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公開日2024.05.10

ICT支援員とは? 業務内容や学校教育現場で必要とされる理由を解説

著者:Sky株式会社

ICT支援員とは? 業務内容や学校教育現場で必要とされる理由を解説

学校教育現場で重要性が増しているとされる「ICT支援員」。なぜ今、その存在が注目されているのでしょうか。この記事では、ICT支援員の業務内容や、近年になって学校教育現場において必要とされている理由について解説します。併せて、ICT支援員と関連の深い、「ICT支援員認定試験」についても説明します。

ICT支援員は、ICT教育のサポートを行う専門職

ICT支援員とは、授業支援、教員研修関連、環境整備関連、校務支援などの場面で学校におけるICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)の活用を支援する外部人材です。現在、小・中学校、高等学校では、児童生徒に1人1台端末が整備され、ICT機器を使った学習が行われています。そのため、ICTを活用した学習活動を教員がスムーズに行うための支援をする、ICT支援員に注目が集まっています。 ICT支援員は、自治体や学校が直接雇用するケースもありますが、自治体や学校が委託する業者が雇用するケースが一般的です。1校に常駐する場合もあれば、複数校を受け持つ場合もあります。なお、ICT支援員は、児童生徒への指導は行わず、あくまで学校でICTを活用するのためのサポートを行う立場です。ICT支援員については、文部科学省による「ICT支援員について」という資料に紹介されています。

ICT支援員が必要とされる理由

文部科学省は、現行の学習指導要領(小・中学校は2017年告示、高等学校は2018年告示)で、学校のICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実に配慮することをポイントに掲げています。しかし、学校のICT活用を実現するには、ICT機器の管理や保守により教員の仕事量が今よりも増えることが考えられます。こうした教員の負担を軽減するために、ICT支援員が必要とされるようになりました。文部科学省では、各校にICTを浸透させるための十分なサポートができる体制を整えるよう、「4校に1人」ICT支援員を配置することを目標としています。

ICT支援員の業務内容

ICT支援員は、それぞれが担当する学校に外部スタッフとして出向き、ICTの活用を支援する業務を行います。ここでは、ICT支援員の具体的な業務内容について紹介します。

教材作成や授業準備の支援

授業に関わる部分では、タブレット端末やコンピュータなどICT機器の準備・メンテナンスの支援などが挙げられます。教員、児童生徒へのICT機器の操作支援やICT機器を利用する教材作成のサポートなどを行うこともあります。

校務支援

校務関連では、児童生徒の出欠管理や通知表・指導要録作成など、校務支援システムの操作支援があります。効率的で利便性の高い情報管理ができるようサポートします。

環境整備支援

環境整備に関しては、ICT環境の日常的なメンテナンス支援や障害トラブル対応があります。OSやアプリケーションといったソフトウェアの更新作業のほか、ICT機器の整備計画や運用ルールの作成支援を行うこともあります。

校内研修支援

校内研修の企画支援や準備、実施などの業務にも対応します。研修の企画内容に合わせて、情報提供や利用するテキスト資料などを提案したり、研修講師(インストラクター)を補佐・支援したりすることもあります。

ICT支援員になるには?

ICT支援員として学校教育現場で働くには、どうすればいいのでしょうか。ここからは、ICT支援員になるために知っておきたいことを解説します。

ICT支援員になるための条件

ICT支援員は、特定の資格や免許がある人のみが就ける「業務独占資格」を伴う職業ではありません。ICTやICT教育に関する十分な知識やスキルを持ち、高いコミュニケーション能力があれば、特定の資格などは必須とされていないということです。とはいえ、ICT支援員に必要な知識やスキルがあることを証明するための試験も存在します。その一つが「ICT支援員認定試験」です。試験に合格すれば、ICT支援員としての知識や能力があることを示す一つの指標となります。これからICT支援員になることをめざすという人なら、まずこの試験の合格をめざすというのも一つの手です。

ICT支援員認定試験の内容

ICT支援員認定試験は、年に2回実施されています。試験はA領域とB領域の2つの領域で構成され、それぞれ出題内容と課題が異なります。試験に合格するためには、両方の領域で合格点に達しなければなりません。

A領域の試験内容

A領域の試験では、教育現場や情報技術などでの基本的用語や、教育現場で利用されるソフトウェアの操作方法といった実践的知識が問われます。試験は受験会場のコンピュータで実施するCBTによる多肢選択式です。ICTに関する知識だけでなく、教育現場で生じる問題に対する状況判断、学校特有の問題に対する理解、情報モラルの指導・セキュリティに関する知識も求められます。

B領域の試験内容

B領域の試験は、ICT支援員として遭遇する可能性のある課題が与えられ、課題に対する解答を動画で示すものです。課題は、A領域試験の1週間後に個人専用サイトを介して送られ、これに対し期限内に自身で録画した動画を提出します。現場で日常的に起こりうる問題場面を的確に把握できるか、その解決方法や技術的内容を教員にわかりやすく説明できるかどうかが問われます。

ICT支援員認定試験の受験資格・申し込み方法

ICT支援員認定試験の受験資格は「原則として20歳以上」であることで、対象は「教育現場でのICT支援員を志すもの、またその総合的能力の習得をめざす企業および教育関係者」となっています。2023年度の場合、前期は6月、後期は10月にA領域の試験が行われました。受験会場は、全国7大都市圏を中心に全国30か所以上あるCBT-Solutionsが運営するテストセンターで、受験料は1万3,800円(税込)でした。受験を希望する場合は、CBTS受験者専用サイトから申し込むことができます。

ICT支援員認定試験の合格者数

特定非営利活動法人情報ネットワーク教育活用研究協議会が2023年に実施した「ICT支援員認定者の実態に関するアンケート調査」によると、ICT支援員認定試験の2022年12月までの合格者数は、下記のとおりです。

■ICT支援員認定試験の合格者数

認定年度 認定者数
2013年 67人
2014年 177人
2015年 279人
2016年 328人
2017年 220人
2018年 175人
2019年 303人
2020年 309人
2021年 574人
2022年 400人

2013年から始まったICT支援員認定試験の合格者の合計は2,832人、総受験者数は延べ6,421人です。

ICT支援員を配置するメリット

ICT支援員を配置すると、学校側にはどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、ICT支援員を配置する効果を3つ紹介します。

教員の負担軽減

ICT支援員を配置する効果の一つとして、教員の負担が軽減することが挙げられます。文部科学省による2021年の「ICT支援員の配置促進に関する調査研究」によると、ICT支援員の配置により「教師の負担軽減」効果を実感する自治体の割合は、「授業支援」の場合85%、「環境整備支援」の場合71%、「校務支援」の場合67%と、いずれも高い割合となっています。

ICT活用機会の増加

同調査では、「教員のICTを活用する機会の増加」についても、多くの自治体がICT支援員の効果を感じていることがわかります。「授業支援」の場面で76%、「校内研修支援」の場面で63%の自治体が効果を実感し、ICT支援員の配置によって、教員のICT活用する機会の増加につながっています。

ICT活用指導力の向上

ICT支援員を配置することで、ICT活用指導力が向上するというメリットもあります。同調査では「ICT活用指導力の向上」については、効果を実感する自治体の割合が「授業支援」の場合74%、「校内研修支援」の場合69%だったという結果が出ました。学習支援システムの利用法について校内研修を実施し、教員が効率的に学習支援システムを用いた協働学習やデータの保存方法などを習得した例も、同調査では紹介されています。

ICT支援員はICT知識とコミュニケーション能力を生かせる職業

ICT支援員は、ICTに関する興味と知識、コミュニケーション能力があり、さらに教育にも関心があれば、魅力ある仕事であるといえます。さらに、この記事で紹介した「ICT支援員能力認定試験」に加えて、2019年度からは「ICT支援員上級認定試験」も始まっており、より専門的な知識を身につけて活躍の場を広げていくことも可能です。

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