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学習指導要領に基づいた観点別評価とは? 評価方法を解説

著者:Sky株式会社

学習指導要領に基づいた観点別評価とは? 評価方法を解説

児童生徒に対する学習評価の一つに「観点別評価」があります。観点別評価は、学習指導要領の改訂に伴い、再整理されましたが、どのような点が変わったのでしょうか。この記事では学習指導要領に基づいた観点別評価の概要や評価方法を紹介し、中でも「主体的に学習に取り組む態度」について詳しく解説します。

現行学習指導要領における観点別評価は3つの観点に整理

観点別評価(観点別学習状況の評価)とは、学習指導要領が示す各教科・科目の目標や内容に照らして、児童生徒の実現状況を観点ごとに評価し、児童生徒の学習状況を分析的に捉えるものです。以前の観点別評価では「知識・理解」「技能」「思考・判断・表現」「関心・意欲・態度」の4つの観点に基づいていましたが、学習指導要領の平成29~31年改訂により再整理されました。

具体的には、各教科等の目標および内容が「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」という「育成を目指す資質・能力の三つの柱」に再整理されていることを踏まえて、観点別評価についても「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」という3観点に整理されました。

これは、学校教育法の2007年改正で定められた第30条2項の「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない」という記述に基づいているとされています。

観点別評価における観点別の評価方法

各教科における観点別評価の基本構造ならびに評価方法は、下図のとおりです。前述したとおり、観点別評価の観点は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つです。

■ 各教科における観点別評価の基本構造と評価方法

出典:文部科学省 国立教育政策研究所教育課程研究センター「学習評価の在り方ハンドブック 小・中学校編

なお、学習指導要領に掲げられている「学びに向かう力,人間性等」には、「主体的に学習に取り組む態度」のほかに「感性,思いやりなど」が含まれていますが、「感性,思いやりなど」に関しては評定には含めず、個人内評価とされています。「学習評価の在り方ハンドブック」(以下、学習評価ハンドブック)では、各観点における具体的な評価方法を次のとおり説明しています。

「知能・技能」の評価方法

「知識・技能」の具体的な評価方法について、例えばペーパーテストでは、事実的な知識の習得を問う問題と、知識の概念的な理解を問う問題とのバランスに配慮しながら出題するといったことが考えられます。また、児童生徒が学んだことを文章で説明したり、各教科等の特性に応じて観察や実験をしたり、式やグラフで表現したりするといった、知識・技能を活用する場面を設けることなど多様な方法を適切に取り入れていくといった方法が考えられるとされています。

「思考・判断・表現」の評価方法

「思考・判断・表現」の評価方法は、ペーパーテストだけでなく、論述やレポートの作成、発表、グループでの話し合いが挙げられます。また、作品の制作や表現といった多様な活動を取り入れたり、それらを集めたポートフォリオを活用したりするなど、評価方法を工夫することが考えられるとされています。

「主体的に学習に取り組む態度」の評価方法

「主体的に学習に取り組む態度」の評価方法としては、ノートやレポートの記述、授業中の発言、教師による行動観察や児童生徒による自己評価・相互評価の状況を材料の一つとして用いることなどが考えられます。その際、「知識及び技能」を獲得したり、「思考力、判断力、表現力等」を身に付けたりすることに向けた①「粘り強い取組を行おうとする側面」と、②「自らの学習を調整しようとする側面」の2つの側面から評価する必要があります。具体的な評価のイメージは下図のとおりです。

「主体的に学習に取り組む態度」の評価イメージ

出典:文部科学省 国立教育政策研究所教育課程研究センター「学習評価の在り方ハンドブック 小・中学校編

この2つの側面は、実際の教科等での学びの中では、相互に関わり合いながら立ち現れるものと考えられています。ここでいう「自らの学習を調整しようとする側面」とは、自分の学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するといった意識的な側面です。評価においては、その調整が適切に行われているかを必ずしも判断するものではなく、学習の調整が「知識及び技能」の習得などに結びついていない場合には、教員が学習の進め方を適切に指導することが求められるとされています。

観点別評価における3つの観点の関係

この記事では「主体的に学習に取り組む態度」について詳しくご説明しました。この「主体的に学習に取り組む態度」は、基本的には従来の「関心・意欲・態度」の観点と同じ趣旨であるとされています。

ただ、学習評価ハンドブックでは「(中央教育審議会の報告において)『関心・意欲・態度』の観点について『学校や教師の状況によっては,挙手の回数や毎時間ノートを取っているかなど,性格や行動面の傾向が一時的に表出された場面を捉える評価であるような誤解が払拭し切れていない』ということが指摘されました」とあり、よりよく学ぼうとする意欲を持って学習に取り組む態度を評価するという趣旨が強調されたと説明しています。

その上で、「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」を身につけるために、「粘り強い取組」や「学習の調整」が行われているのかという観点が必要とされています。「知識・技能」が学習のベースとなり、それを活用するため「思考力・判断力・表現力」を育む。それらを十分に身につけるために必要なのが「主体的に学習に取り組む態度」です。そのため、1つの学習活動に対して1つの観点だけの評価となるとは限らず、それぞれが相互に関係して評価されるものだといえます。

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