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Sky株式会社

公開日2025.12.16

校内ICT化は進んでいる? 文部科学省の調査の「現場の声」から見える成功のポイントを紹介

著者:Sky株式会社

校内ICT化は進んでいる? 文部科学省の調査の「現場の声」から見える成功のポイントを紹介

「GIGAスクール構想」により、学校における児童生徒1人1台端末、高速大容量のネットワーク環境などICT環境の整備は大きく進展しました。また、文部科学省は2023年に「GIGAスクール構想の下での校務DXについて」という報告書をまとめ、校務DXを実現するための校内ICT化にも注力しています。本記事では、文部科学省が2023年度、2024年度にまとめた「GIGAスクール構想の下での校務DXチェックリスト」の自己点検の結果を基に、校務DXの現状を確認します。

文部科学省の調査で見る校務DXの「理想と現実」

2023年3月、文部科学省は「GIGAスクール構想の下での校務DXについて~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~」という報告書をまとめ、校務の情報化に向けた提案を行いました。併せて「GIGAスクール構想の下での校務DXチェックリスト」(学校向け / 学校設置者向け)を策定し、2023年度および2024年度にチェックリストに基づく自己点検のフォローアップを実施、その結果を取りまとめて公表しています。

$related:文部科学省「GIGAスクール構想の下での校務DXチェックリスト」 学校および教育委員会が校務DXを推進する際に、取り組むことが望ましい項目を整理し、自己点検の結果が取りまとめられています。

2024年度の「GIGAスクール構想の下での校務DXチェックリスト」に基づく自己点検結果の別紙6「校務DXを促進するための取組に関する参考資料」(以下、取組資料)では、自己点検の結果を踏まえたさまざまな分析を行っています。その中で、現在取り組んでいる学校の割合が低いものの、教職員の効果実感が高かった項目も挙げられています。

取り組んでいる学校の割合は比較的低いものの教職員の働き方の改善に対する効果実感が高かった項目

参考:文部科学省「校務DXを促進するための取組に関する参考資料」を 基にSky株式会社が作成

上記のとおり、保護者からの提出資料の受付や日程調整など、保護者とのやりとりにクラウドサービスを活用することが上位に挙げられています。平日夕刻に事務仕事をすることが多い学校と、日中は働きに出ていたり逆に夜勤に従事していたりする保護者では、都合のいい時間帯が異なることが多いため、Webアンケートフォームのようにおのおのの事情に合わせて連絡・回答できる仕組みがあれば大きな効果が見込めます。しかし、いずれの施策も取り組んでいる学校は13.6%(提出資料)、12.8%(日程調整)と1割強にとどまっています。また、教材等をクラウド上で共有する仕組みについても合計98.5%の教職員が効果を実感しているものの、実施率は39.6%となっています。

これらは、教職員の負担軽減に限らず保護者や児童生徒にとってもメリットがあることから、取組資料の中でも「未実施の学校においては、取り組むことがより効果的であると考えられるため、ぜひ取り組んでみてください」と推奨されています。

全国の学校DX成功事例

取組資料には、これらの項目の成功事例が掲載されています。ここでは、取組資料に掲載された事例の中から「①保護者から学校への提出資料のクラウドサービスを用いた受付」「②クラウドサービスを用いた保護者との日程調整」「③教職員が作成した教材等のクラウド上での共有・活用」について、1事例ずつご紹介します。

① 保護者から学校への提出資料のクラウドサービスを用いた受付

奈良市立鶴舞小学校では、保護者に提出を求めるほぼすべての書類を、Webアンケートフォームなどで受け取っています。以前は、各担当者が書式を用意して児童数分を印刷して配付していましたが、回収時に未提出の児童に何度も呼びかけ、最終的には保護者に電話をかけて提出を促すという対応が必要でした。クラウドサービスを利用するようになり、配付から回収、集計のプロセスがシンプルになり未提出の割合が減ったとのこと。また、詳しい提出状況がすぐに確認ができ、提出した・していないといった認識のズレによるトラブルも回避できるなど役立っています。教員の感覚では、一連の作業にかけていた時間が1/10まで削減された実感を持っているそうです。

② クラウドサービスを用いた保護者との日程調整

島根県安来市立第二中学校では、個人面談や各種会合に関する日程調整に、Webアンケートフォームを活用しています。以前は、用紙を生徒に配付し、保護者からの回答を記入してもらって日程調整を行っていました。用紙の配付、保護者からの回答の回収、決定した日程の連絡という一連のやりとりを生徒経由で行うため、日程を確定するまでに一定以上の時間がかかっていました。また、回答がなかった場合、生徒経由または保護者に電話して確認をする必要があり、各担任にとって心理的負荷が高い業務の一つになっていました。クラウドサービスを用いることで保護者に直接連絡ができ、時間のロスがなくなり、回答の催促の手間も大幅に減りました。また、個人面談の日程調整業務を教頭に集約することで、学年が異なる兄弟・姉妹がいる場合の調整が容易になるというメリットもありました。

③ 教職員が作成した教材等のクラウド上での共有・活用

岐阜市立方県小学校では、教員が作成した教材をクラウド上の共有フォルダに保存し、教員間で共有していて活用しています。以前は、各教員がそれぞれに一から作成していました。ほかの教員の教材を参考にしたい場合には、端末の画面を見せてもらったり、紙に印刷してもらったりする必要があり、自分のよいタイミングで参照できないという課題がありました。しかし、クラウドで教材データを共有することで、教材作りに取り組む際に自由に活用できるようになりました。さらに、デジタルデータを共有すれば、一から教材を作るのではなく、既存の教材を発展させて作成することもでき、さらにそれを次年度にも参照することができます。こうして改善を積み重ねて教材をブラッシュアップできる仕組みができたことで、現時点の業務効率化だけではなく、今後の授業改善にもつながっていると効果を実感しているそうです。

ICT化を成功させる3つのポイント

ICT化を着実に進め、「校務DXを実現する」というと非常に高度な取り組みをしなければならないと受け止めている方もいるかもしれません。しかし、初めから大きな変革を望むのは現実的ではないといわれます。ここでは、取組資料に記載された事例から「取組が進んだきっかけ」の項目を参考に、ICT化を成功させる3つのポイントをご紹介します。

ポイント1:目的を絞り、小さく始める

いわゆる「スモールスタート・クイックウィン(小さく始めて、素早く成功する)」という考え方です。取組資料では「全国の学校における働き方改革事例集(令和5年3月改訂版)」のPart 3「明日からできるグループウェア活用法」に掲載されている、すぐに使用できるフォーマット「保護者面談調整フォーム」「保護者の同意書フォーム」(いずれもGoogle Workspace for Education、Microsoft 365 Educationの2種類を用意)を紹介しています。

例えば、これらのようにあらかじめ用意された仕組みを活用するなどして、特定の業務からICT化に取り組み(スモールスタート)、その結果を具体的に示す(クイックウィン)ことが大切です。効果を組織内で共有することで推進力を生み出す手法は、一般企業においてもDX推進の重要なポイントだとされています。

ポイント2:推進役を中心に、取り組みを校内で共有する

取組資料の事例に添えられた「取組が進んだきっかけ」を見ると、「教頭と教務主任との間で、クラウドを用いることでどのように便利になるのかや、想定される懸念点等も含めて意見交換」「校長や情報担当のリーダーシップ」「新たに『教育DX係』を設置」といった記載が複数あります。

つまり、校務DXを主体的に推進する役割を誰が担うのかを明確にし、リーダーシップを発揮して取り組んだことを「取り組みが進んだきっかけ」と位置づける事例が多いということです。推進役を誰が担うかは、学校の実情や考え方によって異なりますが、推進役を明示的に設置することは欠かせないといえます。

ポイント3:管理職が旗を振り、積極的に活用する

前述の推進役の例では、教頭と教務主任、校長と情報担当、新たな教育DX係などさまざまな立場の方が推進役を担っていますが、学校全体の取り組みとしていくためには、管理職の関わりが特に重要です。特に「歴代の校長のリーダーシップにより、クラウドサービスの活用全般について取組を進めてきた」「取組の実行に当たっては、校長の深い理解と協力を得ている」という記述からも、推進役を担当するのが誰であれ、校長の理解と協力は必須条件だといっても過言ではありません。

教職員の働き方改革を支援する「SKYMENU Mobile」

民間企業では当たり前となってきた業務用のスマートフォン。近年、学校現場でも「GIGAスクール構想」によってICT環境の整備や校務の情報化が進むなか、学校用スマートフォンの整備が始まってきています。「SKYMENU Mobile」は、校務の情報を安全に、確実に、そして効率的に扱えるよう設計された、教育現場専用の業務支援アプリです。安全なカメラ活用や業務の可視化を支援する機能、校内Wi-Fiを活用した通信コストをかけない通話機能など、教育現場に特化したさまざまな仕組みをご用意。AI機能も搭載することで、「子どもの安全」と「先生の安心」の両立を、スマートフォンアプリから実現します。

SKYMENU Cloud コラムサイト編集部

SKYMENU Cloud コラムサイト編集部は、児童生徒1人1台端末をはじめとするICT教育の活用に関する情報を発信しています。
「SKYMENU Cloud」を開発・販売するSky株式会社には、教育情報化コーディネータ(ITCE)資格取得者が多数在籍し、大学の先生方との共同研究に取り組むなど、学校に求められるソフトウェアの実現を目指しています。