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公開日2024.03.27

MEXCBT(メクビット)とは? 機能やメリット、活用例を解説

著者:Sky株式会社

MEXCBT(メクビット)とは? 機能やメリット、活用例を解説

文部科学省が提唱するGIGAスクール構想の一環として開発された「MEXCBT(メクビット)」。この学習システムによって、児童生徒はオンラインでの学習に取り組めるようになりました。この記事では、MEXCBTとは何か、MEXCBTのメリットや有効活用のポイント、教育現場における実際の活用例について紹介します。

MEXCBT(メクビット)とは、文科省が開発したオンライン学習システムのこと

MEXCBT(メクビット)は、文部科学省が開発した公的CBTプラットフォーム「文部科学省CBTシステム」のことです。MEXCBTに搭載された国や地方自治体などが作成した試験問題を活用し、単元(授業)の学習内容を確認するための問題として活用したり、定期テスト等に活用したりする事例もあります。

文部科学省(Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology)の略称「MEXT」とコンピュータを利用して実施される試験「CBT(Computer Based Testing)」の組み合わせがMEXCBTの名前の由来です。MEXCBTは、豊富な試験問題が搭載されていて1人ひとりの児童生徒に合わせて活用できることが大きな特徴で、児童生徒と教員の両方にメリットがもたらされるといわれています。

CBTでは、動画や音声を含んだ問題も出題できる

コンピュータを利用して実施されるCBTは、紙と筆記用具で行う試験とは異なり、動画や音声を含む問題を取り入れられ、児童生徒に合わせて問題の変更や個別の設定なども可能です。自動で採点できるため、受験者にすぐ結果を知らせられます。また、試験結果はデータとして蓄積され児童生徒それぞれの習熟状況や学習の傾向を把握でき、その後の授業づくりにも生かせます。

MEXCBTが作られた背景と目的

2019年度から文部科学省によって推進されてきた「GIGAスクール構想」の取り組みによって、児童生徒1人1台端末が整備されました。しかし、その活用に関しては「実際の授業でどのように活用すればいいのかわからない」「教員の負担が大きい」といった声も少なくないというのが現状です。そこで、児童生徒が活用できるオンライン学習環境を整備するため、文部科学省が中心となり、複数の企業との連携によってMEXCBTが開発されました。

MEXCBTの活用事例

MEXCBTの活用の一例として、文部科学省の「文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)について」(以下、MEXCBTページ)に公開されている埼玉県の加須市立騎西中学校の事例を紹介します。この中学校では、「チャレンジタイム」という朝の10分間の自主学習と、日々の家庭学習や長期休業中の課題としてMEXCBTを活用しています。解答後すぐに答え合わせができるため、自分の理解度をつかみやすく、筆記用具を使った学習よりも集中して取り組んでいる様子も見受けられるとのことです。

教員からは、児童生徒1人ひとりの学習到達度などを把握しやすく、進度に合わせた配信ができる点を評価されています。また、課題作成の時間が減ることで働き方改革につながるといったメリットも挙げられました。今後も引き続き、朝の時間や単元の振り返りとして使用していき、活用の場面を増やしていきたいということです。

MEXCBT(メクビット)何ができる?

MEXCBT(メクビット)は、具体的にどのようなことができるのでしょうか。続いては、MEXCBTの機能やコンテンツを紹介します。

MEXCBTの機能

まずは、MEXCBTの機能を紹介します。主な機能として、次のようなものが挙げられます。

問題作成機能

MEXCBTの問題作成機能では、コンテンツとして用意されている問題以外にも、教員がテストや問題をカスタマイズしてMEXCBTに登録し、授業で使ったり、課題として配信したりできます。

自動採点機能

選択式や短答式問題については自動採点が可能です。解答後すぐに正誤や解答の評価が表示されるので、児童生徒は自分の成果や成長を実感できます。記述式問題の場合は教員が採点することもできるので、学習内容に合わせて活用できます。

学習管理機能

児童生徒の学習履歴や進捗、成績などを確認できます。教員は児童生徒の不得意な点や学習の傾向、単元ごとの理解度などがすぐに確認でき、適切なフォローを行うことができます。

MEXCBTは、今後も新しい機能が搭載される可能性があります。最新の機能や運用マニュアルは「文部科学省CBTシステム(MEXCBT)運用支援サイト」(前述)に掲載されています。

MEXCBTのコンテンツ

MEXCBTには、さまざまなコンテンツが搭載されています。コンテンツは拡充される予定であり、今後ますます充実したものになる見込みです。ここでは、MEXCBTで搭載されているコンテンツについて紹介します。

国が開発した問題

MEXCBTには、国が開発したコンテンツとして、全国学力・学習状況調査の過去問題がすべて搭載されています。また、中学校卒業程度認定試験と高等学校卒業程度認定試験についても、過去問題が搭載されています。

地方自治体等の学力調査等の問題

MEXCBTには、地方自治体等が実施した学力調査等の問題や学習支援プログラムも搭載されています。例えば、千葉県の「ちばのやる気学習ガイド」や、さいたま市の「基礎学力定着プログラム」などです。

その他のコンテンツ

国や地方自治体の問題以外にも、MEXCBTではPISA(国際学力調査)の公開問題のほか、英検(実用英語技能検定)や数学検定・算数検定(実用数学技能検定)、漢検(日本漢字能力検定)など、実用試験に関連した問題も搭載されています。また、全国の教員などが授業や学習支援のために作成した独自コンテンツも含まれています。

MEXCBT(メクビット)を使うメリット

MEXCBT(メクビット)の活用により、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。ここでは教員のメリット、児童生徒のメリットに分けて紹介します。

教員のメリット

MEXCBTは、教員にさまざまなメリットをもたらします。代表的なメリットを3つご紹介します。

児童生徒それぞれに合わせた教材や問題が提供できる

教員が得られるMEXCBTによるメリットの一つは、児童生徒それぞれに合わせた教材や問題が提供できることです。MEXCBTに収められている豊富なコンテンツの中から必要に応じてピックアップし、1人ひとりの学習課題やニーズに合わせて教材や問題を提供できます。

効果的かつ効率的な授業計画が立てられる

MEXCBTを使うと、児童生徒それぞれの学習状況を一元管理できることもメリットです。1人ひとりの苦手や課題を把握できるだけでなく、学級全体で理解が進んでいない単元などもわかります。得意・不得意や理解の状況を踏まえることで、効果的な授業計画を立てやすくなることがメリットです。

教育スキルが向上される

MEXCBTによって教員の指導力向上が図れるメリットもあります。MEXCBTでは、教員自身が問題を解くこともでき自己評価に役立てられます。また、教員同士のデータ共有や情報交換もできるため、教材研究や知識の獲得、授業改善に取り組むことができます。

児童生徒のメリット

もちろん児童生徒もMEXCBTを使うことでメリットが得られます。児童生徒側のメリットは次のとおりです。

自分に合った学習進度で学べる

自分に合った学習進度で学べることが、MEXCBTによって児童生徒が得られるメリットです。従来は学習到達度に合わせた個別対応が難しい部分がありました。しかし、受験者の理解度や解答に応じて出題する問題を変えることができ、少ない問題数で高精度に理解度などを測定できるテスト形式「アダプティブテスト」が実現すればで、一律に同じ問題を解くのではなく、個に応じた学びが提供可能になります。

自分の成長を実感できる

MEXCBTでは、問題に解答するとすぐに正誤判定され、正答や間違えた理由なども確認できるので、自分の成果や成長を実感できるというメリットがあります。また、採点結果だけでなく児童生徒が自身の改善点を確認でき、自身の課題を的確に把握することができます。

さまざまな学習体験を通して楽しく学べる

さまざまな学習体験ができることもMEXCBTのメリットです。MEXCBTには、デジタル画像や音声を使った問題、シミュレーション形式の問題などもあり、児童生徒は楽しみながら学びを深められます。

MEXCBT(メクビット)を有効活用するためのポイント

MEXCBT(メクビット)を効果的に使うにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、MEXCBTを有効活用するためのポイントを2つご紹介します。

1人1台端末の活用促進

文部科学省が推進するGIGAスクール構想によって、児童生徒1人1台の端末が整備されました。MEXCBTを有効活用するには、この端末を活用することが多いと考えられます。MEXCBTは1人ひとりに合わせたカリキュラムで学習を進めることができるので、児童生徒がそれぞれの端末を使って学習に取り組むことで、より効果的な学びにつなげられます。

最初は端末の操作などに戸惑うことがあるかもしれませんが、1人1台端末をしっかり活用できるよう操作や扱い方を指導することも大切です。

学習eポータルの利用

MEXCBTを有効活用するには「学習eポータル」を利用することがポイントです。学習eポータルは、さまざまな教育データをよりよく活用するため、日本の学校教育に適した学習管理機能を備えたシステムです。学習eポータルは1度のログイン認証で複数のサービスが利用できる(シングルサインオン)ため、MEXCBTやデジタル教科書、学習用ツールを利用する際や、スタディ・ログ(学習履歴)を活用する際のハブとして活用されています。

MEXCBTに蓄積された膨大な問題や正答率をはじめとする学習結果は、学習eポータルによって整理、分類され、わかりやすく表示されます。つまり、学習eポータルは、MEXCBTをより効果的に活用するために役立ちます。さまざまな企業が学習eポータルを提供していますが、学習eポータルは標準モデルによって規格やルールが定められているため、どのシステムを選択しても標準的な機能は搭載されています。

MEXCBT(メクビット)の活用事例

MEXCBT(メクビット)は、学校の教育現場でさまざまな活用がなされています。最後に、文部科学省のMEXCBTページに掲載されたMEXCBTの活用事例をご紹介します。

【千葉県】君津市立清和小学校:教材の作成

千葉県の君津市立清和小学校では、教材の作成にMEXCBTを活用しています。すでに導入している市販の端末用ドリル教材のほかに、実際の授業内容とリンクさせる形で教員が問題を自作し「第3のドリル」として活用しています。例えば、理科では児童が観察実験で撮影した実際の画像を使って問題を作るなど、児童と協働した問題づくりを行っています。その結果、自分が撮影した映像を使って自ら問題を作成するようになり、児童が主体的に実験に取り組むようになりました。

【長崎県】大村市立玖島中学校:夏季休業中に宿題を配信

長崎県の大村市立玖島中学校では、夏季休業中に宿題としてMEXCBTで問題を配信。1日1教科を設定し、5教科の担当者が3回ずつ出題しました。教員同士でMEXCBTの使い方を教え合うことなどを通じて学びが深まり、MEXCBT活用への大きなステップになったということです。生徒にとっても、実施期間中に毎日問題に取り組むことで、家庭学習を習慣化する足掛かりとなったそうです。

【千葉県】山武市立日向小学校:実力テスト

千葉県の山武市立日向小学校では、月例テストにMEXCBTを活用しています。3年生から6年生までを対象に、毎月末の昼休みの30分間を使ってテストを実施。「全国学力・学習状況調査過去問題」や「ちばっ子チャレンジ100」など、国や自治体が作成した問題の中から学習状況に応じて出題しています。自動採点によってすぐに結果がわかるため達成感を持つことができます。全体として正答率が低かった問題は、午後の授業などで振り返るなど、なるべく早くフォローアップするようにしているそうです。

MEXCBT(メクビット)で、児童生徒の学習効果と教員の業務効率が向上!

MEXCBT(メクビット)を活用することで、児童生徒1人ひとりに合わせた学習支援ができるようになります。全国学力・学習状況調査の過去問題や、地方自治体が作成した学力調査の問題や学習プログラム、実用英語技能検定などの実用試験に関連した問題など、多くの問題が提供されており、自由に活用することが可能です。また1人1台端末と学習eポータルをMEXCBTと合わせて活用することによって最適な教材提供と効率的な学習管理を確立するなど、教員の業務効率を改善しつつ、学習効果の向上が期待できます。

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