今回取材させていただいたのは、4年2組の国語科「ヤドカリとイソギンチャク」の授業。ヤドカリとイソギンチャクが共に助け合って生きていることを読み取り、互いの利益をワークシートに書き込むことで筆者の結論を押さえることが本時の目標だ。
冨岡教諭は、昨年度より国語科の授業で、マウスやペンタブレットを使って、コンピュータの画面に書き込むXことができる、教材作成支援&プレゼンテーションソフトウェア『SKYMENU Digital Chalk』を活用して教材を作成し、授業実践を行っている。
本時においても、教科書をスキャナで読み込み、その画像を『SKYMENU Digital Chalk』に取り込んで拡大提示し、線を引いたり、マーキングを行ったりする場面が随所に見られた。
まず、冨岡教諭は「作者が何をいいたかったのかを考えて読もう」と第五段落の音読を指示。そして、大事だと思う文章に線を引かせた。線引きが済んだことを確認すると、教室の前にあるペンタブレットから『SKYMENU Digital Chalk』の[ペン]機能を使って、拡大提示されている教科書の該当部分に線を引いて発表することを子どもたちに求めた。
すると、子どもたちの手が、勢い良く挙がった。あてられた子どもがペンタブレットを用いて該当箇所に線を引くと、クラス全員がスクリーンに注目する。
そして、前時までの教科書への書き込みを保存したコンテンツを提示して、これまで学習してきたヤドカリとイソギンチャクの共生関係を振り返らせた。
それから、冨岡教諭はワークシートを配布し、第五段落の要点をまとめるように指示を行った。子どもたちがまとめ終わったことを確認すると、「ヤドカリとイソギンチャクはどのようにして助け合っているのかをまとめよう」と板書し、次の課題を子どもたちに伝えた。
次に、子どもたちにヤドカリとイソギンチャクの気持ちになり、お互いの利益を具体的に考えるように指示。配布したワークシートのヤドカリとイソギンチャクの吹き出し部分に記入させた。
子どもたちはワークシートに「イソギンチャク君がいてぼくは助かるよ。おれいに食べ残しあげたりするからね」とヤドカリの気持ちを書き込んだり、イソギンチャクの気持ちとして「ぼくも一生けんめい守ってあげる代わりにいっぱい動いて食べ残しちょうだいね」と書き込み、それぞれの利害関係について具体的に表現していた。
授業の後半では、数名の子どもたちを指名して、黒板の前でワークシートに記述したヤドカリとイソギンチャクの台詞の発表を行った。
発表後、冨岡教諭は、教科書を拡大提示し、お互いの利益について本文に記述のある部分を[ペン]機能でマーキングしながら確認させた。
最後に、「ヤドカリとイソギンチャクのような関係の生き物ってほかにいないかな」と、次時の学習内容につながる問いかけを行うと、子どもたちから活発な意見が挙がっていた。
本時の授業のねらいについて、富岡教諭は、「今日は授業はまとめの部分にあたります。ヤドカリとイソギンチャクの共生の関係を読みとり、結論をつかむためには、今までの読みとりができていないと理解できません。本時においては、『SKYMENU Digital Chalk』を用いて、これまでの授業で書き込んだ「教科書コンテンツ」を保存したものを拡大提示することで、今までの学習内容を振り返らせることを意識しました」といわれた。
今回利用された『SKYMENU Digital Chalk』の利点、またスキャナで読み込んだ「教科書コンテンツ」を活用した授業について、冨岡教諭と水ノ江教諭に、お話をうかがった。
冨岡 教諭 : 昨年より、『SKYMENU Digital Chalk』を用いて、スキャナで読み込んだ教科書を拡大提示するといった実践を行っています。実際に授業で使ってみて、今、何をしているのかが一目でわかるので、子どもたちが授業に「集中」することができていると感じています。
特に、文章の読み取りの指導においては、「どのような言葉」、「どのようなところ」に注目すればよいのかがわかりやすく提示することができるので効果的です。
これまでは、教科書の文章をOHPや拡大コピーを活用して提示していましたが、毎時間用意したり、前時学習した内容を再び提示したりと、準備に時間がかかりました。今回の取り組みでは、一度教科書をスキャナで読み込んでおくと何度も利用できますし、『SKYMENU Digital Chalk』を使って、学習のポイントとなる部分を、マーキングして保存しておくことで、「振り返り」も容易にできます。
水ノ江 教諭 : 国語科において、「今日は○○ページの××行」という指示は、子どもたちにとって分かりにくく、該当の文章を探すまでが時間がかかってしまいます。しかし、『SKYMENU Digital Chalk』を活用することでわかりやすく提示でき、テンポ良く授業を進められます。
特に、低学年においては、挿絵などを見て、子どもたちに考えさせる場面が多いので、それぞれの教科書を見て話し合うよりも、拡大提示した挿絵を見ることにより児童の意識が一点に集中し、話し合いも活発に行われるようになります。
もともと、「授業で提示した資料に記録したい」「記録したものを保存して、次時に利用できないか」という要望から始まった実践で、授業改善の一手段として効果があったと考えています。
子どもたちに行ったアンケートからも理解しやすい授業につながっていると感じました。

また、「教科書コンテンツ」を活用した授業を始めたことで、学力面の調査においても、「場面の様子に合った表現を見つける力」、「文脈に即して内容を読み取る力」、「語句の指示する内容をとらえる力」の3つの力が力が特に向上していることがわかり、その効果を確認できました。 今回の実践の成功のポイントは、何と言っても「手軽さ」です。ICT活用の教材の準備に時間がかかったり、操作が難しかったりと障壁がお多いのですが、学習指導の工夫として、手軽にICT活用を取り入れることができる事例だと思います。 |