在籍し、大学の先生方との共同研究に取り組むなど、学校に求められるソフトウェアの実現を目指しています。