学校の写真データのセキュリティ対策は? 私用スマートフォンやUSBメモリのリスクと、安全な管理方法を紹介

学校では、子どもたちの学習活動の記録や学校のWebサイト・お便りの作成のために、子どもたちの様子を撮影する機会が多くあります。しかし、撮影データの管理方法には多くのリスクが潜んでいます。特に、教職員の私用スマートフォンやUSBメモリを使用したデータ管理は、情報漏えいの危険性が高く、適切な対策が求められます。本記事では、学校での写真データ管理の現状とリスク、安全な管理方法について詳しく解説します。
校内でよくある写真データ管理の危険な実態
多くの学校で日常的に行われている写真データの管理方法には、情報漏えいにつながる大きなリスクが潜んでいます。具体的なケースをいくつか挙げ、そのリスクを解説します。
教職員の私用スマートフォンでの撮影・保存
教職員が私用スマートフォンで写真を撮影し保存することは、写真データを自由に学校外持ち出せる状態となり、端末の紛失や盗難による情報漏えいのリスクを伴います。現在は、私用スマートフォンを使った教員の盗撮事件などを受けて文部科学省が「児童生徒性暴力等の防止等に関する教師の服務規律の確保の徹底について」といった通知を発出。「教師個人のスマートフォン等の私的な端末で児童生徒等を撮影することのないようにすること」「学校所有等の端末で撮影する場合であっても児童生徒等の画像を管理職の許可なく学校外に持ち出すことのないように徹底すること」と記載されています。
私用スマートフォンを使った教職員の不祥事が相次ぐなか、各自治体でも対策が講じられています。名古屋市教育委員会は2025年6月の同市教員による児童の盗撮などの事案を受けて同年7月、公立中学校などに対し、私用端末での児童生徒の撮影や、児童生徒が活動する場所への私用端末の持ち込みを原則禁止する通知を出しました。このほかにも、教職員の私用スマートフォンやSNSに関する指針を定め、運用している自治体があります。
USBメモリやSDカードでのデータ共有・保管
USBメモリやSDカードは小さくて持ち運びやすいため、その手軽さから多くの人が利用しています。しかしその分、メディア自体を紛失する危険性があることに注意が必要です。持ち運び可能なメディアを外部へ持ち出す場合、かばんの置き忘れなどによる紛失と情報漏えいのリスクが高まります。また、自宅や外出先のPCに接続した際にマルウェアに感染し、校内ネットワークにも感染を広げてしまうといったリスクも考えられます。
実際に、こうした情報漏えいの事案が教育現場でも発生しています。個人情報保護委員会は2025年6月、「学校における個人情報の漏えい等事案を踏まえた個人情報の取扱いに関する留意点について」という注意喚起を発出。2023年4月から2025年4月までに小学校、中学校、高等学校および特別支援学校の現場において発生した漏えい等事案で、教育委員会や私立学校等から受領した漏えい等報告(約450件)を基に、発生原因別の割合を公表しました。
450件のうち、44%が紛失(紙媒体37%・電子媒体7%)、誤交付・誤送信・誤配信が27%(紙媒体18%・電子媒体9%)、情報共有ツールのアクセス制限ミス・データ保存ミスが18%でした。同委員会は、「紛失による漏えい等事案が一番多くなっていますが、情報共有ツール等デジタルツールの使用に伴う操作ミスも一定の割合で生じている点から、最近の学校におけるICT活用の浸透がうかがえるところです」との見解を示しています。

参考:個人情報保護委員会 「学校における個人情報の漏えい等事案を踏まえた個人情報の取扱いに関する留意点について(注意喚起)」を基にSky株式会社が作成
なぜ危険な管理方法を続けてしまうのか
情報漏えいのリスクがあるにもかかわらず、私用スマートフォンやUSBメモリを使った管理がなくならない背景には、次のような構造的な問題があると考えられます。
適切なツールや環境が整備されていない
多くの民間企業では、社員間の連絡や情報共有のために、会社から「業務用スマートフォン」が支給されています。そして今、学校現場でも「GIGAスクール構想」によってICT環境の整備や校務の情報化が進むなか、「学校用スマートフォン」の導入や検討を始める自治体や学校が増えてきています。しかし、文部科学省が毎年調査・公表している「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」の「学校におけるICT環境の整備状況等」に、学校用スマートフォンに関する項目は設けられていないのが現状です。
写真データ管理に関する明確なルールがない
文部科学省は「教育現場には児童生徒や保護者の存在等、地方公共団体の他の行政事務とは異なる特徴があることから、これらを考慮した情報セキュリティ対策を講じる必要がある」とし、「教育情報セキュリティポリシー※に関するガイドライン」を公表しています。しかし、文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和7年3月)」によると、令和6年度時点で教育委員会独自の教育情報セキュリティポリシーを定めている割合は約5割にとどまっています。
※教育分野に関して、組織内の情報セキュリティを確保するための方針、体制、 対策等を包括的に定めた文書のこと
また、「令和5年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」の「教育情報セキュリティポリシーの策定状況」によると、全国の公立学校32,238校のうち、学校向けの情報セキュリティポリシーを策定している割合は74.2%でした。「自治体の情報セキュリティポリシーを準用している」が22.0%、「検討中」が3.6%、「策定していない」が0.2%でした。
ここで同じ令和5年度に全国の公立学校32,238校へ調査した「学校におけるICT環境の整備状況等」を見てみると、「無線LANまたは移動通信システム(LTE等)により インターネット接続を行う普通教室の割合」は98.3%、「教員の校務用コンピュータ整備率」は127.7%となっており、高い水準となっています。
以上のことから、教育現場のICT環境は充実してきている一方、写真データ管理を含めた情報セキュリティに関する具体的なルールは十分に策定・周知されていないため、教員個人の判断に委ねられてしまっているケースが少なからずあると考えられます。
安全な写真データの管理体制を構築する4つのポイント
教育DXの進展に伴い、教育委員会や学校に必要とされるセキュリティ対策は高度化しています。ここでは、文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和7年3月)」を参考に、安全な写真データの管理体制を構築するための具体的な方法をいくつかご紹介します。
私用端末の業務利用禁止
安全な写真データ管理体制を構築するためにはまず、教育委員会や学校に承認されていない私用端末の業務利用は禁止とする必要があります。盗撮などの不適切行為や情報漏えいリスクだけでなく、写真を読み込むために私用スマートフォンを学校用PCに接続するなどした際、マルウェアなどを持ち込むリスクもあり、大変危険です。私用スマートフォンを使わなくてもよいように学校用スマートフォンを支給し、業務にはその端末の利用を徹底させることが重要です。
クラウドストレージの活用
教育現場でICT環境の整備が進むなか、クラウドサービスの活用も進んでいます。そのため、USBメモリなどに代わる安全な写真データ共有方法として、クラウドストレージを活用する方法が考えられます。クラウドストレージとは、インターネットを介して利用できるデータやファイルを保管・管理する場所、またはそのサービスのことです。データやファイルの保管・管理以外に、任意の相手と簡単にファイル共有できるのが特徴です。
データをUSBメモリなどの物理的メディアに保存して渡すという従来の手法は、紛失や盗難による情報漏えいにつながりかねません。クラウドストレージの場合、きちんとセキュリティ対策を講じているクラウドサービスを利用すれば紛失などの情報漏えいリスクは低く、安全性が確保された状態で便利にファイル共有できます。一方で、クラウドサービスを利用する際は、適切にアクセス権を管理し、多要素認証などを採用するなど強固なアクセス制御による対策を講じる必要があります。
データの適切な管理・運用の徹底
学校用スマートフォンなどの支給の端末を紛失したり、盗難に逢ったりした際に重要な情報が漏えいすることのないよう、クラウドサービスを利用して原則、端末には情報を保存しないようにする運用がお勧めです。また、万一紛失した場合に備えてMDM(モバイル端末管理)などにより、管理者側が遠隔で端末をロックしたり、復元されない形でデータを削除したり、端末の初期化を行ったりできるような対策を講じておくことも効果的です。
教職員への研修の実施
写真データの管理を含めた情報セキュリティを確保するには、その必要性と内容を教職員が十分に理解しておく必要があります。そのために、eラーニングや集合研修、説明会などを定期的に開催する方法が効果的です。情報管理のリテラシー向上をテーマにしたり、実際に教育現場で起こった事故事例を扱ったりといった内容が考えられます。定期的な研修だけでなく、日頃から教育情報セキュリティ管理者(校長)が教職員に働きかけ、一人ひとりに順守すべき内容とその必要性を浸透させることも重要です。
校務スマート化支援アプリ「SKYMENU Mobile」で写真データ管理の課題を解決
本記事では、学校での写真データ管理の現状とリスク、安全な管理方法について紹介してきました。Sky株式会社が2025年12月に発売する校務スマート化支援アプリ「SKYMENU Mobile」には、安全なカメラ活用を支援する「セーフカメラ」機能を搭載しています。教職員がスマートフォンで撮影した写真・動画を、あらかじめ指定した共有ドライブ(クラウド)に保存し、組織でデータを管理できる機能です。端末内に撮影データを残さない仕組みのため、子どもたちの写真・動画の漏えいリスクを減らすとともに、カメラ機能の不適切な使用を防ぎます。AIが不適切な画像を判定して通知したり、検索条件に一致する写真をピックアップしたりする機能も搭載予定です。今後も機能を充実させ、「子どもの安全」と「先生の安心」の両立を、スマートフォンアプリから実現します。